法令上の制限 実戦篇
宅地造成等規制法の過去問アーカイブス 昭和63年・問26
宅地造成等規制法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。なお,この問における都道府県知事とは,指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長をいうものとする。(昭和63年・問26) |
1.「宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については,当該宅地の所有者,管理者又は占有者は,当該工事に着手する前に,都道府県知事の許可を受けなければならない。」 |
2.「宅地造成工事規制区域内の宅地の所有者,管理者又は占有者は,宅地造成に伴う災害が生じないよう,その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。」 |
3.「宅地造成工事規制区域の指定の際,当該区域内において行われている宅地造成に関する工事については,造成主は,その指定の日から21日以内に,当該工事について都道府県知事に届け出なければならない。」 |
4.「宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用した者は,宅地造成に関する工事の許可を受けなければならない場合を除き,その転用した日から14日以内に,その旨を都道府県知事に届けなければならない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
1.「宅地造成工事規制区域内において行われる宅地造成に関する工事については,当該宅地の所有者,管理者又は占有者は,当該工事に着手する前に,都道府県知事の許可を受けなければならない。」 |
【正解:×】 宅地造成工事規制区域内において宅地造成に関する工事を行おうとする造成主は,宅地造成工事前に,原則として※都道府県知事〔又は指定都市等の長〕の許可を受けなければいけません。(8条1項) なお,都道府県知事〔又は指定都市等の長〕は,許可するときに,工事の施行に伴う災害を防止するため必要な条件を附すことができます。(8条3項)←平成8年出題 ▼条文上では『造成主』が許可を受けることになっているので出題者は×として設定したものと推測されます。 ⇒ イジワル問題。 ※都市計画法29条1項・2項の開発許可を受けて行われる当該許可の内容に適合した宅地造成に関する工事については許可を受ける必要はない。 |
●用語の定義 |
1.請負工事のとき ■造成主 宅地造成に関する工事の請負契約の注文者 ■工事施行者 宅地造成に関する工事の請負人 2.請負工事ではないとき ■造成主 請負契約によらないで自らその工事をする者。 ■工事施行者 請負契約によらないで自らその工事をする者。 |
2.「宅地造成工事規制区域内の宅地の所有者,管理者又は占有者は,宅地造成に伴う災害が生じないよう,その宅地を常時安全な状態に維持するように努めなければならない。」 |
【正解:○】昭和60年,63年,平成3年,7年,15年 ◆保全義務 規制区域内の宅地の所有者・管理者・占有者は,宅地造成に伴う災害が生じないよう,その宅地を常時安全な状態に維持するよう努めなければいけません。(16条1項) ここでいう宅地造成とは,規制区域の指定前に行われたものも含まれており(平成7年出題),いつ行われた宅地造成であってもそれに伴う災害が生じないように努める義務があります。(昭和60年出題) 宅地造成した後に所有者が替わってもこのことに変わりはなく,前の地主がしたことだからと保全について何もしなくてもいいということではありません。(平成15年出題) ただし,「規制区域内の土地」であっても「宅地ではないもの」(平成3年出題)や「規制区域外の土地」については,この保全義務はありません。
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3.「宅地造成工事規制区域の指定の際,当該区域内において行われている宅地造成に関する工事については,造成主は,その指定の日から21日以内に,当該工事について都道府県知事に届け出なければならない。」 |
【正解:○】昭和55年,57年,59年,62年,63年,平成7年,15年 ◆規制区域指定の際に現に行われている宅地造成→指定後21日以内に届出 ポイント : 許可ではなく届出,指定後21日以内 規制区域の指定の際に,現に行われている宅地造成工事の造成主は,その指定があった日から21日以内に,都道府県知事にその旨を届け出なければならない。(15条1項) ▼ある日突然規制区域の指定があるわけではなく,規制区域指定の前には都道府県知事によって公示され,関係市町村にも通知されることになっています。このため,指定の前に駆け込みで宅地造成をしようとする人が出てくるので,このような措置が設けられています。届出によって宅地造成したのがチェックできるからです。 |
4.「宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用した者は,宅地造成に関する工事の許可を受けなければならない場合を除き,その転用した日から14日以内に,その旨を都道府県知事に届けなければならない。」 |
【正解:○】昭和55年,57年,63年,平成3年,9年 ◆転用届 (宅地以外の土地→宅地) ポイント : 許可ではなく届出,転用をした日から14日以内 宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用した者は,宅地造成工事の許可を受けなければならない場合を除き,その転用した日から14日以内に,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。(15条3項)
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