法令上の制限 実戦篇

宅地造成等規制法の過去問アーカイブス 昭和52年


宅地造成等規制法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和52年)

1.「造成主は,宅地造成等規制法による許可を受けた工事を完了したときは,許可権者の検査を受けなければならない。」

2.「都道府県が宅地造成規制区域内において宅地造成をする場合には,当該工事について都道府県知事〔指定都市,中核市,特例市にあっては,それぞれの長。以下,同じ。〕との協議が成立することをもって許可があったものとみなす。」

3.「都道府県知事は,宅地造成工事規制区域内の土地について,宅地造成工事規制区域の指定以前に宅地造成が行われた場合には,擁壁又は排水施設の設置を命ずることはできない。」

4.「宅地造成工事規制区域内の宅地造成で,切土又は盛土をする土地の面積が700平方メートルの場合は,都道府県知事の許可を必要とする。」

【正解】

×

1.「造成主は,宅地造成等規制法による許可を受けた工事を完了したときは,許可権者の検査を受けなければならない。」

【正解:昭和62,平成元年,6年,7年,8年

◆完了検査

 造成主は,許可を受けた宅地造成工事が完了したとき,政令で定める技術的基準に従い災害を防止するための必要な措置が講じられているかどうかについて,国土交通省令で定めるところにより,都道府県知事〔指定都市,中核市又は特例市の区域内では,指定都市,中核市又は特例市の長〕の検査を受けなければいけません。(12条1項)

検査済証

 都道府県知事は,検査の結果工事が技術的基準に適合していると認めた場合は,国土交通省令で定める様式の検査済証を造成主に交付しなければなりません。(12条2項)

2.「都道府県が宅地造成規制区域内において宅地造成をする場合には,当該工事について都道府県知事〔指定都市等にあっては,その長。〕との協議が成立することをもって許可があったものとみなす。」

【正解:昭和52年,昭和53年,

◆協議の成立は許可があったものとみなす

 国・都道府県〔指定都市,中核市又は特例市の区域内では,指定都市,中核市又は特例市を含む。〕が規制区域内で宅地造成工事を行う場合には,国・都道府県〔指定都市,中核市又は特例市の区域内では,指定都市,中核市又は特例市を含む。〕と都道府県知事〔指定都市,中核市又は特例市の区域内では,指定都市,中核市又は特例市の長〕との協議が成立すれば,許可があったものとみなされます。(11条)

 →“一般の市町村”が除かれていることに注意しましょう。 

3.「都道府県知事は,宅地造成工事規制区域内の土地について,宅地造成工事規制区域の指定以前に宅地造成が行われた場合には,擁壁又は排水施設の設置を命ずることはできない。」

【正解:×

◆改善命令,必要な措置

 規制区域の指定以前に造成された宅地でも命じられることがあるので×

 都道府県知事〔又は指定都市等の長〕は,規制区域内の宅地で,

 災害防止のため必要な擁壁・排水施設が設置されていないか又は不完全であるために,放置すると災害の発生するおそれが大きいと認められるものがある場合は,

 その著しい恐れを除去するため必要であり,かつ,土地の利用状況等から見て相当であると認められる限度において,

 その宅地・擁壁・排水施設の所有者・管理者・占有者に対して,

 相当の猶予期限をつけて,擁壁・排水施設の設置・改造又は地形改良のための工事を行うことを命じることができます。(17条1項)

 宅地造成工事規制区域の指定以前に宅地造成が行われた場合であっても,このことは変わらないので,本肢は誤りです。

4.「宅地造成工事規制区域内の宅地造成で,切土又は盛土をする土地の面積が700平方メートルの場合は,都道府県知事の許可を必要とする。」

【正解:

◆許可を必要とする造成工事

 切土又は盛土をする土地の面積が700平方メートルの場合は,<土地の面積500平方メートルを超えるもの>に該当するので,都道府県知事の許可が必要です。

●許可の要否の判定問題の解法
1.土地の形質変更の目的『宅地→宅地以外』,『宅地以外→宅地以外』は許可不要
        ↓ 
2.〔宅地以外→宅地〕,〔宅地→宅地〕のとき 土地の形質変更の規模 面積⇒高さ

  ・高さ2mを超えるがけを生ずる切土
  ・高さ1mを超えるがけを生ずる盛土
  ・切土盛土を同時にする場合で2mを超えるがけを生ずるもの
  ・土地の面積500平方メートルを超えるもの


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