法令上の制限 実戦篇

宅地造成等規制法の過去問アーカイブス 平成9年・問20 


宅地造成等規制法に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。ただし,地方自治法に基づく指定都市,中核市又は特例市の特例については考慮しないものとする。 (平成9年・問20)

1.「都道府県知事が,宅地造成工事規制区域(以下この問において「規制区域」という。) として指定できるのは,都市計画区域内の土地の区域に限られる。」

2.「規制区域内の宅地において, 500平方メートルを超える面積について盛土に関する工事をする場合でも,当該宅地を引き続き宅地として利用するときは,都道府県知事の許可を受ける必要はない。

3.「規制区域内において,森林を公園にするため土地の形質の変更を行う場合でも,都道府県知事から宅地造成に関する工事の許可を受けなければならない。」

4.「規制区域内において宅地以外の土地を宅地に転用した者は,その転用のための宅地造成に関する工事をしなかった場合でも,転用をした日から14日以内に都道府県知事に届け出なければならない。」

【正解】

× × ×

1.「都道府県知事が,宅地造成工事規制区域(以下この問において「規制区域」という。) として指定できるのは,都市計画区域内の土地の区域に限られる。」

【正解:×昭和58年,61年,平成元年,4年,8年,9年,10年

◆都市計画区域内には限られない

 都道府県知事〔指定都市,中核市又は特例市にあっては,指定都市,中核市又は特例市の長をいう〕は,この法律の目的を達成するために必要があると認めるときは関係市町村長〔特別区の長を含む〕の意見を聴いて宅地造成に伴ない災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるものを,宅地造成工事規制区域として指定することができます。(3条1項)

 したがって,「都市計画区域内の土地の区域に限られる」わけではありません。

規制区域の指定での注意点

法律の目的を達成するために必要があると認めるときに指定する。必ず指定ではない。

・都市計画区域の内外を問わず,宅地造成に伴ない災害が生ずるおそれの大きい市街地又は市街地になろうとする土地の区域であって,宅地造成に関する工事について規制を行う必要があるもの指定できる。

●類題
「宅地造成工事規制区域は,都市計画法による都市計画区域以外の区域に限って指定することができる。」(昭和51年)
【正解 :×】都市計画区域外に限るわけではない。

2.「規制区域内の宅地において, 500平方メートルを超える面積について盛土に関する工事をする場合でも,当該宅地を引き続き宅地として利用するときは,都道府県知事の許可を受ける必要はない。

【正解:×昭和58年,平成2年,9年,15年,16年

◆500平方メートルを超える形質の変更

 〔宅地以外→宅地〕又は〔宅地→宅地〕の形質の変更で,その面積が500平方メートルを超えるならば切土又は盛土によって生じるがけの高さには関係なく,宅地造成に該当し,許可が必要になる。

形質変更の目的 :
<宅地以外→宅地にする>
〔宅地以外→宅地〕
  土地の面積が

500平方メートルを超えるもの

   許可が必要
形質変更の場所 :
<宅地で行われる>
〔宅地→宅地〕
●一定規模を超える形質の変更とはどのようなものか−施行令3条
(定義1) 高さ2mを超えるがけを生ずる切土

(定義2) 高さ1mを超えるがけを生ずる盛土

(定義3) 切土盛土を同時にする場合で2mを超えるがけを生ずるもの〔正確には,この中で,盛土をした土地の部分に高さが1m以下のがけを生ずるもの〕

(定義4) (1)〜(3)に該当しなくても,土地の面積が500平方メートルを超えるもの

3.「規制区域内において,森林を公園にするため土地の形質の変更を行う場合でも,都道府県知事から宅地造成に関する工事の許可を受けなければならない。」

【正解:×

◆許可の必要な形質の変更かどうかの判定

 宅地以外→宅地以外にするための形質変更: 宅地造成工事の許可は要らない

 『森林(宅地以外)公園(宅地以外)』のための土地の形質変更は『宅地造成』ではないので,宅地造成工事の許可は必要ではありません。

 公式
 規模には関係なく,<● → 宅地以外> は宅地造成にはならない

 一定規模以下のもの宅地造成にはならない

4.「規制区域内において宅地以外の土地を宅地に転用した者は,その転用のための宅地造成に関する工事をしなかった場合でも,転用をした日から14日以内に都道府県知事に届け出なければならない。」

【正解:昭和55年,57年,63年,平成3年9年

◆転用届 (宅地以外の土地→宅地)

  ポイント : 許可ではなく届出,転用をした日から14日以内

 宅地造成工事規制区域内において,宅地以外の土地を宅地に転用した者は,宅地造成工事の許可を受けなければならない場合を除き,その転用した日から14日以内に,その旨を都道府県知事に届け出なければならない。(15条3項)(昭和57年,63年にソノママ出題)

 宅地造成工事+転用 → 許可が必要。
 宅地造成工事なし+転用 → 許可は要らず,14日以内に届出

 本肢では<転用のための宅地造成工事をしなかった場合でも,・・・届け出なければならない>とあるため『・・・でも』という表現に迷う人がいるかもしれませんがの設定でした。


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