宅建1000本ノック
  改正法一問一答2004 

都市計画法・建築基準法 特定防災街区整備地区 


特定防災街区整備地区及び防災街区整備地区計画の区域に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。

1.「特定防災街区整備地区は,都市計画区域及び準都市計画区域のうち,用途地域の定められていない区域には定めることができない。」

2.「建築物が特定防災街区整備地区の区域内にある場合,原則として,耐火建築物としなければならない。

3.「建築物が特定防災街区整備地区と特定防災街区整備地区として指定されていない区域にわたる場合,原則として,その全部について,耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。」

4.「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律によれば,防災街区整備地区計画の区域〔地区防災施設の区域又は防災街区整備地区整備計画が定められている区域に限る。〕内において土地の区画形質の変更を行おうとする者は,都市計画法第29条第1項の開発許可を要する場合でも,市町村長に届け出なければならない。」

【正解】

× × ×

⇒ 参考・http://www.onyx.dti.ne.jp/~otsc/machizukurivol8/johobox.html

1.「特定防災街区整備地区は,都市計画区域及び準都市計画区域のうち,用途地域の定められていない区域には定めることができない。」▼その他の法令

【正解:×】⇒都市計画法:特定防災街区整備地区

◆防火地域又は準防火地域内に定める

 特定防災街区整備地区は,密集市街地内の土地の区域に定めることができますが,具体的には,防火地域又は準防火地域が定められている土地の区域のうち防災都市計画施設と一体となって特定防災機能を確保するための防災街区として整備すべき区域などに定めます。(密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律・31条1項,2項)

特定防災機能 火事又は地震が発生した場合において延焼防止上及び避難上確保されるべき機能をいう。(2条3号)

防災街区 その特定防災機能が確保され、及び土地の合理的かつ健全な利用が図られた街区をいう。(2条2号)

 (もともと防火地域は密集市街地等に指定されるものであることを思い出してください。)

 用途地域が定められているかどうかは,特定防災街区整備地区の指定には関係ありません。

1 密集市街地内の土地の区域については、当該区域及びその周辺の密集市街地における特定防災機能の確保並びに当該区域における土地の合理的かつ健全な利用を図るため、都市計画に、特定防災街区整備地区を定めることができる。

2 特定防災街区整備地区は、防火地域又は準防火地域が定められている土地の区域のうち防災都市計画施設(防災都市施設に係る都市計画施設をいう。)と一体となって特定防災機能を確保するための防災街区として整備すべき区域その他当該密集市街地における特定防災機能の効果的な確保に貢献する防災街区として整備すべき区域に定めるものとする。(密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律・31条1項,2項)

●特定防災街区整備地区の都市計画で定めるもの

位置,区域,面積のほかに,特定防災街区整備地区に関する都市計画では以下のものを定めることができる。(建築基準法)

 ・建築物の敷地面積の最低限度(67条の2第3項)

 ・(特定防災機能の確保又は土地の合理的かつ健全な利用を図るため必要な場合)壁面の位置の制限(67条の2第5項)

 ・間口率の最低限度・建築物の高さの最低限度(67条の2第6項)

2.「建築物が特定防災街区整備地区の区域内にある場合,原則として,耐火建築物としなければならない。▼建築基準法

【正解:×】⇒建築基準法・特定防災街区整備地区条文確認

◆耐火建築物・準耐火建築物

 特定防災街区整備地区内にある建築物は,原則として,耐火建築物又は準耐火建築物としなければいけません。(建築基準法・67条の2第1項)

 例外として,特定防災街区整備地区内にあっても,耐火建築物又は準耐火建築物としなくてもよい場合がありますが,防火地域と同じです。

●耐火建築物または準耐火建築物
1 特定防災街区整備地区内にある建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物
  しなければならない。ただし、第61条各号のいずれかに該当するものは、
  この限りでない。(建築基準法・67条の2第1項)
【解説】

  (第61条は,『防火地域内の階数が三以上であり、又は延べ面積が100平方
  メートルを超える建築物は耐火建築物とし、その他の建築物は耐火建築物
  又は準耐火建築物としなければならない』とするもので,第61条各号とは,
  この規定の対象外となるものであり,以下のものです。

  一 延べ面積が五十平方メートル以内の平家建の附属建築物で、外壁及び
    軒裏が防火構造のもの

  二 卸売市場の上家又は機械製作工場で主要構造部が不燃材料で造られた
    ものその他これらに類する構造でこれらと同等以上に火災の発生の
    おそれの少ない用途に供するもの

  三 高さ二メートルを超える門又は塀で不燃材料で造り、又は覆われたもの

  四 高さ二メートル以下の門又は塀

  したがって,この規定は防火地域内と全く同じなので,記憶の節約になります

 <まとめ>  特定防災街区整備地区内では,原則として,
        『耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない』

3.「建築物が特定防災街区整備地区と特定防災街区整備地区として指定されていない区域にわたる場合,原則として,その全部について,耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。」▼建築基準法

【正解:】⇒建築基準法・特定防災街区整備地区条文確認

◆特定防災街区整備地区の内外にわたる場合

 建築物が特定防災街区整備地区特定防災街区整備地区として指定されていない区域にわたる場合,原則として,建築物の全部について,特定防災街区整備地区にあるとみなして,耐火建築物又は準耐火建築物としなければいけません。(建築基準法・67条の2・第2項)

 ただし,その建築物が特定防災街区整備地区外において防火壁で区画されている場合は,その防火壁外の部分については,この規定は適用されません。(⇒ 『防火地域と準防火地域にわたる場合に,準防火地域側で防火壁で区画されているときは,その防火壁外の部分は,準防火地域の規定が適用される』という規定(67条2項)がありました。この規定と似ています。)

●耐火建築物と準耐火建築物
「耐火建築物」とは,火災の終了までの間に延焼を受けず,建物が倒壊するほどの変形や損傷が起きないような建築物で,基本的には火災後も修繕などにより再使用が可能な建築物をいいます。「準耐火建築物」とは,火災が発生したときに延焼・倒壊をしにくい建築物をいいますが,基本的には,火災後の再使用までは想定していません。

4.「密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律によれば,防災街区整備地区計画の区域〔地区防災施設の区域又は防災街区整備地区整備計画が定められている区域に限る。〕内において土地の区画形質の変更を行おうとする者は,都市計画法第29条第1項の開発許可を要する場合でも,市町村長に届け出なければならない。」
▼その他の法令

【正解:×

◆防災街区整備地区計画の区域での市町村長への届出

 法改正があったときに宅建試験でよく使われる手口に『狙い外しの手法』があります。改正点そのものを出題しないで,その代わりに関連するものを出題して受験者の気持ちを殺ぐという方法です。本肢はその対策として出題しました。

 本肢の背景は,地区計画等(都市計画法12条の4)区域に共通する規定です。

●グルーピングで覚えましょう 

地区計画集落地区計画沿道地区計画防災街区整備地区計画の各区域内で,建築物の建築・工作物の建設・土地の区画形質の変更等を行おうとする者は,原則として,着手する30日前までに,市町村長に届け出なければならない。(都市計画法58条の2第1項,集落地域整備法6条1項,幹線道路の沿道の整備に関する法律10条1項,密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等33条1項)

 防災街区整備地区計画の区域〔地区防災施設の区域又は防災街区整備地区整備計画が定められている区域に限る。〕内では,土地の区画形質の変更を行おうとする者は,原則として市町村長に届け出なければいけませんが,開発許可を要する場合は届出の必要はありません。したがって,本肢は×です。

●届出を要しない場合

 〔地区計画集落地区計画沿道地区計画防災街区整備地区計画の各区域とも共通

・通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの
・非常災害のため必要な応急措置として行う行為
・国又は地方公共団体が行う行為
・都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為
都市計画法第29条第1項の開発許可を要する行為

●行為の届出等−密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律
第33条  防災街区整備地区計画の区域〔地区防災施設の区域(特定地区防災施設が定められている場合にあっては、当該特定地区防災施設の区域及び特定建築物地区整備計画)又は防災街区整備地区整備計画が定められている区域に限る。〕内において、土地の区画形質の変更建築物等の新築改築又は増築その他政令で定める行為をしようとする者は、当該行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、行為の種類、場所、設計又は施行方法、着手予定日その他国土交通省令で定める事項を市町村長に届け出なければならない。ただし、次に掲げる行為については、この限りでない。

一  通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で政令で定めるもの

二  非常災害のため必要な応急措置として行う行為

三  国又は地方公共団体が行う行為

四  都市計画事業の施行として行う行為又はこれに準ずる行為として政令で定める行為

五  都市計画法第29条第1項の許可を要する行為

六  第36条第1項の規定による公告があった防災街区整備権利移転等促進計画の定めるところによって設定され、又は移転された次条第1項に規定する権利に係る土地において当該防災街区整備権利移転等促進計画に定められた土地の区画形質の変更、建築物等の新築、改築又は増築その他同条第2項第6号に規定する国土交通省令で定める行為に関する事項に従って行う行為

七  前各号に掲げるもののほか、政令で定める行為

2  前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち国土交通省令で定める事項を変更しようとするときは、当該事項の変更に係る行為に着手する日の30日前までに、国土交通省令で定めるところにより、その旨を市町村長に届け出なければならない。

●防災街区整備事業の施行として行う開発行為は,開発許可不要

平成15年の都市計画法改正により,開発許可不要なものとして防災街区整備事業の施行として行われる開発行為が追加されたので注意したい。(都市計画法・29条1項9号)

 都市計画区域内で開発許可不要のもの 両区域外の扱い
 都市計画事業の施行として行う開発行為
(都市計画区域及び準都市計画区域)
開発許可不要
 土地区画整理事業の施行として行う開発行為  −
 市街地再開発事業の施行として行う開発行為  −
 住宅街区整備事業の施行として行う開発行為  −
 防災街区整備事業の施行として行う開発行為  −

●都市計画事業等の開発許可不要な開発行為の出題歴
都市計画事業 平成14年・問19,
土地区画整理事業 昭和55年・問17,62年・問19,平成7年・問20,10年・問18,
【関連問題】平成13年・問18,
市街地再開発事業 平成15・問18,


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