法令上の制限 実戦篇
宅地造成等規制法の過去問アーカイブス 昭和55年・問23
宅地造成等規制法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。なお,この問における都道府県知事とは,地方自治法の指定都市等にあっては,それぞれの指定都市等の長をいうものとする。(昭和55年・問23) |
1.「宅地造成工事規制区域内において許可を受けて行う宅地造成に関する工事は,すべて,政令で定める一定の資格を有する者の設計によらなければならない。」 |
2.「宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用した者は,許可を受けなければならない場合を除き,すべて,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」 |
3.「宅地造成工事規制区域の指定前に,宅地造成に関する工事が行われた宅地については,都道府県知事の勧告を受けることはない。」 |
4.「宅地造成工事規制区域の指定の際,当該宅地造成工事規制区域内において現に行われている宅地造成に関する工事の造成主は,一定期間内に,その工事について許可を受けなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「宅地造成工事規制区域内において許可を受けて行う宅地造成に関する工事は,すべて,政令で定める一定の資格を有する者の設計によらなければならない。」 |
【正解:×】昭和55年,59年,平成6年 ◆設計資格−災害防止のため必要な措置のうち政令で定める工事に必要 <宅地造成に関する工事は,すべて政令で定める一定の資格を有する者の設計によらなければならない>というのはウソです。宅地造成工事のうち,災害を防止するために必要な措置のうち一定のものについては政令で定める資格を有する者の設計によらなければいけませんが,宅地造成工事の全てについて必要なのではありません。 宅地造成工事規制区域内における宅地造成に関する工事は,もともと擁壁又は排水施設の設置その他宅地造成に伴う災害を防止するため,必要な措置をとるものとされており(9条1項),その必要な措置のうち政令や都道府県の規則で定めるものの工事〔一定の擁壁の設置及び排水施設の設置〕については,政令で定める資格を有する者の設計によらなければいけません。(9条2項) ■設計資格を要する工事 (施行令16条) …『高さ5mを超える擁壁の設置』(平成6年出題) 『切土又は盛土をする土地の面積が1,500平方メートルを超える土地における排水施設の設置』 ■設計…その者の責任において設計図書〔必要な図面及び仕様書〕を作成すること。 |
2.「宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用した者は,許可を受けなければならない場合を除き,すべて,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。」 |
【正解:○】昭和55年,57年,63年,平成3年,9年 ◆転用届 (宅地以外の土地→宅地) 「すべて」という言葉に引っかかってはいけません。条文に1語を加えたことでわかりにくくなっていますが,基本をきちんと押さえておけば大丈夫です。 ポイント : 許可ではなく届出,転用をした日から14日以内 宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用した者は,宅地造成工事の許可を受けなければならない場合を除き,その転用した日から14日以内に,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。(14条3項)(昭和57年,63年にソノママ出題)
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3.「宅地造成工事規制区域の指定前に,宅地造成に関する工事が行われた宅地については,都道府県知事の勧告を受けることはない。」 |
【正解:×】昭和55年,58年,平成2年 ◆保全のために必要な措置をとることの勧告 都道府県知事〔又は指定都市等の長〕は,規制区域内の宅地について,宅地造成に伴う災害防止のために必要があると認めるときは,その宅地の所有者・管理者・占有者に対して(昭和58年出題),擁壁・排水施設の設置・改造その他災害防止のため必要な措置をとることを勧告することができます。(16条2項) 規制区域の指定前に宅地造成が行われた宅地についても,都道府県知事は勧告することができることに注意してください。(昭和55年出題) ▼この場合の勧告は法律的に拘束されるものではなく,従わなかった場合に刑罰が課されることはありませんが,状況によっては,改善命令が出されることがあります。 |
●宅地の保全の勧告・改善命令のポイント |
・誰に対して・・・〔勧告は宅地の所有者・管理者・占有者, |
4.「宅地造成工事規制区域の指定の際,当該宅地造成工事規制区域内において現に行われている宅地造成に関する工事の造成主は,一定期間内に,その工事について許可を受けなければならない。」 |
【正解:×】昭和55年,57年,59年,62年,63年,平成7年,15年 ◆規制区域指定の際に現に行われている宅地造成→指定後21日以内に届出 ポイント : 許可ではなく届出,指定後21日以内 規制区域の指定の際に,現に行われている宅地造成工事の造成主は,その指定があった日から21日以内に,都道府県知事にその旨を届け出なければならない。(15条1項) ▼ある日突然規制区域の指定があるわけではなく,規制区域指定の前には都道府県知事によって公示され,関係市町村にも通知されることになっています。このため,指定の前に駆け込みで宅地造成をしようとする人が出てくるので,このような措置が設けられています。届出によって宅地造成したのがチェックできるからです。 |
●宅地造成等規制法の過去問Archives −検索用− |
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