宅建過去問 宅建業法

監督処分の過去問アーカイブス 平成20年・問45


宅地建物取引業者A (甲県知事免許) に対する監督処分に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。(平成20年・問45)

1 の専任の取引主任者が事務禁止処分を受けた場合において、の責めに帰すべき理由があるときは、甲県知事は、に対して指示処分をすることができる。

2 甲県知事は、の事務所の所在地を確知できないときは、直ちにの免許を取り消すことができる。

3 が宅地建物取引業法の規定に違反したとして甲県知事から指示処分を受け、その指示に従わなかった場合、甲県知事は、の免許を取り消さなければならない。

4 甲県知事は、に対して指示処分をした場合には、甲県の公報により、その旨を公告しなければならない。

<コメント>  
 
●出題論点●

 肢1 取引主任者が事務禁止処分を受けたことについて,宅建業者に帰責事由
    あるときは,まず指示処分の対象となる

 肢2 宅建業者の事務所の所在地が不確知の場合の免許取消し処分
    〔任意的取消し事由

 肢3 指示処分に違反 ⇒ まず,業務取消し処分の対象になり,
                   情状が特に重い場合に免許取消し処分になる。

 肢4 指示処分をしたときに,公告する義務はない。

【正解】

× × ×

 正答率  67.8%

1 の専任の取引主任者が事務禁止処分を受けた場合において、の責めに帰すべき理由があるときは、甲県知事は、に対して指示処分をすることができる。

【正解:平成10年・問31・肢4

◆取引主任者が処分を受けた場合に,宅建業者に帰責事由がある
  ⇒ 指示処分の対象

 取引主任者が指示処分,事務禁止処分,登録消除処分を受けたことについて,宅建業者に帰責事由があるときは,免許権者〔国土交通大臣及び都道府県知事〕は,その宅建業者に対して,指示処分をすることができます(宅建業法65条1項4号)

 この場合,免許権者〔国土交通大臣及び都道府県知事〕は指示処分をしないで,代わりに業務停止処分をすることができ(宅建業法65条1項4号,2項1号の2),さらに,情状が特に重いときは免許取消処分をしなければなりません(宅建業法66条1項9号)

免許権者以外の都道府県知事も,管轄する都道府県の区域内で業務を行う宅建業者に対して,指示処分・業務停止処分をすることができます(宅建業法65条3項,4項)
 ⇒ ただし,免許権者以外は免許取消し処分をすることはできない

2 甲県知事は、の事務所の所在地を確知できないときは、直ちにの免許を取り消すことができる。

【正解:×昭和63年・問44・肢2

◆所在不確知等の場合の免許取消し処分 〔任意的取消し事由〕

 国土交通大臣または都道府県知事は,

<その免許を受けた宅建業者の事務所の所在地を確知できないとき

<その免許を受けた宅建業者の所在(法人である場合においては、その役員の所在をいう。)を確知できないとき

 は,官報または当該都道府県の公報でその事実を公告し,その公告の日から30日を経過してもその宅建業者から申出がないときは,その宅建業者の免許を取り消すことができます(宅建業法67条1項)

 したがって,事務所の所在地を確知できないとき,直ちに免許を取り消すことができるのではないので,本肢は誤りです。

整理 所在不確知等による免許取消

 聴聞  所在不確知等による免許取消では,開催されない
 公告  所在不確知等によって免許を取り消されても,公告はない

●所在不確知の公告
 所在不確知による公告は以下のようなイメージです。 
  公 告

○宅地建物取引業者の事務所の所在地の確知 

 次の宅地建物取引業者については、その事務所の所在地を確知できないので、当該宅地建物取引業者は、京都府建設交通部建築指導課まで申し出られたい。

 なお、この公告の日から30日を経過しても申出がない場合は、宅地建物取引業法(昭和27年法律第176号)第67条第1項の規定により、免許を取り消す

 平成□年□月□日

                          京都府知事 ○○○○

商号又は名称 代表者の氏名 事務所の所在地 免許番号 免許年月日
 ・・・  ・・・  ・・・  ・・・  ・・・
 

 所在地の確知の公告で,「申出がない場合は,免許を取り消す」と予告しているので,
 所在不確知によって免許取消しになったときは,公告はされません。

3 が宅地建物取引業法の規定に違反したとして甲県知事から指示処分を受け、その指示に従わなかった場合、甲県知事は、の免許を取り消さなければならない。

【正解:×平成5年・問49・肢1

◆指示処分に従わない場合−業務停止処分,〔情状が特に重いとき〕免許取消

 宅建業者が指示処分を受けたのに,その指示に従わなかった場合は,まず業務停止処分の対象になり,情状が特に重い場合にのみ,免許取消し処分になります(宅建業法65条2項3号,4項3号,66条1項9号)

 宅建業者が指示に従わなかったときに,どんな場合でも免許を取り消さなければならないのではありません。したがって,本肢は誤りです。

取引主任者に対する監督処分では,指示処分に従わなかったときは事務禁止処分の対象になる(単に指示処分に従わなかったというだけで登録消除になることはない。事務禁止処分に違反したときは登録消除。)。なお,指示処分に該当する場合でも事務禁止処分にすることができ,情状が特に重いときは登録消除しなければならないことに注意。⇔ 宅建業者が指示処分に該当する行為を行った場合でも,免許権者は業務停止処分をすることができ,また情状が特に重いときは免許取消しをしなければならない。

4 甲県知事は、に対して指示処分をした場合には、甲県の公報により、その旨を公告しなければならない。

【正解:×

◆指示処分の場合,公告義務はない

 国土交通大臣または都道府県知事は,業務停止処分,免許取消し処分をしたときには,官報〔国土交通大臣免許業者〕または当該都道府県の公報〔都道府県知事免許業者〕で,その旨を公告しなければなりません (宅建業法70条1項,施行規則29条)

 しかし,指示処分をした場合に,公告しなければならないという規定はありません。

免許権者は,指示処分をしたときに,官報や都道府県の公報での公告はしなくても,マスコミなどの報道機関に対して,指示処分をした旨の記者会見を開くなど何らかの形で公表することがあります


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