宅建業法 実戦篇

宅建業者の過去問アーカイブス 平成元年・問39 免許の基準(欠格要件)


次の者のうち,宅地建物取引業の免許を受けることができるものはどれか。(平成元年・問39)

1.「未成年者――営業に関し,成年者と同一の行為能力がなく,かつ,その法定代理人が,刑法第247条の罪 (背任罪) を犯し,罰金の刑に処せられ,その刑の執行を終わった日から5年を経過していない。」

2.「宅地建物取引業者であった――宅地建物取引業者であったとき,業務停止処分事由に該当するとして,甲県知事から業務停止処分についての聴聞の期日及び場所を公示されたが,その公示後聴聞が行われる前に相当の理由なく宅地建物取引業の廃止の届出をし,その届出の日から5年を経過していない。」

3.「取締役が有罪となった社――が刑法第198条の罪 (贈賄罪) を犯し,懲役1年,執行猶予3年の刑に処せられ,その執行猶予期間が満了していない。」

4.「社の取締役を退任した――かつて勤務していた社が,不正の手段により宅地建物取引業の免許を取得したとして,乙県知事から免許を取り消されたが,その聴聞の期日及び場所の公示の日の30日前に同社の取締役を退任し,同社の免許の取り消しの日から5年を経過していない。」

【正解】

できない できる できない できない

1.「未成年者――営業に関し,成年者と同一の行為能力がなく,かつ,その法定代理人が,刑法第247条の罪 (背任罪) を犯し,罰金の刑に処せられ,その刑の執行を終わった日から5年を経過していない。」

【正解:できない

◆成年者と同一の行為能力がない未成年者

 営業に関して成年者と同一の行為能力がない未成年者〔民法6条1項の法定代理人の許可を得ていない未成年者〕で,その法定代理人が免許の欠格要件に該当する場合は,免許を受けることができません(宅建業法・5条1項6号)

 本肢の場合,法定代理人が<刑法第247条の罪 (背任罪) を犯し,罰金の刑に処せられ,その刑の執行を終わった日から5年を経過していない>のは,免許の欠格要件に該当するので,は免許を受けることができません(宅建業法・5条1項6号,1項3号の2)

営業に関し,

成年者と同一の行為能力がある

 法定代理人に
 欠格要件がない
 法定代理人の欠格要件に関係なく,
 当該未成年は免許を受けることができる。
 法定代理人に
 欠格要件がある
営業に関し,

成年者と同一の行為能力がない

 法定代理人に
 欠格要件がない
 免許を受けることができる。
 法定代理人に
 欠格要件がある
 免許を受けることはできない。

未成年者が商行為をするには,未成年者の登記が必要です。⇒ 未成年者の登記 (商業登記法,商法)

2.「宅地建物取引業者であった――宅地建物取引業者であったとき,業務停止処分事由に該当するとして,甲県知事から業務停止処分についての聴聞の期日及び場所を公示されたが,その公示後聴聞が行われる前に相当の理由なく宅地建物取引業の廃止の届出をし,その届出の日から5年を経過していない。」

【正解:できる

◆業務停止処分の聴聞が公告された日以後に廃業の届出をした者は欠格要件に該当しない

 免許権者から免許取消処分(66条1項8号・9号)について聴聞の期日・場所が公示された日以後に廃業の届出をした者は,相当の理由がない限り,届出の日から5年を経過しなければ,免許を受けることはできません(宅建業法・5条1項2号の2)

 しかし,本肢のように,<業務停止処分についての聴聞の期日及び場所の公示後聴聞が行われる前に相当の理由なく宅建業の廃止の届出をした者>には欠格要件に該当する旨の規定はないので,は免許を受けることができます。

3.「取締役が有罪となった社――が刑法第198条の罪 (贈賄罪) を犯し,懲役1年,執行猶予3年の刑に処せられ,その執行猶予期間が満了していない。」

【正解:できない

◆欠格要件のある役員がいる法人

 罪名を問わず禁錮以上の刑に処せられ,その刑の執行を終わり,又は執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者は,免許の欠格要件に該当し(宅建業法・5条1項3号),そのような者が役員になっている法人も免許を受けることができません(宅建業法・5条1項7号)

 本肢では,取締役が懲役1年,執行猶予3年の刑に処せられているので,社はDがそのまま取締役にとどまるとすれば,Dの執行猶予期間が満了するまでの間は免許を受けることができません。⇒ が取締役から下り,かつ,社に対して支配力を有していないならば,社は免許を受けることができます。

▼執行猶予期間が満了すれば,刑の言い渡しそのものの効力がなくなり,刑に処せられなかったことになるの(刑法27条),免許を受けることができます。(執行猶予期間が満了した日から5年が経過していなくても,免許を受けることができる。)

 KEY 

禁錮以上の刑で,執行猶予期間中にある者が役員になっている法人 

その者の執行猶予期間が満了するまでの間は免許を受けることができない。

4.「社の取締役を退任した――かつて勤務していた社が,不正の手段により宅地建物取引業の免許を取得したとして,乙県知事から免許を取り消されたが,その聴聞の期日及び場所の公示の日の30日前に同社の取締役を退任し,同社の免許の取り消しの日から5年を経過していない。」

【正解:できない

◆免許取消の聴聞の公示日前60日以内に免許を取り消された法人の役員であった者

 法人業者が不正の手段により宅地建物取引業の免許を取得したとして,免許権者から免許を取り消され,その聴聞の期日と場所が公示された日前60日以内に,その法人業者の役員であった者は,その法人業者が免許を取り消された日から5年を経過しなければ,免許を受けることはできません(宅建業法・5条1項2号)

 本肢でのは,免許取消しについての聴聞の期日及び場所の公示の日の30日前に社の取締役を退任しているので,上記の規定〔公示された日前60日以内に役員であった者〕に該当し,は,免許を受けることはできません。

 KEY 

免許取消の聴聞の公示日前60日以内
免許を取り消された法人の役員であった者 

その法人業者が免許を取り消された日から5年を経過しなければ,
免許を受けることはできない。


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