平成13年・マンション管理士 本試験
マンションの設備・維持保全・修繕計画9問、
●設備
〔問37〕 マンションに用いられる構造方式とその特徴に関する次の記述のうち、
誤っているものはどれか。
1 壁式構造は、壁や床等の面的な構造部材により荷重や外力に対応する構造方
式で、中低層の建物に多く用いられる。
2 ラーメン構造は、チューブ状の鋼管にコンクリートを充填したものを主要な構造
部材とする構造方式で、中高層の建物に多く用いられる。
3 鉄骨鉄筋コンクリート構造は、鉄骨の骨組みを鉄筋コンクリートで覆ったものを
主要な構造部材とする構造方式で、高層の建物に多く用いられる。
4 免震構造は、積層ゴム等の支承を設けて地盤から建物に伝わる地震の振動を
軽減しようとする構造方式である。
〔問38〕 排水設備に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1 ゴミの排水立て管への流出を防ぐ措置として、衛生設備と排水枝管の接続部
に加えて、その排水枝管の途中にもトラップを設けた二重トラップが採用される。
2 トラップの主な機能は、排水管内の臭気や害虫が室内に侵入することを防ぐ
ことである。
3 通気管の主な機能は、トラップの封水を保持したり、排水の流れが円滑に行
われるようにすることである。
4 マンションの排水には、汚水、雑排水、雨水の3系統があるが、汚水と雑排
水は、同一の排水立て管を用いることがある。
〔問39〕 マンション(5階建て壁式構造)の4階における居室のダイニング・キッ
チンのリフォームに係る増築が、下図のとおり、計画されている。この場合に関す
る次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 Aを避難上有効なバルコニーとするために、避難ハッチ等の設置が必要である。
2 Bの外壁は主要な構造部であるので、補強がなされなければ、耐震性が低下する。
3 既存バルコニー内の増築であるので、容積率は変わらない。
4 この増築を実施するためには、規約に別段の定めがない限り、区分所有者及び
議決権の各3/4以上の多数による議決が必要である。
◆現在の間取り(略図)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
| | 隣の区分所有者の
| キッチン 水 | 専有部分
| 回 |
| り |
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| バルコニー ↑B | 隣のバルコニー
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◆増築後の間取り(略図)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
| 水回り | 隣の区分所有者の
| キッチン | 専有部分
| |
| キッチンとして |
━━━━━━━━━ この部分が ━━━━━━━━━━━
| バルコニー | 広がる | 隣のバルコニー
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
以下の註は、問題文にはなく、略図のため、説明を補足したものです。
註・バルコニーの向かって右側を、キッチンとしてリフォーム。
この広げられたキッチンは、左側はもともとのバルコニー、
右側は、隣の区分所有者のバルコニーに接することになる。
水回りも、位置が移動している。
〔問40〕 マンションの設備に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1 エレベーターのいわゆるPOG契約は、消耗品の交換だけではなく、部品の
取替えや修理を状況にあわせて行うことを含む保守契約のことである。
2 油圧式エレベーターの場合、一般に最上階に機械室を設置することが多い。
3 屋内消火栓は、消防隊が放水のために使用することを主目的として設けられ
た消防用設備である。
4 借室電気室は、建物内に電気を供給するための変電設備を設置したスペース
で、電力会社が借り受け、設備の維持管理はすべて電力会社が行う。
●マンションの維持保全
〔問41〕 マンションの維持保全に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 竣工が昭和56年以前のマンションは、一般的に旧耐震基準で設計されてい
るため、適切な時期に耐震診断を行うことが望ましい。
2 階段室をエレベーター室に改造する工事費に充てるため借入れをした場合、
その利息の支払いには、管理費を充当する。
3 建設省が実施した「平成11年度マンション総合調査」によれば、長期修繕計画
を作成していると回答した管理組合は、全体の80パーセントを超えている。
4 修繕積立金の目的は、将来の修繕実施時の一時金徴収をなるべく避け、修繕
を円滑に実施することにある。
〔問42〕 マンションの維持保全に関する次の記述のうち、適切でないものはどれか。
1 マンションを良好に維持保全することは、区分所有者等の居住者、管理組合
にとってのみならず、周辺地区や都市環境にも重要であるので、国及び地方公共
団体は、必要な情報及び資料の提供等の措置を講ずるよう努めなければならない。
2 中高層共同住宅標準管理規約(団地型)においては、特別修繕費の徴収は、
団地の管理組合で一括して行うこととされている。
3 マンションの維持保全が最適な時期に行われるよう、建物診断、長期修繕計画
の作成及び修繕積立金の確保について、規約に定められていることが望ましい。
4 マンションの維持保全には、耐用年数を考慮する必要があるが、鉄筋コンクリ
ート造のマンションに関する税法上の固定資産税減価償却耐用年数は、平成10
年の改正時に60年に延長されている。
●マンションの長期修繕計画と特別修繕費
〔問43〕 マンションの長期修繕計画と特別修繕費に関する次の記述のうち、適切
でないものはどれか。
1 長期修繕計画は、どの部分を、いつ頃、どの位の費用で修繕すべきかを計画
するもので、特別修繕費の算定根拠としても重要である。
2 長期修繕計画の計画期間は、あまり長すぎても現実的ではないので、10年程
度が一般的である。
3 長期修繕計画で対象となる主要な工事項目には、屋上防水、外壁補修、給排
水管取替等がある。
4 長期修繕計画では、修繕工事費だけではなく、調査診断、修繕設計、工事管理、
長期修繕計画の見直しなどのコンサルタント費用も計上しておくことが重要である。
●マンションの調査診断、改修設計
〔問44〕 マンションの調査診断及び改修設計に関する次の記述のうち、適切で
ないものはどれか。
1 鉄筋コンクリートの中性化が進むと、コンクリート強度の低下により躯体の
耐久性の低下につながる。
2 コンクリートのひび割れは、漏水につながるだけでなく、コンクリートの中
性化、鉄筋腐食をももたらす劣化現象であるので、注意が必要である。
3 調査診断における予備調査は、目視等簡便な方法で行い、通常は、診断
機器の使用や破壊試験は行わない。
4 排水管の更新改修は専有部分内については困難であるので、エポキシ樹脂
ライニング工法による更正工法があるが、現段階では主流ではない。
●マンションの大規模修繕工事の請負、工事監理
〔問45〕 マンションの大規模修繕工事の請負及び工事監理に関する次の記述の
うち、適切なものはどれか。
1 マンションの全面的な排水管取替工事は、建築基準法で定める大規模の修繕
に該当しない。
2 工事が設計図書のとおりに実施されているか否かを確認する工事監理に関して
は、その工事費が1億円以上のものについては、一級建築士が当たることが義務
付けられている。
3 コンクリートのひび割れ長さやタイルの浮き枚数については、事前に数量を
確定することが難しいので、実費清算方式を採用することがあるが、この方式は、
清算後の増額高が予測できないので避けたほうがよい。
4 工事完成後のアフターケアを十分に行うため、請負業者が竣工図書を提出
するとともに、竣工後は有償で定期点検を行うのが通例である。
【正解】
37 | 38 | 39 | 40 | 41 |
2 | 1 | 3 | 4 | 2 |
42 | 43 | 44 | 45 | ** |
4 | 2 | 1 | 1 | ** |
●平成13年度・マンション管理士試験 |
管理基本法令・標準管理規約等(問1〜問18),諸法令(問19〜問25),管理組合の運営(問28〜問36),設備・維持保全・修繕(問37〜問45),管理適正化法(問46〜問50) |