宅建業法 実戦篇
宅建業者の過去問アーカイブス 昭和63年・問38
供託の届出・変更の届出・免許取消・免許換え
宅地建物取引業法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。なお,A社は,国土交通大臣の免許を受けた株式会社である。(昭和63年・問38) |
1.「A社は,宅地建物取引業を開始する場合,国土交通大臣が指定する供託所に営業保証金を供託し,その供託物受け入れの記載のある供託書の写しを添付して,その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」 |
2.「A社の監査役の氏名について変更があった場合,A社は30日以内にその旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」 |
3.「新たにA社の取締役になったBについて,3年前不正の手段により免許を受けたことを理由に,甲県知事に免許を取り消されたことが判明した場合,国土交通大臣は,A社に対し1年以内の期間を定めて業務停止を命じなければならない。」 |
4.「A社が乙県以外の都道府県の区域内の事務所を廃止し,乙県の区域内にのみ事務所を有することになった場合には,乙県知事の免許を受けなければならない。この場合において,乙県知事がA社の免許申請書を受理したときは,国土交通大臣の免許は,その効力を失う。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「A社は,宅地建物取引業を開始する場合,国土交通大臣が指定する供託所に営業保証金を供託し,その供託物受け入れの記載のある供託書の写しを添付して,その旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」 |
【正解:×】イジワル問題 ◆営業保証金を供託する供託所 宅建業者が営業保証金を供託するのは<主たる事務所のもよりの供託所>です(宅建業法25条1項)。国土交通大臣免許業者であっても,このことに変わりはありません。このため,本肢は誤りです。 なお,後半の<供託物受け入れの記載のある供託書の写しを添付して,その旨を免許権者である国土交通大臣に届け出なければならない。>とする部分は正しい記述です(宅建業法25条4項)。 ▼宅地建物取引業保証協会が弁済業務保証金を供託するのは,<法務大臣及び国土交通大臣が定める供託所>です(宅建業法64条の7第2項)。 |
2.「A社の監査役の氏名について変更があった場合,A社は30日以内にその旨を国土交通大臣に届け出なければならない。」 |
【正解:○】 ◆監査役の氏名の変更 宅地建物取引業者名簿の登載事項に変更があったときは,30日以内に,その旨を免許権者に届け出なければなりません(宅建業法9条,8条2項2号〜6号)。 役員の氏名は宅地建物取引業者名簿の登載事項であり,この役員の中には監査役も含まれています。 したがって,監査役の氏名に変更があった場合は,30日以内に,その旨を免許権者 (本肢では,国土交通大臣) に届け出なければなりません。
▼宅地建物取引業者名簿の登載事項で変更があった場合に変更の届出が義務付けられているのは, ・商号又は名称, の五つがあります(宅建業法9条,8条2項2号〜6号)。 |
3.「新たにA社の取締役になったBについて,3年前不正の手段により免許を受けたことを理由に,甲県知事に免許を取り消されたことが判明した場合,国土交通大臣は,A社に対し1年以内の期間を定めて業務停止を命じなければならない。」 |
【正解:×】 ◆免許取消事由−法人の役員に,5年以内に免許の不正取得で免許を取り消された者がいる場合 不正手段により免許を受けたことを理由に免許を取り消され,その日から5年を経過しない者が法人の役員や政令で定める使用人である場合は欠格要件に該当し,免許権者は,それが判明したときは,その法人の免許を取り消さなければなりません(宅建業法66条3号,5条1項2号)。 業務停止処分ですむ話ではないので,本肢は誤りです。 |
4.「A社が乙県以外の都道府県の区域内の事務所を廃止し,乙県の区域内にのみ事務所を有することになった場合には,乙県知事の免許を受けなければならない。この場合において,乙県知事がA社の免許申請書を受理したときは,国土交通大臣の免許は,その効力を失う。」 |
【正解:×】 ◆免許換え−国土交通大臣免許から知事免許 国土交通大臣免許業者であるA社が乙県以外の都道府県の区域内の事務所を廃止し,乙県の区域内にのみ事務所を有することになった場合には,乙県知事の免許を受けなければなりません。 本肢の場合,免許換えの申請は,新たに免許を受けようとする乙県知事に免許申請書を提出して行います(宅建業法7条2項,4条1項)。 この場合,従前の国土交通大臣の免許は,A社が乙県知事の免許を受けたときにその効力を失います(宅建業法7条1項)。 本肢では,<乙県知事がA社の免許申請書を受理したときは,国土交通大臣の免許は,その効力を失う。>としているので,誤りです。
▼免許換えの申請をして,新たな免許の処分がなされるまでの間は,従前の免許はなお効力を有するとされています(宅建業法7条2項,4条1項,3条4項)。 |
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