宅建過去問 税法その他
譲渡所得税の過去問アーカイブス 平成20年・問26
所得税法に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成20年・問26) |
1 譲渡所得の長期 ・ 短期の区分について、総合課税とされる譲渡所得の基因となる機械の譲渡は、譲渡のあった年の 1月1日において所有期間が5年を超えているか否かで判定する。 |
2 譲渡所得の金額の計算上、資産の譲渡に係る総収入金額から控除する資産の取得費には、その資産の取得時に支出した購入代金や購入手数料等の金額は含まれるが、その資産の取得後に支出した設備費、改良費の額は含まれない。 |
3 総合課税の譲渡所得の特別控除額 (50万円) は、譲渡益のうちまず長期譲渡に該当する部分の金額から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、短期譲渡に該当する部分の金額から控除する。 |
4 個人に対して、譲渡所得の基因となる資産をその譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額で譲渡した場合において、その譲渡により生じた損失の金額については、譲渡所得の金額の計算上、なかったものとみなされる。 |
<コメント> |
【正解】4
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | × | ○ |
正答率 | 16.6% |
1 譲渡所得の長期 ・ 短期の区分について、総合課税とされる譲渡所得の基因となる機械の譲渡は、譲渡のあった年の 1月1日において所有期間が5年を超えているか否かで判定する。 |
【正解:×】初出題 ◆所有期間の定義 土地建物等〔借地権等も含む〕の譲渡所得を計算するときの所有期間は,譲渡した年の1月1日での所有期間ですが, 土地建物等以外の資産の譲渡所得での所有期間は,譲渡した日における所有期間です(所得税法33条3項)。 また,土地建物等以外の資産の譲渡の場合,資産の取得の日以後5年以内であるかどうかで,短期譲渡所得,長期譲渡所得に分かれます。 短期譲渡所得−資産の取得日から5年以内に譲渡, したがって,本肢は誤りです。 |
●総合課税 |
土地建物等〔借地権等も含む〕を譲渡した場合はほかの所得と区分して課税されます〔譲渡所得の分離課税。租税特別措置法31条,32条〕。しかし,土地建物等以外の資産の譲渡所得では,他の所得−給与所得や事業所得など−と総合して一般の累進課税率で税額を計算します〔総合課税〕。 |
2 譲渡所得の金額の計算上、資産の譲渡に係る総収入金額から控除する資産の取得費には、その資産の取得時に支出した購入代金や購入手数料等の金額は含まれるが、その資産の取得後に支出した設備費、改良費の額は含まれない。 |
【正解:×】 ◆譲渡所得の金額の計算上控除する取得費 譲渡所得の金額の計算上控除する資産の取得費は,別段の定めがあるものを除き,原則として,その資産の取得に要した金額〔購入代金や購入手数料等〕だけでなく,資産の取得後に支出した設備費,改良費の額も含まれ,それらをすべて合計した額です(所得税法38条1項)。 |
3 総合課税の譲渡所得の特別控除額 (50万円) は、譲渡益のうちまず長期譲渡に該当する部分の金額から控除し、なお控除しきれない特別控除額がある場合には、短期譲渡に該当する部分の金額から控除する。 |
【正解:×】初出題,類似・平成2年・問29・肢4, ◆50万円の特別控除−短期譲渡所得と長期譲渡所得があるとき 土地建物等以外の資産の総合課税の譲渡所得での特別控除額 (50万円) は,譲渡益のうちまず短期譲渡に該当する部分の金額から控除し,なお控除しきれない特別控除額がある場合には、長期譲渡に該当する部分の金額から控除します(所得税法33条5項)。
▼短期譲渡所得と長期譲渡所得のどちらかしかない場合に,譲渡益が50万円に満たないときは,その譲渡益が特別控除される限度となります。 |
4 個人に対して、譲渡所得の基因となる資産をその譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額で譲渡した場合において、その譲渡により生じた損失の金額については、譲渡所得の金額の計算上、なかったものとみなされる。 |
【正解:○】初出題,関連・平成17年・問26・肢3, ◆時価による譲渡とみなす低額譲渡 居住者が,個人に対して,譲渡所得の基因となる資産をその譲渡の時における価額の2分の1に満たない金額で譲渡した場合に, 当該対価の額が当該資産の譲渡に係る譲渡所得の金額の計算上控除する必要経費,取得費,譲渡に要した費用の額の合計額に満たないときは, その不足額〔その譲渡により生じた損失の金額〕は,その譲渡所得の金額の計算上,なかったものとみなされます (所得税法59条2項,所得税法施行令169条)。 対価の額 < 必要経費,取得費,譲渡に要した費用の額の合計額 |
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