宅建過去問 税法その他 

景品表示法の過去問アーカイブス 平成22年・問47 

特定事項の明示義務,物件の内容・取引条件等に係る表示基準


 宅地建物取引業者が行う広告等に関する次の記述のうち、不当景品類及び不当表示防止法 (不動産の表示に関する公正競争規約を含む。) の規定によれば、正しいものはどれか。(平成22年・問47)

1 路地状部分のみで道路に接する土地を取引する場合は、その路地状部分の面積が当該土地面積の50%以上を占めていなければ、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示せずに表示してもよい。

2 不動産物件について表示する場合、当該物件の近隣に、現に利用できるデパートやスーパーマーケット等の商業施設が存在することを表示する場合は、当該施設までの徒歩所要時間を明示すれば足り、道路距離は明示せずに表示してもよい。

3 傾斜地を含むことにより当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合は、原則として、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示しなければならないが、マンションについては、これを明示せずに表示してもよい。

4 温泉法による温泉が付いたマンションであることを表示する場合、それが温泉に加温したものである場合であっても、その旨は明示せずに表示してもよい。

<コメント>  
 肢1・肢4は全くの初出題,肢2・肢3は類題の出題歴があります。

 ただ,肢2・肢3は過去問で問われたものと微妙に異なっており,事実上の初出題です。このため,正答率は景品表示法の正答率としてはかなり低いものになりましたが,23年以降に出題されれば,22年とは逆に高くなるでしょう。民法分野の超レアな問題は何回出題されても正答率は低いままですが,景品表示法の問題については一度出題されれば,難しくはなくなるからです。

 視点やニュアンスが過去問と違う問題の出題は今後も続くものと思われます。

●出題論点●
 (肢1) 特定事項の明示義務−路地状部分のみで道路に接する土地

 (肢2) 物件の内容・取引条件等に係る表示基準−商業施設までの道路距離

 (肢3) 特定事項の明示義務−傾斜地を含む土地

 (肢4) 物件の内容・取引条件等に係る表示基準−温泉

【正解】

× × ×

 正答率  25.8%

1 路地状部分のみで道路に接する土地を取引する場合は、その路地状部分の面積が当該土地面積の50%以上を占めていなければ、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示せずに表示してもよい。

【正解:×初出題

◆特定事項の明示義務−路地状部分のみで道路に接する土地〜平成19年12月18日改正施行〜

 路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30%以上を占めるときは,路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示しなければなりません(不動産の表示に関する公正競争規約13条,施行規則9条4号)

 本肢では,『50%以上を占めていなければ〜明示せずに表示してよい』としているので,誤りです。⇒ ≪30%以上を占めていなければ≫としていれば正しい記述になります。

 路地状部分のみで道路に接する土地であって、その路地状部分の面積が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占めるときは、路地状部分を含む旨及び路地状部分の割合又は面積を明示すること。

平成19年の改正により,路地状部分の割合が追加された。

●路地状部分
  建築物を建築するには,その敷地が,原則として幅員4m以上の道路 〔自動車専用道路や特定高架道路等を除く。〕 に2m以上接しなければなりません(建築基準法43条1項)

 また,地方公共団体は,1) 特殊建築物,2) 階数が3以上または延べ面積が1,000平方メートルを超える建築物などの敷地が接しなければならない道路の幅員や道路に接する長さ,建築物・敷地と道路の関係 〔路地状敷地における路地状部分の長さとその幅員の関係も含まれる〕 について,条例で,必要な制限を付加することができます(建築基準法43条2項)

 専用住宅の敷地であっても,建築基準法の接道義務は守らなければならず,地方公共団体の条例による制限を受けることがあるので,宅建業法35条の重要事項〔法令上の制限〕<建物の貸借の媒介を除く>にもなっています(宅建業法施行令3条1項2号,2項,3項)。 

 道

 路

            
        路地上敷地     
  (路地上部分)                                

2 不動産物件について表示する場合、当該物件の近隣に、現に利用できるデパートやスーパーマーケット等の商業施設が存在することを表示する場合は、当該施設までの徒歩所要時間を明示すれば足り、道路距離は明示せずに表示してもよい。

【正解:×初出題・類題・平成17年・問47・肢4

◆物件の内容・取引条件等に係る表示基準−商業施設までの道路距離

 デパート,スーパーマーケット等の商業施設は,現に利用できるものを物件までの道路距離を明示して表示しなければなりません(不動産の表示に関する公正競争規約15条,施行規則11条31号)

 『当該施設までの徒歩所要時間を明示すれば,道路距離は明示しなくてもよい。』 という規定はないので,本肢は誤りです。

 デパート、スーパーマーケット、商店等の商業施設は、現に利用できるものを物件までの道路距離を明示して表示すること(22年出題)

 ただし、工事中である等その施設が将来確実に利用できると認められるものにあっては、その整備予定時期を明示して表示することができる(17年出題)

3 傾斜地を含むことにより当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合は、原則として、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示しなければならないが、マンションについては、これを明示せずに表示してもよい。

【正解:平成2年・問34・肢3平成8年・問31・肢1平成16年・問47・肢3

◆特定事項の明示義務−傾斜地を含む土地〜平成19年12月18日改正施行〜

 傾斜地を含むことにより,当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合は,傾斜地の割合には関係なくその旨及び傾斜地の割合又は面積を明示しなければなりませんが,マンションは除外されています(不動産の表示に関する公正競争規約13条,施行規則9条10号)

 傾斜地を含む土地であって、傾斜地の割合が当該土地面積のおおむね30パーセント以上を占める場合(マンション及び別荘地等を除く。)は、傾斜地を含む旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること(平成8年出題)

 ただし、傾斜地の割合が30パーセント以上を占めるか否かにかかわらず、傾斜地を含むことにより、当該土地の有効な利用が著しく阻害される場合(マンションを除く。)は、その旨及び傾斜地の割合又は面積を明示すること(平成16年出題)

平成2年は傾斜地を含む旨を表示する義務があるかどうかを出題。

平成19年の改正により,傾斜地の割合が追加された。

4 温泉法による温泉が付いたマンションであることを表示する場合、それが温泉に加温したものである場合であっても、その旨は明示せずに表示してもよい。

【正解:×初出題

◆物件の内容・取引条件等に係る表示基準−温泉

 温泉に加温したものは,その旨の表示が義務付けられています(不動産の表示に関する公正競争規約15条,施行規則11条26号)

 1) 温泉に加温したものは,温泉法に定める温泉とはいえない場合がある。温泉ではないものを温泉法に定める温泉であると誤認させるおそれのある表示は表示に関する公正競争規約に違反する。

 2) 温泉法で定める温泉であっても,加温した場合はその旨の表示が温泉法で義務付けられている。このため,表示に関する公正競争規約でも,加温した旨を表示する義務があるとしている。表示しなければ公正競争規約に違反する。

 したがって,本肢は誤りです。

「温泉法」の温泉は,地中からゆう出する温水,鉱水及び水蒸気その他のガス(炭化水素を主成分とする天然ガスを除く。)で,別表に定められている温度または物質を有するものをいい,温度(温泉源から採取されるときの温度とする。) については,摂氏25度以上とされています(温泉法2条1項,別表)

 温泉法でも,温泉を加温して公共の浴用に供する場合は,その旨及びその理由 を,施設内の見やすい場所に,掲示しなければならないとされています(温泉法18条1項4号,施行規則10条2項2号)

●不動産の表示に関する公正競争規約施行規則11条26号
 温泉法(昭和23年法律第125号)による温泉については、次に掲げる事項を明示して表示すること。

ア 温泉に加温したものについては、その旨 (平成22年出題)

イ 温泉に加水したものについては、その旨

ウ 温泉源から採取した温泉を給湯管によらずに供給する場合(運び湯の場合)は、その旨

エ 共同浴場を設置する場合において、循環装置又は循環ろ過装置を使用する場合は、その旨


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