宅建過去問 税法その他
不動産鑑定評価基準の過去問アーカイブス 平成22年・問25
不動産の鑑定評価に関する次の記述のうち、不動産鑑定評価基準によれば、誤っているものはどれか。(平成22年・問25) |
1 原価法は、求めた再調達原価について減価修正を行って対象物件の価格を求める手法であるが、建設費の把握が可能な建物のみに適用でき、土地には適用できない。 |
2 不動産の効用及び相対的稀(き)少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因を価格形成要因といい、一般的要因、地域要因及び個別的要因に分けられる。 |
3 正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。 |
4 取引事例に係る取引が特殊な事情を含み、これが当該取引事例に係る価格等に影響を及ぼしているときは、適正に補正しなければならない。 |
<コメント> |
肢1が誤りだということは常識的にわかります。肢2〜肢4も,ほぼそのままの出題歴があるので,正誤の判断で迷うことはなかったでしょう。
従来,鑑定評価基準は基本的な事項を問うているにもかかわらず〔不動産鑑定評価基準の原文を見ていれば正誤の判断は容易〕,正答率はなぜか低く,主に学習不足と苦手意識が原因とみられていました。22年の各肢とも,基本書で必ず書いてあるものなので,やさしい問題だったといえるでしょう。 |
●出題論点● |
(肢1) 原価法
(肢2) 価格形成要因 (肢3) 正常価格 (肢4) 事情補正 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | ○ | ○ |
正答率 | 78.7% |
1 原価法は、求めた再調達原価について減価修正を行って対象物件の価格を求める手法であるが、建設費の把握が可能な建物のみに適用でき、土地には適用できない。 |
【正解:×】土地に原価法を適用することは過去問で頻出。 ◆原価法の適用 原価法は,対象不動産が建物又は建物及びその敷地である場合,再調達原価の把握及び減価修正を適切に行うことができるときに有効です。 対象不動産が土地のみである場合てあっても,再調達原価を適切に求めることができるときはこの手法を適用することができます(第7章鑑定評価の方式,第1節価格を求める鑑定評価の手法,II原価法)。 ▼土地の再調達原価は,土地の標準的な取得原価に標準的な造成費用と発注者が直接負担する通常の付帯費用を加算して求めます。 |
2 不動産の効用及び相対的稀(き)少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因を価格形成要因といい、一般的要因、地域要因及び個別的要因に分けられる。 |
【正解:○】平成5年・問33, ◆価格形成要因 不動産の価格とは,一般に, (1)その不動産の効用 の三者の相関結合によって生じる不動産の経済価値を,貨幣額をもって表示したものです。(総論・第1章・第1節 不動産とその価格) 不動産の価格を形成する要因(価格形成要因)は,不動産の効用及び相対的稀少性並びに不動産に対する有効需要の三者に影響を与える要因をいいます。価格形成要因は,一般的要因,地域要因及び個別的要因に分けられます。(総論・第3章 不動産の価格を形成する要因) |
3 正常価格とは、市場性を有する不動産について、現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。 |
【正解:○】)昭和56年・問35,平成17年・問29・肢1, ◆正常価格 正常価格とは,市場性を有する不動産について,現実の社会経済情勢の下で合理的と考えられる条件を満たす市場で形成されるであろう市場価値を表示する適正な価格をいう。 不動産の鑑定評価によって求める価格は,基本的には正常価格であるが,鑑定評価の依頼目的及び条件に応じて限定価格,特定価格又は特殊価格を求める場合がある(第5章・鑑定評価の基本事項,第3節・鑑定評価によって求める価格又は賃料の種類の確定,I 価格)。 |
4 取引事例に係る取引が特殊な事情を含み、これが当該取引事例に係る価格等に影響を及ぼしているときは、適正に補正しなければならない。 |
【正解:○】平成16年・問29・肢3, ◆事情補正 取引事例等に係る取引等が特殊な事情を含み,これが当該取引事例等に係る価格等に影響を及ぼしているときは適切に補正しなければならない(第7章鑑定評価の方式,第1節価格を求める鑑定評価の手法,I 試算価格を求める場合の一般的留意事項,3.事情補正)。 ▼取引事例等・・・原価法の適用に当たって必要な建設事例、取引事例比較法の適用に当たって必要な取引事例及び収益還元法の適用に当たって必要な収益事例を総称したもの。 |
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