宅建過去問
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所得税の特例について・(1)
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所得税の特例の問題を解く上で知っておく必要のある項目をまとめています。 |
●条文一覧 |
・所得税法 最終改正:平成19年6月27日 法律第100号 ・所得税法施行令 最終改正:平成19年8月3日 政令第235号 ・所得税法施行規則 最終改正:平成19年3月30日 財務省令第12号 ・租税特別措置法 最終改正:平成19年7月6日 法律第109号 |
<ご注意> このページの条文番号は,租税特別措置法の条文番号です。
問題を解く上での考え方1 譲渡に関する特例の重複適用
1) 譲渡所得についての特例は,近年の宅建試験では,居住用財産の譲渡の特例に関するものが出題されており,収用・交換に関する特例は平成11年以降出題はありません。
2) 出題の多いもので整理すると,居住用財産の譲渡の特例,収用・交換に関する特例とも,以下のようになります。
* 譲渡資産の価額≦買換資産の価額, 譲渡資産の価額>買換資産の価額, ※1 居住用財産の譲渡所得の特別控除 ※2 収用交換等の場合の譲渡所得等の特別控除 特例どうしで重複適用できるかどうかについては,以下を見ておけば十分です。 ●重複適用できるものの組合せ 居住用財産の軽減税率(所有期間10年超)と3,000万円特別控除, 居住用財産の軽減税率(所有期間10年超)と5,000万円特別控除, ⇒ 居住用財産の軽減税率(所有期間10年超)と「特定の居住用財産の買換え・交換の特例」(36条の2,36条の5) は重複適用できない。
●3,000万円特別控除(35条)と「特定の居住用財産の買換え・交換の特例」(36条の2,36条の5) は,どちらか一方しか適用を受けることはできません。
●優良住宅地の造成等の軽減税率(所有期間5年超)(31条の2)の適用を受けると,上記の表のほかの特例は適用できない(⇒ 重複適用できない)。
●5,000万円特別控除(33条の4)と収用等に伴い代替資産を取得した場合の課税の特例(33条)は,どちらか一方しか適用を受けることはできません。
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問題を解く上での考え方2 住宅ローン控除 (41条)
【居住用財産の特例を受けていると住宅ローン控除は受けられない】 (住宅ローンに係る住宅に) 居住の用に供した日の属する年分の所得税又はその年の前後〔前年分若しくは前々年分,翌年分若しくは翌々年分〕の所得税について, ・居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例(第31条の3)、 ・居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除(第35条)、 ・特定の居住用財産の買換え・交換の課税の特例(第36条の2、36条の5)、 ・既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換え・交換の場合の譲渡所得の課税の特例(第37条の5) などの規定の適用を受ける場合(または受けている場合)には,住宅ローン控除の適用は受けられません。(41条7項,8項) 居住年の前々年 居住年 居住年の翌々年 ――●――――――――――●―――――――●―――― |← 〔前々年・前年〕〜〔翌年・翌々年〕 →| <補足1> 収用交換等の特例との関係 ▼租税特別措置法41条には,収用交換等の特例を受けている場合に住宅ローン控除を適用できないとは書いてありません。しかし,そもそも,合計所得金額が3,000万円を超える年分については住宅ローン控除の適用を受けることができないので,これとの絡みも考えておく必要があります。また,収用交換等の特例そのものの適用要件もあることから,試験対策としては,上記を押さえておけば十分でしょう。⇒ 平成9年に5,000万円特別控除との重複適用の可否が出題されていますが,平成9年の出題は条文のみで考えた場合です。 <補足2> 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除 居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除(41条の5)の適用を受けていても,住宅ローン控除の適用を受けることができます。 |