法令上の制限 実戦篇

諸法令の過去問アーカイブス 平成12年・問17 ♯


次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成12年・問17)

1.「法改正により廃止されたため修正不可能 〔出題時は,誤りの肢として設定〕 」

2.「道路法によれば,道路の区域が決定された後道路の供用が開始されるまでの間に,当該区域内において,工作物の新築を行おうとする者は,道路管理者の許可を受けなければならない。

3.「都市緑地法によれば,特別緑地保全地区内において,土地の形質の変更を行おうとする者は,公園管理者の許可を受けなければならない。」

4.「地すべり等防止法によれば,地すべり防止区域内において,地下水を誘致し,又は停滞させる行為で地下水を増加させるものを行おうとする者は,河川管理者の許可を受けなければならない。」

【正解】

× × ×

1.「都市再開発法によれば,再開発地区計画の区域内において,建築物の新築を行おうとする者は,市町村長の許可を受けなければならない。」

【正解:×平成元年

◆都市再開発法・再開発地区計画〔現在は廃止〕

 法改正により再開発地区計画は廃止されたため修正不可能 〔出題時は,誤りの肢として設定〕

〔出題当時 ×市町村長の許可→○市町村長への届出。〕

都市再開発法の出題では,このほかには,第一種市街地再開発事業(昭和63年)市街地再開発促進区域(昭和58年,62年,平成16年)の出題がある。

2.「道路法によれば,道路の区域が決定された後道路の供用が開始されるまでの間に,当該区域内において,工作物の新築を行おうとする者は,道路管理者の許可を受けなければならない。

【正解:昭和62年・問28,平成12年・問17,16年・問25,【道路法32条】平成14年・問24

◆道路予定区域

 道路の区域が決定された後から道路の供用が開始されるまでの間に当該区域内で

・土地の形質の変更、昭和62年
・工作物の新築・改築・増築・大修繕 平成12年,16年
・物件の付加増置

を行おうとする者は原則として道路管理者の許可を受けなければいけません。(91条1項)

<道路管理者>
高速自動車国道、一般国道国土交通大臣
都道府県道都道府県知事
市町村道市町村長

 ⇒ 道路法 

「○○管理者の許可」のまとめ

 道路  (道路法)  道路管理者 平成12・14・16年出題
 都市公園  (都市公園法)  公園管理者
 河川保全区域  (河川法)  河川管理者 平成10・13・14年出題
 海岸保全区域  (海岸法)  海岸管理者 平成14年出題
 港湾区域  (港湾法)  港湾管理者 平成15年出題
●類題
「道路の区域が決定された後であっても,供用が開始される前であれば,当該道路の道路管理者の許可がなくとも工作物の新築や改築を行うことができる。」(不動産鑑定士・2次・平成15年)

【正解:×

3.「都市緑地法によれば,特別緑地保全地区内において,土地の形質の変更を行おうとする者は,公園管理者の許可を受けなければならない。」

【正解:×昭和58年,平成元年,12年,14年

◆特別緑地保全地区

 特別緑地保全地区(旧・都市緑地保全法の緑地保全地区)は,都市計画区域内の緑地で一定の土地の区域に,都市計画で定めます。(都市緑地法・12条1項)

 特別緑地保全地区(旧・都市緑地保全法の緑地保全地区)内での以下の行為は,都道府県知事等(市の区域内では市長)の許可が必要です。(14条1項)

建築物その他の工作物の新築、改築又は増築 (昭和58年,平成14年)
宅地の造成、土地の開墾、土石の採取、鉱物の堀採その他の土地の形質の変更 (平成元年,12年)
・木竹の伐採
・水面の埋立て又は干拓
・このほかのもので、当該緑地の保全に影響を及ぼす恐れのある行為で
政令で定めるもの

☆政令で定めるものの例
 屋外における土石、廃棄物または再生資源の堆積(施行令2条の2)平成13年法改正により追加

このほか,「緑地協定」,「管理協定」にも注意。→ 法改正レポートNo.4

 ⇒ 都市緑地法 

●各制限の許可権者
生産緑地地区
(生産緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(市街化区域内の一定の農地等に定める)
市町村長の許可
特別緑地保全地区
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域内の一定の緑地に定める)
都道府県知事等の許可

●許可と届出の区別
緑地保全地域
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域または準都市計画区域内
の一定の緑地に定める)
都道府県知事等届出
特別緑地保全地区
(都市緑地法)
この区域は、都市計画で定める
(都市計画区域内の一定の緑地に定める)
都道府県知事等許可

4.「地すべり等防止法によれば,地すべり防止区域内において,地下水を誘致し,又は停滞させる行為で地下水を増加させるものを行おうとする者は,河川管理者の許可を受けなければならない。」

【正解:×昭和56年,平成15年

◆地すべり防止区域

 主務大臣(国土交通大臣または農林水産大臣)は,関係都道府県知事の意見を聴いて,「地すべり防止区域(昭和56年,平成12年出題),「ぼた山崩壊防止区域(平成15年出題)を指定します。(地すべり等防止法3条1項,4条1項,51条1項)

 この区域では一定の行為をしようとする者は都道府県知事の許可を受けなければいけません。(地すべり等防止法18条1項)

第18条  地すべり防止区域内において,次の各号の一に該当する行為をしようとする者は,都道府県知事の許可を受けなければならない。

一  地下水を誘致し,又は停滞させる行為で地下水を増加させるもの(平成12年出題),地下水の排水施設の機能を阻害する行為その他地下水の排除を阻害する行為(昭和56年出題)

二  地下水を放流し,又は停滞させる行為その他地表水のしん透を助長する行為

三  のり切又は切土で政令で定めるもの

四  ため池,用排水路その他の地すべり防止施設以外の施設又は工作物で政令で定めるものの新築又は改良

五  前各号に掲げるもののほか,地すべりの防止を阻害し,又は地すべりを助長し,若しくは誘発する行為で政令で定めるもの

 ⇒ 地すべり等防止法 

災害防止関係法令の過去問の出題状況
    平成10年 平成11年 平成12年 平成13年 平成14年 平成15年
災害危険区域             
急傾斜地崩壊危険区域             
地すべり防止区域内             
ぼた山崩壊防止区域            
土砂災害特別警戒区域   *** *** ***  施行     

※平成13年,16年に「災害防止関係法令」の出題は,ありませんでした。
〔宅地造成等規制法の出題はありました。〕

災害防止関係法令(砂防関係の指定権者,許可権者)
    誰が指定するか 許可権者
急傾斜地崩壊危険区域 都道府県知事 都道府県知事 
地すべり防止区域内 主務大臣
(国土交通大臣 or
農林水産大臣)
都道府県知事
ぼた山崩壊防止区域 主務大臣
(国土交通大臣 or
農林水産大臣)
都道府県知事
土砂災害特別警戒区域 都道府県知事  都道府県知事

災害防止関係法令は,税法その他の土地の問題にも関係するので,用語の定義
指定区域についてはよく見ておきましょう。

    区域の指定 制限行為について
砂防指定地

(砂防法)

国土交通大臣 都道府県知事が禁止・制限し,
都道府県の条例で定める

(下記の場合は,国土交通大臣が知事の職権を施行,
国土交通省令で定める。

他の都道府県の利益の保全のために必要なとき
利害関係が一の都道府県にとどまらないとき)

災害危険区域

(建築基準法)

地方公共団体 建築物の建築についての制限は
地方公共団体の条例で定める

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