法令上の制限 実戦篇

宅地造成等規制法の過去問アーカイブス 昭和56年・問25 


宅地造成工事規制区域内の宅地造成に係る監督処分に関する記述のうち,宅地造成等規制法上,誤っているものはどれか。(昭和56年・問25)

1.「宅地造成に関する工事で許可を受けていないものについては,当該工事の請負人に対して,工事の施行の停止が命ぜられることがある。」

2.「宅地造成に関する工事の許可は受けているが,工事完了の検査を受けていない宅地については,当該宅地の所有者に対して,使用の禁止が命ぜられることがある。

3.「偽りその他不正な手段により宅地造成に関する工事の許可を受けた場合またはその許可に付した条件に違反した場合には,その許可が取り消されることがある。」

4.「宅地造成に関する工事完了検査の結果,工事が宅地造成等規制法に定める技術的水準に適合していないと認められる宅地については,当該宅地造成に関する工事の請負人に対して防災上必要な措置をとるよう命ぜられることがある。」

【正解】

×

1.「宅地造成に関する工事で許可を受けていないものについては,当該工事の請負人に対して,工事の施行の停止が命ぜられることがある。」

【正解:昭和56年,60年,平成2年

◆工事の施行停止

 都道府県知事〔又は指定都市等の長〕は,規制区域内で行われている宅地造成工事について,下記の場合において,造成主・工事請負人〔下請人も含む〕・現場管理者に対して,あらかじめ弁明の機会を付与した上で,当該工事の施行の停止を命じ,又は相当の猶予期限をつけて,擁壁・排水施設の設置その他災害防止のため必要な措置をとることを命ずることができます。(14条2項,行政手続法13条1項2号)

 ・許可を受けていないとき
 ・許可の条件に違反して工事が行われているとき
 ・技術的基準に従わず,災害防止のため必要な措置が講じられていない

緊急の場合に,造成主・工事請負人〔下請人も含む〕・現場管理者が現場にいないときには,当該工事に従事している者に対して工事作業の停止を命じることができます。(14条2項,4項)

●行政手続法13条1項
行政庁は,不利益処分をしようとする場合には,当該不利益処分の名あて人となるべき者について,意見陳述のための手続を執らなければならない。
(1) 許認可の取消等 → 聴聞
(2) 許認可の取消等以外の不利益処分 → 弁明の機会の付与

2.「宅地造成に関する工事の許可は受けているが,工事完了の検査を受けていない宅地については,当該宅地の所有者に対して,使用の禁止が命ぜられることがある。

【正解:昭和56年,60年,62年

◆宅地の使用禁止又は使用制限,災害防止に必要な措置

 都道府県知事〔又は指定都市等の長〕は,規制区域内の下記の宅地について,当該宅地の所有者・管理者・占有者・造成主に対して,当該宅地の使用禁止や使用制限,又は相当の猶予期限をつけて,擁壁・排水施設の設置その他災害防止のため必要な措置をとることを命ずることができます。(14条3項)

 ・許可を受けずに宅地造成したとき (昭和62年出題)
 ・完了検査を受けていないとき (昭和56年出題)
 ・完了検査の結果,技術的基準に適合していないとき(昭和56年,60年出題)

 このことは,宅地の所有者と造成主が異なっている場合でも変わりなく,都道府県知事は,当該宅地の所有者に対して命じることができます。

宅地の所有者と造成主が異なっているというのは,宅地造成した者が当該宅地の管理者・占有者(賃借人等)の場合が考えられます。

3.「偽りその他不正な手段により宅地造成に関する工事の許可を受けた場合またはその許可に付した条件に違反した場合には,その許可が取り消されることがある。」

【正解:

◆許可の取消

 都道府県知事〔又は指定都市等の長〕は,偽りその他不正な手段によって許可を受けた者,又はその許可に附した条件に違反した者に対して,規制区域内での宅地造成工事の許可を取り消すことができます。(14条1項)

4.「宅地造成に関する工事完了検査の結果,工事が宅地造成等規制法に定める技術的水準に適合していないと認められる宅地については,当該宅地造成に関する工事の請負人に対して防災上必要な措置をとるよう命ぜられることがある。」

【正解:×昭和56年,60年

◆宅地の使用禁止又は使用制限,災害防止に必要な措置

 本肢では,「その工事の請負人に対して命ずる」となっているので×です。

 工事中ならば工事の請負人に命ずることはできますが(14条2項),完了検査があったということはすでに工事が終わっていることを意味するので,×だということはすぐわかります。

 都道府県知事〔又は指定都市等の長〕は,規制区域内の下記の宅地について,当該宅地の所有者・管理者・占有者・造成主に対して,当該宅地の使用禁止や使用制限,又は相当の猶予期限をつけて,擁壁・排水施設の設置その他災害防止のため必要な措置をとることを命ずることができます。(14条3項)

 ・許可を受けずに宅地造成したとき (昭和62年出題)
 ・完了検査を受けていないとき (昭和56年出題)
 ・完了検査の結果,技術的基準に適合していないとき(昭和56年,60年出題)


●宅地造成等規制法の過去問Archives −検索用−
昭和50年昭和51年昭和52年昭和53年昭和55年,昭和56年,昭和57年昭和58年昭和59年昭和60年昭和61年昭和62年昭和63年平成元年平成2年平成3年平成4年平成5年平成6年平成7年平成8年平成9年平成10年〜平成14年平成15年平成16年平成17年

過去問アーカイブス・法令制限に戻る 1000本ノック・宅地造成等規制法のトップに戻る

宅建1000本ノック・法令上の制限に戻る