Brush Up! 権利の変動篇
不動産登記法の過去問アーカイブス 区分建物の登記 昭和62年・問15 改正対応
区分建物に係る登記に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(昭和62年・問15) |
1.「区分建物における建物の表題登記の申請は,その一棟の建物に属する他の全ての区分建物の表題登記の申請と共に行わなければならない。」 |
2.「規約共用部分である旨の登記は,当該建物の登記記録の権利部の甲区に記録される。」 |
3.「法定共用部分は,その旨の登記を,区分建物の属する一棟の建物の表題部に記録される。」 |
4.「区分建物の表示に関する登記をした場合において,敷地権の表示の登記をしたときは,敷地権の目的である土地の登記記録の表題部にも敷地権の登記をしなければならない。」 |
※ 区分建物 建物の区分所有等に関する法律第2条第1項に規定する区分所有 権の目的である建物をいう。 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
1.「区分建物における建物の表題登記の申請は,その一棟の建物に属する他の全ての区分建物の表題登記の申請と共に行わなければならない。」(類・平成8年・問16) |
【正解:○】 ◆表題登記はまとめて 区分建物の表題登記は,その1棟に属する他の全ての区分建物の表題登記と同時に原始取得者〔建築主・分譲主〕が申請しなければいけません。(不動産登記法・48条1項) 簡単に言えば,1棟の建物に属する全ての区分建物(専有部分)の表題部がこのときに設けられます。 |
2.「規約共用部分である旨の登記は当該建物の登記記録の権利部の甲区に記録される。」(類・平成13年・問14,平成8年問16) |
【正解:×】 ◆規約共用部分の登記=当該区分建物の表題部 × 当該建物の登記記録の甲区 ex.管理人室、集会室などの、「専有部分が規約共用部分」の場合は、当該専有部分の表題部の「原因及びその日付」の欄に、<規約設定、共用部分>と記録されることにより「共用部分たる旨」が記録されたことになります(不動産登記法・58条1項,準則103条1項)。 規約共用部分は、区分建物(専有部分)及び附属の建物であり、これを区分所有者の規約の設定により共用とされた部分をいいます。 規約共用部分である旨の登記は,表題部所有者または所有権の登記名義人が申請します(不動産登記法・58条2項)。(それ以外の者が申請することはできません。) 「規約による共用部分の登記」は、区分所有者全員が知っておくべき事項なので、規約共用部分である旨の登記の申請があると、当該区分建物の登記記録の“表題部”にされます。「(規約)共用部分たる旨の登記」がなされると、建物としての表示に関する登記は残されますが、表題部所有者に関する登記事項は抹消する記号が記録され、権利部の甲区および乙区になされた所有権その他の権利の登記はすべて抹消され(不動産登記法・58条4項,登記規則・141条)、所有権その他の権利に関する登記は一切されません。
▼規約共用部分の例
トランク・ルームは、規約共用部分として、専用使用権が設定されている場合が ▼規約共用部分は、独立して取引の対象になりうるものであるため、共用部分である旨の登記をしておかないと第三者に対抗することができません。これは、取引の安全のために、区分所有法第4条2項の後段で規定されています。ただ、この登記は強制されているわけではなく、申請期間も特に定められているわけではありません。 ▼規約の廃止などにより、規約共用部分を専有部分に復する場合も、その旨を登記することにより、第三者に対抗できます。(不動産登記法・58条6項) ▼規約共用部分である旨の登記の登記は,所有権以外の権利に関する登記があるときはその登記名義人の承諾がなければ、申請することができません(不動産登記法・58条3項)。 |
3.「法定共用部分は,その旨の登記を,区分建物の属する一棟の建物の表題部に記録される。」(類・平成元年問16) |
【正解:×】
◆法定共用部分である旨=登記されない 法定共用部分とは、区分建物の属する一棟の建物の中で、区分所有権の対象となる専有部分(区分建物。規約共用部分となっているものも含む。)に該当しない建物の部分や建物の附属物のことをいいます。 ex.一棟の建物の玄関、ロビー、エレベーター室、廊下、階段室など。 「法定共用部分である旨」は、そもそも一棟の建物の表題部の登記事項にはないので(不動産登記法27条,44条)、本肢は誤りです。 1棟の建物のうち、専有部分とされないものは全て法定共用部分とされます。
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4.「区分建物の表示に関する登記をした場合において,敷地権の表示の登記をしたときは,敷地権の目的である土地の登記記録の表題部にも敷地権の登記をしなければならない。」(類・平成13年・問14,平成8年問16) (関連・平成元年・問16,昭和61年・問16) |
【正解:×】 ◆敷地権たる旨の登記→土地の登記記録の権利部の相当区 区分建物の敷地権の目的となった旨の登記は、土地の登記記録中の、表題部ではなく、権利部の相当区、つまり、 ・その敷地利用権が所有権に基づく→「甲区」 ・地上権又は賃借権の場合→「乙区」 に登記官の職権で登記がなされます(不動産登記法・46条,登記規則119条1項)。 ▼敷地権の表示が登記されるとは何か ・表題部(1棟の建物の表示に関する事項)に、「敷地権の目的たる土地の表示の登記」がなされる。 ・表題部(専有部分の表示に関する事項)に、「敷地権の表示」がなされる。 |
●敷地権たる旨の登記まで |
分譲業者などがマンションを新築 ↓ 表題登記 ↓ 敷地権の表示 (・1棟の建物の表題部に、「敷地権の目的たる土地の表示」の登記がなされる。 ・区分建物の表題部に、「敷地権の表示」の登記がなされる。) ↓ 敷地権たる旨の登記 (敷地権の表示の登記がなされると、登記官が、敷地権の目的である土地の登記用紙の相当区事項欄に職権で、登記する。) |
▼区分建物の登記の過去問(単独問題) |