法令上の制限 実戦篇

諸法令(その他の制限法令)の過去問アーカイブス 平成16年・問25


次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成16年・問25)

1.「道路法によれば,道路の区域が決定された後,道路の供用が開始されるまでの間であって,道路管理者が当該区域についての権原を取得する前であれば,当該区域内において工作物の新築を行おうとする者は,道路管理者の許可を受けなくてもよい。」

2.「土壌汚染対策法によれば,形質変更時要届出区域に指定された際,現に当該区域内で既に土地の形質の変更を行っている者は,その指定の日から起算して14日以内に都道府県知事の許可を受けなければ土地の形質の変更を続けてはならない。」

3.「都市再開発法によれば,市街地再開発促進区域内において,鉄骨造2階建てで地階を有しない移転の容易な建築物の建築を行おうとする者は,一定の場合を除き,都道府県知事(市の区域内では市長)の許可を受けなければならない。」

4.「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律によれば,防災街区整備事業に係る公告があった後においては,当該事業の施行地区内において防災街区整備事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は,国土交通大臣の許可を受けなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「道路法によれば,道路の区域が決定された後,道路の供用が開始されるまでの間であって,道路管理者が当該区域についての権原を取得する前であれば,当該区域内において工作物の新築を行おうとする者は,道路管理者の許可を受けなくてもよい。」

【正解:×昭和62年・問28,平成12年・問17,16年・問25,【道路法32条】平成14年・問24

◆道路予定区域

 道路の区域が決定された後から道路の供用が開始されるまでの間に当該区域内で

・土地の形質の変更、昭和62年
・工作物の新築・改築・増築・大修繕 平成12年,16年
・物件の付加増置

を行おうとする者は道路管理者が当該区域についての権原を取得する前であっても,原則として道路管理者の許可を受けなければいけません。(91条1項)

<道路管理者>
高速自動車国道、一般国道国土交通大臣
都道府県道都道府県知事
市町村道市町村長

 ⇒ 道路法 

「○○管理者の許可」のまとめ

 道路  (道路法)  道路管理者 平成12・14・16年出題
 都市公園  (都市公園法)  公園管理者
 河川保全区域  (河川法)  河川管理者 平成10・13・14年出題
 海岸保全区域  (海岸法)  海岸管理者 平成14年出題
 港湾区域  (港湾法)  港湾管理者 平成15年出題

2.「土壌汚染対策法によれば,形質変更時要届出区域に指定された際,現に当該区域内で既に土地の形質の変更を行っている者は,その指定の日から起算して14日以内に都道府県知事の許可を受けなければ土地の形質の変更を続けてはならない。」

【正解:×】⇒参考・ 土壌汚染対策法

◆土壌汚染対策法の形質変更時要届出区域

 都道府県知事は,土壌汚染状況調査の結果,当該土地の土壌の特定有害物質による汚染状態が環境省令で定める基準に適合しないと認める場合には,当該土地の区域を形質変更時要届出区域として指定し,その旨を公示します(土壌汚染対策法・第11条・第1項,第3項)

  形質変更時要届出区域が指定された際に,その区域内において既に土地の形質の変更に着手している者は,その指定の日から起算して14日以内に,都道府県知事にその旨を届け出なければいけません(土壌汚染対策法・第12条・第2項)

 したがって,<14日以内に都道府県知事の許可を受けなければ土地の形質の変更を続けてはならない>とする本肢は誤りです。

  ⇒ 土壌汚染対策法

3.「都市再開発法によれば,市街地再開発促進区域内において,鉄骨造2階建てで地階を有しない移転の容易な建築物の建築を行おうとする者は,一定の場合を除き,都道府県知事(市の区域内では市長)の許可を受けなければならない。」

【正解:昭和58年・問28,昭和62年・問28,平成16年・問25

◆市街地再開発促進区域

 市街地再開発促進区域内においては,

 主要構造部が木造,鉄骨造,コンクリートブロック造その他これらに類する構造であって階数が2以下で,かつ,地階を有しない建築物で

 容易に移転し,又は除却することができるもの

の建築をしようとする者は,国土交通省令で定めるところにより,都道府県知事(市の区域内では市長)の許可を受けなければなりません。(都市再開発法・7条の4第1項) 

 ただし,非常災害のため必要な応急措置として行う行為またはその他の法令で定める軽易な行為については適用されません。

 ⇒ 都市再開発法 

この規定は,第一種市街地再開発事業に関する都市計画の決定・変更に係る告示又は国の機関による都市計画事業の公告があった後は,当該告示又は公告に係る土地の区域内においては,適用しない。(都市再開発法7条の4第3項)

都市再開発法では,このほか,第一種市街地再開発事業(昭和63年)の出題がある。

4.「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律によれば,防災街区整備事業に係る公告があった後においては,当該事業の施行地区内において防災街区整備事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更を行おうとする者は,国土交通大臣の許可を受けなければならない。」

【正解:×,平成16年・問25

◆防災街区整備事業の施行地区

 「防災街区整備事業」とは,市街地開発事業に関する都市計画として平成15年改正で創設されたもの。(3 ha 以下は市町村,3 ha 超は都道府県が定める。)。(都市計画法・15条1項6号)

 防災街区整備事業の施行地区内において防災街区整備事業の施行の障害となるおそれがある土地の形質の変更建築物等の新築・増改築,又は政令で定める移動の容易でない物件の設置・堆積を行おうとする者は,都道府県知事等(市の区域内では市長)の許可を必要とします。(密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律・第197条) 

 したがって,<国土交通大臣の許可を受けなければならない>とする本肢は誤りです。

  ⇒ 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律


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