法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 昭和54年 

重要文化財・防火地域・準防火地域・建築審査会への審査請求・災害危険区域


建築基準法に関す次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和54年)

1.「文化財保護法の規定によって,国宝,重要文化財等に指定された建築物は,建築基準法の各規定の適用を受けない。」

2.「防火地域又は準防火地域では,10平方メートル以内の増築であっても確認が必要である。」

3.「建築主事の処分についての審査請求は,当該市町村又は都道府県の建築審査会に対してしなければならない。」

4.「特定行政庁は,建築審査会の同意を得て,津波,高潮,出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。」

【正解】

×

1.「文化財保護法の規定によって,国宝,重要文化財等に指定された建築物は,建築基準法の各規定の適用を受けない。」

【正解:】昭和54年・肢1,平成11年・問20・肢4平成14年・問21・肢3

◆建築基準法の適用除外−重要文化財−

 国宝重要文化財等に指定または仮指定された建築物には,建築基準法の適用が除外されています。〔特定行政庁が建築審査会の同意を得ればその原形の再現においても建築基準法の適用が除外されている。〕(建築基準法・3条・1項・1号)

重要文化財などの保存のために,適用除外になっています。

●重要文化財などの適用除外
(適用の除外)
第3条  この法律並びにこれに基づく命令及び条例の規定は、次の各号の一に該当する建築物については、適用しない。

一  文化財保護法 (昭和25年法律第214号)の規定によつて国宝重要文化財重要有形民俗文化財特別史跡名勝天然記念物又は史跡名勝天然記念物として指定され、又は仮指定された建築物

二  旧重要美術品等の保存に関する法律(昭和8年法律第43号)の規定によつて重要美術品等として認定された建築物

三  文化財保護法第98条第2項 の条例その他の条例の定めるところにより現状変更の規制及び保存のための措置が講じられている建築物(次号において「保存建築物」という。)であつて、特定行政庁が建築審査会の同意を得て指定したもの

四  第1号若しくは第2号に掲げる建築物又は保存建築物であつたものの原形を再現する建築物で、特定行政庁が建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたもの

2.「防火地域又は準防火地域では,10平方メートル以内の増築であっても確認が必要である。」

【正解:[増築]昭和54年・肢2昭和61年・問19・肢1昭和63年・問22・肢2[改築]平成10年・問20・肢2

◆防火地域・準防火地域 : 10平方メートル以内の増築・改築・移転 → 建築確認が必要

 防火地域や準防火地域では,『床面積が10平方メートル以内の増築・改築・移転』の場合でも,建築確認が必要です。(建築基準法・6条2項) 

床面積が10平方メートル以内の増築・改築・移転
防火地域又は準防火地域  建築確認が必要
防火地域・準防火地域以外の区域  建築確認は必要ない

3.「建築主事の処分についての審査請求は,当該市町村又は都道府県の建築審査会に対してしなければならない。」

【正解:〔建築監視員〕昭和46年,〔建築主事〕昭和54年,平成5年・問21・肢4,平成9年・問24・肢4,

◆審査請求

 特定行政庁,建築主事,建築監視員の処分に不服がある者は,当該市町村又は都道府県の建築審査会に対して審査請求をすることができます。(建築基準法・94条1項)

4.「特定行政庁は,建築審査会の同意を得て,津波,高潮,出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる。」

【正解:×昭和42年,昭和54年・肢4,平成10年・問25・肢2

◆災害危険区域

 建築基準法では,

 地方公共団体は,条例で,津波高潮出水等による危険の著しい区域
 災害危険区域として指定することができます。(建築基準法・39条1項)

 指定に当たり,建築審査会の同意は必要とされていないので,本肢は誤りです。

 建築物の建築制限については,

 災害危険区域内における住居の用に供する建築物の建築の禁止その他建築物の建築に関する制限で災害防止上必要なものは、地方公共団体の条例で定める(建築基準法・39条2項)

    区域の指定 制限行為について
災害危険区域

(建築基準法)

地方公共団体 建築物の建築についての制限は
地方公共団体の条例で定める

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