宅建過去問 法令上の制限
宅地造成等規制法の過去問アーカイブス 平成21年・問20
宅地造成等規制法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。なお、この問における都道府県知事とは、地方自治法に基づく指定都市、中核市、特例市にあってはその長をいう。(平成21年・問20) |
1 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地で宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁が設置されておらず、これを放置するときは宅地造成に伴う災害の発生の恐れが大きいと認められるものがある場合、一定の限度のもとに、当該宅地の所有者、管理者又は占有者に対して、擁壁の設置を行うことを命ずることができる。 |
2 宅地造成工事規制区域内において、切土であって、当該切土をする土地の面積が400平方メートルで、かつ、高さ1mの崖 (がけ) を生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。 |
3 都道府県は、宅地造成工事規制区域の指定のために行う測量又は調査のため他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。 |
4 宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事について許可をする都道府県知事は、当該許可に、工事の施行に伴う災害を防止するために必要な条件を付することができる。 |
<コメント> |
全肢とも条文レベルの知識で解ける問題です。 |
●出題論点● |
(肢1) 改善命令
(肢2) 切土をする場合に許可が必要になる規模 (肢3) 土地の立入り等に伴う損失の補償 (肢4) 工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
正答率 | 89.8% |
1 都道府県知事は、宅地造成工事規制区域内の宅地で宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁が設置されておらず、これを放置するときは宅地造成に伴う災害の発生の恐れが大きいと認められるものがある場合、一定の限度のもとに、当該宅地の所有者、管理者又は占有者に対して、擁壁の設置を行うことを命ずることができる。 |
【正解:○】平成6年・問25・肢4,平成17年・問24・肢4, ◆改善命令 都道府県知事(指定都市,中核市又は特例市の区域内の土地については,それぞれ指定都市,中核市又は特例市の長)は,宅地造成工事規制区域内の宅地で,宅地造成に伴う災害の防止のため必要な擁壁等が設置されておらず,又は極めて不完全であるために,放置するときは,宅地造成に伴う災害の発生のおそれが大きいと認められるものがある場合において,その災害の防止のため必要であり,かつ,土地の利用状況その他の状況からみて相当であると認められる限度において,当該宅地又は擁壁等の所有者,管理者又は占有者に対して,相当の猶予期限を付けて,擁壁等の設置・改造,地形・盛土の改良のための工事を行うことを命ずることができます(宅地造成等規制法17条1項)。 |
2 宅地造成工事規制区域内において、切土であって、当該切土をする土地の面積が400平方メートルで、かつ、高さ1mの崖 (がけ) を生ずることとなるものに関する工事を行う場合には、都市計画法第29条第1項又は第2項の許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した工事を除き、都道府県知事の許可を受けなければならない。 |
【正解:×】 ◆切土をする場合に許可が必要になる規模 宅地造成工事規制区域内において切土のみを行う場合に, 都道府県知事(指定都市,中核市又は特例市の区域内の土地については,それぞれ指定都市,中核市又は特例市の長)の許可を受けなければならないのは,(1)切土をした土地の部分に高さが2mを超える崖を生ずることとなるもの (2)切土をする土地の面積が500平方メートルを超えるもののどちらかに該当する場合です(宅地造成等規制法2条2項,施行令3条)。 本肢のケースでは,生ずる崖の高さは1mですから2m未満で,切土をする土地の面積が400平方メートルであることから,(1),(2)のどちらにも該当しません。 したがって,本肢のケースでは,許可を受ける必要はないので,本肢は誤りです。 |
3 都道府県は、宅地造成工事規制区域の指定のために行う測量又は調査のため他人の占有する土地に立ち入ったことにより他人に損失を与えた場合においては、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。 |
【正解:○】初出題 ◆土地の立入り等に伴う損失の補償 都道府県知事又はその命じた者若しくは委任した者は,宅地造成工事規制区域の指定のため他人の占有する土地に立ち入って測量又は調査を行う必要がある場合,その必要の限度において,他人の占有する土地に立ち入ることができます(宅地造成等規制法4条1項)。 この場合,都道府県(指定都市,中核市又は特例市の区域内の土地については,それぞれ指定都市,中核市又は特例市)は,他人に損失を与えた場合には,その損失を受けた者に対して,通常生ずべき損失を補償しなければなりません(宅地造成等規制法7条1項)。 |
4 宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事について許可をする都道府県知事は、当該許可に、工事の施行に伴う災害を防止するために必要な条件を付することができる。 |
【正解:○】平成8年・問26・肢3,平成16年・問23・肢2, ◆工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件 都道府県知事(指定都市,中核市又は特例市の区域内の土地については,それぞれ指定都市,中核市又は特例市の長)は,宅地造成工事規制区域内の宅地造成について許可をする際に,工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付することができます(宅地造成等規制法8条3項)。 |
過去問アーカイブス・法令制限に戻る 宅地造成等規制法の過去問アーカイブスに戻る