Brush Up! 権利の変動篇  過去問のSummary

担保責任 : 隠れた瑕疵−問題を解く視点とKEY


アウトライン−善意の買主のみ,担保責任を追及できる

    買主  損害賠償  解除  除斥期間
 隠れた瑕疵  善意無過失      知ったときから1年
 悪意or有過失  Φ  Φ   Φ

隠れた瑕疵があるときの担保責任の考え方

 善意無過失の買主・損害賠償請求
               └ 契約が達成できないときは無催告で
                解除することができる
                  <解除+損害賠償請求も可能>
 ※代金減額請求はできない。

どんなときに売主は担保責任を負うか

  売買の目的物に隠れた瑕疵があるとき。(570)

  判例・通説では,買主には瑕疵について善意無過失が要求されている。
  〔隠れたる=取引上要求される一般的な注意では発見できない〕

 ベースとなるのは,損害賠償請求

 解除しないならば,損害賠償請求

 契約をした目的が達成できないとき → 解除

 

 買主は  追及できるか
隠れた瑕疵について善意無過失  担保責任を追及できる
隠れた瑕疵について善意だが知らないことに過失がある  担保責任を追及できない
隠れた瑕疵について知っていた〔悪意〕
●チェック
買主が目的物の瑕疵を知らなかったことにつき過失があれば,売主は瑕疵担保責任の追及を受けない。(司法試験択一・平成8年)
【正解 :

 瑕疵担保責任を追及するには、瑕疵について単に善意であるだけでなく知らなかったことに買主に過失がないことが必要です。

●宅建試験での出題

◆善意無過失を暗示していた出題例

・この建物の引渡し後,建物の柱の数本に,しろありによる被害があることを発見した場合 平成11年

容易に分からない状況になったため、がこのことを知らなかった場合 平成8年・問8

判明した場合 昭和53年

・「外見上わかっていない個所の床板が腐っていた」 昭和45年

隠れた瑕疵

 善意無過失の買主のできること

 損害賠償

 解除 契約の目的が達成できないとき

 解除+損害賠償 契約の目的が達成できないとき

隠れた瑕疵の単独問題 

昭和45年昭和56年平成14年

●チェック
時価よりも著しく低廉な代金額で売買契約が締結された場合でも,売主は,特約がない限り,瑕疵担保責任を負う。(司法試験択一・昭和59年)
【正解 :

●チェック
 瑕疵により建物が毀損した場合の損害賠償請求権は,買主が瑕疵の事実を知ったときから,1年以内に行使しなければならない。(司法試験択一・平成8年)
【正解 :

◆知ってから一年以内に行使

 売買の目的物に『隠れた瑕疵』があったとき,買主は,発見したときから1年以内であれば,損害賠償請求や,契約の目的を達成できないならば解除をすることができます。

 行使方法について,判例では解除や損害賠償請求は裁判外の意思表示でもよいとしています。(最高裁・平成4.10.30)

関連・解除による代金返還請求と損害賠償請求の消滅時効

 解除の原状回復による代金返還請求は,意思表示の時を起算点として10年の消滅時効に服することになります。

 しかし,損害賠償請求については,判例では,意思表示の時を起算点とするのではなく,引渡しのときから10年の消滅時効にかかるとしています。(最高裁・平成13.11.27)


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