法令上の制限 実戦篇
宅地造成等規制法の過去問アーカイブス 平成8年・問26
宅地造成等規制法に規定する宅地造成工事規制区域(以下この問において「規制区域」という。) に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。なお,この問における都道府県知事とは,地方自治法に基づく指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長をいうものとする。 (平成8年・問26) |
1.「規制区域は,宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものについて指定される。」 |
2.「規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については,工事施行者は,当該工事に着手する前に,都道府県知事の許可を受けなければならない。」 |
3.「規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の許可については,都道府県知事は,工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付すことができる。」 |
4.「規制区域内において許可を受けて行われた宅地造成に関する工事が検査に合格した場合,都道府県知事は,造成主に対して検査済証を交付しなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「規制区域は,宅地造成に伴い災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地となろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものについて指定される。」 |
【正解:○】昭和58年,61年,平成元年,4年,8年,9年,10年 ◆災害が生じるおそれの著しい「市街地」又は「市街地になろうとしている土地の区域」に指定される 都道府県知事〔指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長をいう〕は,この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは,関係市町村長〔特別区の長を含む〕の意見を聴いて,宅地造成に伴ない災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを,宅地造成工事規制区域として指定することができます。(3条1項) ●規制区域の指定での注意点 ・法律の目的を達成するために必要があると認めるときに指定する。必ず指定ではない。 ・都市計画区域の内外を問わず,宅地造成に伴ない災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものに指定できる。 |
●類題 |
「規制区域は,宅地造成に伴い,がけくずれ又は土砂の流出を生ずるおそれが大きい土地の区域であれば,どこでも指定することができる。」(昭和51年) |
【正解 :×】『市街地又は市街地になろうとする土地の区域』に限られる。どこでも指定することができるのではない。→人が密集していく土地に土砂災害が生じるのを防ぐ。 |
2.「規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については,工事施行者は,当該工事に着手する前に,都道府県知事の許可を受けなければならない。」 |
【正解:×】同一問題・昭和59年,平成3年,8年 ◆工事施工者ではなく造成主 条文上では許可を受けるのは「工事施行者」ではなく,「造物主」。確かに,請負工事ではないときは,造物主=工事施行者になりますが,それを考えているとドツボにはまります。ここはスナオに条文上の表現である「許可を受けるのは造物主」だということを思い出さないといけません。 ■造成主 宅地造成に関する工事の請負契約の注文者又は請負契約によらないで自らその工事をする者。 ■工事施行者 宅地造成に関する工事の請負人又は請負契約によらないで自らその工事をする者。 |
3.「規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の許可については,都道府県知事は,工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を付すことができる。」 |
【正解:○】平成8年,平成16年, ◆条件を付す 都道府県知事〔または指定都市等の長〕は,宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事の許可について,工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を附すことができます。(8条3項) |
●許可の基準 |
1.「都道府県知事は,規制区域内において行われる宅地造成に関する工事について,当該工事の計画が宅地造成等規制法に基づく政令に定める技術的基準に適合しないと認めるときは,許可をしてはならない。」(不動産鑑定士・平成7年) |
【正解 :○】8条2項そのまま。 |
4.「規制区域内において許可を受けて行われた宅地造成に関する工事が検査に合格した場合,都道府県知事は,造成主に対して検査済証を交付しなければならない。」 |
【正解:○】昭和62,平成元年,6年,7年,8年 ◆完了検査 造成主は,許可を受けた宅地造成工事が完了したとき,政令で定める技術的基準に従い災害を防止するための必要な措置が講じられているかどうかについて,国土交通省令で定めるところにより,都道府県知事の検査を受けなければいけません。(13条1項) ●検査済証 都道府県知事は,検査の結果工事が技術的基準に適合していると認めた場合は,国土交通省令で定める様式の検査済証を造成主に交付しなければなりません。(12条2項) |
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