税法その他 実戦篇
贈与税・相続税の過去問アーカイブス 平成16年・問27
特定の贈与者から住宅取得資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例〔「65歳未満の親からの贈与についても相続時精算課税の選択を可能とする措置」及び「住宅取得等資金の贈与に限り相続時精算課税の特別控除(2,500万円)が認められる措置」〕に関する次の記述のうち,正しいものを選べ。 (平成16年・問27) |
1.「増改築のために金銭の贈与を受けた場合には,増築による床面積の増加が50平方メートル以上であるか,その工事に要した費用の額が1,000万円以上でなければこの特例の対象とはならない。」 |
2.「住宅取得等資金の贈与を受けた者が,その贈与を受けた日前5年以内に,その者又はその者の配偶者の所有する住宅用家屋に居住したことがある場合には,この特例の適用を受けることはできない。」 |
3.「住宅取得等資金の贈与を受けた者について,その贈与を受けた年の所得税法に定める合計所得金額が1,200万円を超えている場合でも,この特例の適用を受けることができる。」 |
4.「この特例の対象となる既存住宅用家屋は,マンション等の耐火建築物である場合には築後30年以内,耐火建築物以外の建物である場合には築後25年以内のものに限られる。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | × | ○ | × |
1.「増改築のために金銭の贈与を受けた場合には,増築による床面積の増加が50平方メートル以上であるか,その工事に要した費用の額が1,000万円以上でなければこの特例の対象とはならない。」 |
【正解:×】 ◆増改築・家屋の床面積要件と費用要件 本肢では,<増築による床面積の増加が50平方メートル以上であるか,その工事に要した費用の額が1,000万円以上>となっていますが,誤りです。 増改築のために金銭の贈与を受けて相続時精算課税の特例が適用されるには, 面積要件 工事をした居住の用に供される家屋の床面積が50平方メートル以上 費用要件 工事費用が100万以上 が必要です(租税特別措置法・70条の3第1項,施行令40条の5・第4項・2号)。 |
2.「住宅取得等資金の贈与を受けた者が,その贈与を受けた日前5年以内に,その者又はその者の配偶者の所有する住宅用家屋に居住したことがある場合には,この特例の適用を受けることはできない。」 |
【正解:×】 ◆特定受贈者・居住要件はない 相続時精算課税の特例の適用が受けられる受贈者を特定受贈者といいます。この特例の適用を受ける前に,自己もしくは配偶者の所有住宅に居住したことがあっても,特例は適用されるので本肢はデタラメの記述です(租税特別措置法・70条の3)。 ▼肢1で増改築にもこの特例の適用があることが読み取れるので,本肢が誤りだということはわかります。 |
3.「住宅取得等資金の贈与を受けた者について,その贈与を受けた年の所得税法に定める合計所得金額が1,200万円を超えている場合でも,この特例の適用を受けることができる。」 |
【正解:○】 ◆特定受贈者・所得要件はない 所得制限はないので,正しい記述です(租税特別措置法・70条の3)。 |
4.「この特例の対象となる既存住宅用家屋は,マンション等の耐火建築物である場合には築後30年以内,耐火建築物以外の建物である場合には築後25年以内のものに限られる。」 |
【正解:×】 ◆既存住宅家屋 相続時精算課税の特例の適用が受けられる既存住宅用家屋は,登記簿に記載された家屋の構造によって,次のように定められているので,本肢は誤りです(租税特別措置法・70条の3第3項3号,施行令40条の5・第2項・2号,3号)。
※平成17年の税法改正により,既存住宅の範囲に,地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準じるものに適合する一定の既存住宅が加えられています。 |
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