宅建業法 実戦篇
案内所等の規制の過去問アーカイブス 平成13年・問43
重要事項説明・50条2項の届出・標識・クーリングオフの可否
宅地建物取引業者Aが,自ら所有する土地を20区画の一団の宅地に造成し,これを分譲しようとしている。この場合,宅地建物取引業法 (以下この問において「法」という 。 ) の規定によれば,次の記述のうち正しいものはどれか。(平成13年・問43) |
1.「Aが,現地案内所を設置して,そこで法第35条の規定による重要事項の説明をさせようとするときには,その業務を行うのは,専任の取引主任者でなければならない。」 |
2.「Aは,分譲の代理を,他の宅地建物取引業者Bに依頼した。Bは単独でその分譲のために現地案内所を設置したが,Aは,この案内所の場所について,法第50条第2項の規定による届出をしなければならない。」 |
3.「Aは,現地案内所を設置して,そこで分譲を行おうとしているが,当該案内所には,法第50条第1項による国土交通省令で定める標識 (宅地建物取引業者票) を掲げなければならない。」 |
4.「Aが,法第15条第1項の規定により専任の取引主任者を置いて現地案内所を設置している場合に,当該案内所で買受けの申込みをした者は,申込みの日から起算して8日以内であれば,無条件で申込みの撤回をすることができる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「Aが,現地案内所を設置して,そこで法第35条の規定による重要事項の説明をさせようとするときには,その業務を行うのは,専任の取引主任者でなければならない。」 |
【正解:×】 ◆重要事項の説明をする取引主任者は,専任でなくてもよい 一団の宅地建物の分譲のための契約行為等を行う案内所には,専任の取引主任者を1人以上置かなければならないという規定はありますが(宅建業法15条1項,施行規則6条の2第3号),重要事項説明をさせるのは専任でなければならないという規定はないので(宅建業法35条1項),本肢は誤りです。 |
2.「Aは,分譲の代理を,他の宅地建物取引業者Bに依頼した。Bは単独でその分譲のために現地案内所を設置したが,Aは,この案内所の場所について,法第50条第2項の規定による届出をしなければならない。」 |
【正解:×】 ◆媒介・代理業者が設置した案内所についての50条2項の届出 宅建業者は,一団の宅地建物の分譲のための契約行為等を行う案内所〔専任の取引主任者を置く義務のある場所。〕を設置する場合は,あらかじめ,その業務を開始する10日前までに,50条2項の届出を,免許権者及びその所在地を管轄する都道府県知事に届け出なければなりません(宅建業法50条2項,施行規則6条の2,同19条3項)。 本肢の案内所は,分譲の代理業者であるBが単独で設置したのですから,Bは届出義務がありますが,Aには届出義務はありません(宅建業法50条2項,施行規則6条の2第3号)。 |
3.「Aは,現地案内所を設置して,そこで分譲を行おうとしているが,当該案内所には,法第50条第1項による国土交通省令で定める標識 (宅地建物取引業者票) を掲げなければならない。」 |
【正解:○】 ◆案内所の標識 一団の宅地建物の分譲のための案内所には,そこで契約行為等を行うかどうかに関係なく,標識を掲示する義務があります(宅建業法50条1項,施行規則6条の2第2号,同19条2項2号)。 |
4.「Aが,法第15条第1項の規定により専任の取引主任者を置いて現地案内所を設置している場合に,当該案内所で買受けの申込みをした者は,申込みの日から起算して8日以内であれば,無条件で申込みの撤回をすることができる。」 |
【正解:×】 ◆クーリングオフの適用 <法第15条第1項の規定により専任の取引主任者を置いて現地案内所を設置している場合に>というのは,この案内所では契約行為等を行うことを意味し,原則として,クーリングオフの規定が適用されない場所です(宅建業法37条の2第1項,施行規則16条の5第1項1号ロ)。専任の取引主任者を置く義務のある場所で,買受けの申込みをした場合は,専任の取引主任者がたまたま不在であったとしても,原則として,申込みの撤回をすることはできません(宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方)。 しかし,専任の取引主任者を置く義務のある案内所であっても,土地に定着していないもの〔テント張りの案内所〕の場合は,例外的に,クーリングオフの適用があり,申込みの撤回等ができる旨,撤回の方法について,書面を交付して告げられた日から起算して8日以内であれば,買受けの申込み等の撤回をすることができます(宅建業法37条の2第1項1号,施行規則16条の6)。 したがって,案内所でされた買受けの申込等は無条件で撤回できるわけではなく〔案内所が土地に定着しているかどうか,引渡しがすみ,かつ,代金全額を払っているかどうか〕,また撤回できる場合の期間は<書面を交付して告げられた日から起算して8日以内>なので,本肢には2つ誤りがあります。 |
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