税法その他 実戦篇
贈与税の過去問アーカイブス 平成19年・問27
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例
住宅取得等資金の贈与を受けた場合の相続時精算課税の特例(「65歳未満の親からの贈与についても相続時精算課税の選択を可能とする措置」及び「住宅取得等資金の贈与に限り相続時精算課税の特別控除(2,500万円)が認められる措置」)に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 |
1 自己の配偶者から住宅用の家屋を取得した場合には、この特例の適用を受けることはできない。 |
2 住宅用の家屋の新築又は取得に要した費用の額が2,500万円以上でなければ、この特例の適用を受けることはできない。 |
3 床面積の3分の1を店舗として使用し、残りの部分は資金の贈与を受けた者の住宅として使用する家屋を新築した場合には、この特例の適用を受けることはできない。 |
4 住宅取得のための資金の贈与を受けた年の12月31日までに住宅用の家屋を新築若しくは取得又は増改築等をしなければ、この特例の適用を受けることはできない。 |
<コメント> |
肢1は,特別な関係の者から住宅用家屋を取得した場合には適用されないという,いわば常識的なものです。肢2〜肢4も重要な肢に違いないとはいえ,常識も正誤判断する上では重要な武器です。 |
●出題論点● |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
正答率 | 61.9% |
1 自己の配偶者から住宅用の家屋を取得した場合には、この特例の適用を受けることはできない。 |
【正解:○】 ◆特別な関係にある者から取得した場合は適用されない この特例の適用を受けるための住宅取得等資金とは,一定の住宅用家屋の新築,取得または増改築等の対価に充てるための金銭をいいますが,誰からその家屋を取得したかということも重要な適用要件です。 特定受贈者の配偶者,事実上婚姻関係と同様の事情にある者その他特定受贈者と特別の関係がある者として政令で定める者から取得する場合には,この特例は適用されません(租税特別措置法70条の3第3項第5号,同施行令40条の5第5項)。 したがって,本肢は正しい記述です。 |
2 住宅用の家屋の新築又は取得に要した費用の額が2,500万円以上でなければ、この特例の適用を受けることはできない。 |
【正解:×】 ◆住宅用家屋に価額要件はない この特例を受ける住宅用家屋の新築・取得では,肢3のように,住居部分の床面積割合などの要件はありますが,価額要件はありません。 したがって,本肢は誤りです。 ▼増改築で適用を受けるには,100万円以上という要件があります(租税特別措置法70条の3第3項第4号イ)。 |
3 床面積の3分の1を店舗として使用し、残りの部分は資金の贈与を受けた者の住宅として使用する家屋を新築した場合には、この特例の適用を受けることはできない。 |
【正解:×】 ◆その家屋の床面積の2分の1以上が住居部分 この特例を受ける住宅用家屋は,新築・新築住宅の取得・既存住宅の取得とも,以下の要件を満たすものでなければなりません(租税特別措置法70条の3第3項,同施行令40条の5第1項,第2項)。 ・その家屋の床面積の2分の1以上に相当する部分が専ら居住の用に供されるものであること ・その家屋の床面積が50平方メートル以上 したがって,本肢の場合,<床面積の3分の1を店舗,残りの部分は住宅として使用する家屋>なので,住居部分は2分の1以上ありますから,特例を受けることができます。 「この特例の適用を受けることはできない」とする本肢は誤りです。 |
4 住宅取得のための資金の贈与を受けた年の12月31日までに住宅用の家屋を新築若しくは取得又は増改築等をしなければ、この特例の適用を受けることはできない。 |
【正解:×】 ◆新築・取得・増改築等の時期の制限 この特例の適用を受けるには,贈与により住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに,住宅用の家屋を新築・取得・増改築等をしなければなりません(租税特別措置法70条の3第1項)。 本肢は,「贈与を受けた年の12月31日まで」としているので誤りです。 ▼贈与を受けた住宅取得等資金の全額を,新築・取得・増改築の対価に充てなければなりません。 ▼新築・取得・増改築等をした住宅用の家屋に,住宅取得等資金の取得をした日の属する年の翌年3月15日までに入居するか,同日以降遅滞なく居住の用に供することも,適用要件です。 |
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