宅建試験
法改正情報 レポートNo.01 |
'05法改正の展望 |
●主な改正の概要
法改正はある日突然施行されるのではありません。学習を始める際に改正の見通しをつけておけば無駄な心配をしなくてすみます。 なお,平成16年まで宅建試験では,その年の4月1日現在の法令を基準とするとされてきており,平成17年も例年通り,4月1日現在の法令によるものと思われます。 |
■権利の変動分野 ●2005.4.1までの改正施行 ■法令上の制限分野 ●2005.4.1までの改正施行 ■税法その他 ●2005.4.1までの改正施行 ■宅建業法 ●2005.4.1までの改正施行 |
●宅地建物取引業法 2004.12.30施行 | ||||||||||
信託業法(平成16年12月3日,法律第154号),信託業法の施行に伴う関係政令の整備等に関する政令(平成16年12月28日,政令第429号)により,信託会社について,次の改正がありました。
・宅建業法の除外規定〔宅建業法・77条2項〕の対象となる信託会社は,内閣総理大臣の免許を受けた信託会社に限る。(宅地建物取引業法・77条2項,3項) ・特別信託会社(銀行等の金融機関の子会社で内閣総理大臣の免許を受けた政令で定める信託会社)については,不動産証券化に係る不動産処分型信託業務に限る旨の条件を付された免許を受けた宅地建物取引業者とみなす。(宅地建物取引業法・施行令8条・9条) ⇒ 『政令で定める特別信託会社以外の信託会社』や『専業信託銀行等』〔平成14年2月1日に既に信託業務として宅地建物の媒介等を行っていた金融機関〕にはこの条件が付されていないことに注意。 これにより,信託会社・信託業務を兼営する金融機関については,次のように分類されることになります。
●改正後の記述例 信託会社や信託業務を兼営する金融機関が宅地建物取引業を営もうとする場合は,国土交通大臣に届け出れば,国土交通大臣免許を受けたものとみなされるので,宅地建物取引業の免許を受ける必要はありません。 ただし,政令で定める信託会社〔「特別信託会社」,金融機関などの子会社〕や平成14年2月1日以降に新たに信託業務を兼営することとなった金融機関については,不動産証券化に資する処分型不動産信託等に該当するものに限る旨の条件が付された国土交通大臣免許を受けたものとみなして宅建業法が適用されます。 信託会社や信託業務を兼営する金融機関が宅地建物取引業を営む場合,免許の規定(3条〜7条),無免許事業等の禁止(12条),供託した旨の届出をしないときに免許権者が免許の取り消すことができる規定(25条7項),及び免許の取消しの規定(66条,67条1項)の規定を除く宅建業法が適用されます。 |
●土地区画整理法 2004.7.1施行 | |||||||
従来は,土地区画整理事業の施行者の一カテゴリーとして,公団・公社の「都市基盤整備公団」,「地域振興整備公団」,「地方住宅供給公社」の三つを覚える必要がありました。 しかし,都市再生機構の設立により,土地区画整理法が改正され,『機構等』として「独立行政法人 都市再生機構」と「地方住宅供給公社」の2つに変更になりました。
〔そのほかの施行者である,都道府県・市町村・国土交通大臣には変わりはありません。また,独立行政法人都市再生機構と地方住宅供給公社は個人施行の一員・組合施行の参加組合員として 土地区画整理事業に参加することができます。〕 |
●都市緑地法 2004.12.17施行 | ||||||
■都市緑地法
従来の都市緑地保全法が改称。 ●都市計画法8条12項 ・(改正前) 緑地保全地区 → (改正後) 特別緑地保全地区 ・「緑地保全地域」,「緑化地域」の新設 ●都市緑地法 (→ 法令制限・諸法令)
⇒ 都市緑地法の改正施行に伴い,都市計画法・建築基準法・宅地建物取引業法〔「広告の開始時期の制限」,「重要事項」,「契約締結時期等の制限」〕も一部改正されている。 |
●景観法・景観計画区域 2004.12.17施行 |
●景観計画区域 (→ 法令制限・諸法令) 平成17年12月17日,景観法が施行され,「景観計画区域」が新たに設けられた。 ・景観行政団体〔都道府県・指定都市・中核市・事務処理市町村〕は,都市,農山漁村その他市街地または集落を形成している地域及びこれと一体となって景観を形成している地域内の一定の区域について,良好な景観の形成に関する計画(「景観計画」) を定めることができる。(景観法8条1項) ・景観計画には,次の事項を定める。(景観法8条2項) ・景観計画区域 ・景観計画区域内において,下記の行為をしようとする者は,あらかじめ,行為の種類,場所,設計又は施行方法,着手予定日その他国土交通省令で定める事項を景観行政団体の長に届け出なければならない。(景観法16条1項) (1) 建築物の新築,増築,改築,移転, (2) 工作物の新築,増築,改築,移転, (3) 都市計画法第4条12項に規定する開発行為その他政令で定める行為 (4) 良好な景観の形成に支障を及ぼすおそれのある行為として景観計画に従い ⇒ 景観法の施行に伴い,都市計画法・建築基準法・宅地建物取引業法〔「広告の開始時期の制限」,「重要事項」,「契約締結時期等の制限」〕も一部改正されている。 ●都市計画法・33条5項 景観計画区域内における開発許可の基準を,景観行政団体(指定都市・中核市・都道府県など)は条例で定めることができます。 ●建築基準法・85条の2 景観重要建造物である建築物についての制限の緩和 |
●破産法の改正に伴う改正(平成16年6月2日法律第76号) 2005.1.1施行 |
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■民法621条の削除
「賃借人が破産したときに,賃貸人又は破産管財人は解約の申し入れができる」とした規定が廃止された。 ■ 民法,宅建業法などで,
とする用語・表現の変更があった。 ■民法では,代理・委任・保証・請負・根抵当権・賃貸借などで表現が変わっている。→詳細は,メルマガNo.141に掲載。 ■ 宅建業法では,11条と55条などで表現の変更があった。
▼取引主任者の登録では,「破産者で復権を得ないもの」は登録を受けられないという規定があり(宅地建物取引業法18条第1項3号),取引主任者についての届出で,18条第1項3号に該当することとなった場合は,その日から30日以内に,「本人が登録をしている都道府県知事」に届け出ることになっている。(宅地建物取引業法21条2号), 11条の上記の改正後は,<取引主任者について破産手続開始の決定があったときは,その日から30日以内に,「本人が登録をしている都道府県知事」に届け出る>ことになったものと考えられる。 |
●不動産登記法の改正(平成16年6月18日・法律第123号) 2005.3.7施行 |
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●主な改正点→ 不動産登記法の改正について
・登記所がブック庁,コンピュータ庁,オンライン指定庁〔登記簿をコンピューターで処理している登記所で法務大臣が指定した登記所。インターネットで申請できる。〕の3類型に分かれる。<註・平成17年3月22日よりオンライン指定庁の1庁目として,さいたま地方法務局上尾出張所がオンライン申請事務を開始。その後,全国で順次指定。>
・登記記録は表題部と権利部に区分して作成することにし,甲区・乙区の区分は登記規則で規定することになった。 ・すべての土地・建物に固有の番号(不動産番号)を付ける。〔不動産番号は登記事項になることに注意。オンライン庁の指定・未指定に関係なくその準備が整ったコンピュータ庁から導入される。〕 ・出頭主義の廃止。〔権利部の登記申請も郵送等で可能になった。〕 ・申請書副本による申請の廃止→必ず登記原因証明情報を提供することになった。 ・オンライン指定庁では,登記済証に代わるものとして登記識別情報制度が設けられた。〔登記識別情報の有効証明,登記完了証の発行も新設。〕〔オンライン未指定庁(ブック庁,コンピュータ庁)では,オンライン指定庁に指定されるまでは登記済証が発行される。この場合にも,読み替え規定により新法が適用される。〕 ・保証書による登記申請は廃止。→「事前通知制度」に。 ・予告登記の廃止〔悪用されることがあるので廃止〕 ●関連する登記令など すでに「不動産登記令」(平成16年政令第379号),「不動産登記法施行細則」(明治32年司法省令第11号)の全部を改正した「不動産登記規則」が制定されているが,関連通達等が予定されている。今回の改正についての全貌はまだ完全には見えていない。 ■改正不動産登記法 http://www3.ktplan.jp/~ms/touki/hou.htm ■新不動産登記法Q&A http://www.moj.go.jp/MINJI/minji76.html ■登記令・登記規則・準則(PDF) http://www.koshoku.or.jp/ ■電子申請 ●3/22(火) さいたま地方法務局 上尾出張所 ●7/25(月) 長崎地方法務局 佐世保支局 |
●電子申請の指定庁 9月中には20指定庁に。 |
●3/22(火) さいたま地方法務局 上尾出張所 ●7/25(月) 長崎地方法務局 佐世保支局 ●8/29(月) 札幌法務局西出張所 ●9/12(月) 横浜地方法務局栄出張所 ●9/20(火) 東京法務局中野出張所 ●9/26(月) 大阪法務局本局 |
●不動産登記法の改正に伴う民法の改正(平成16年6月18日・法律第124号) 2005.3.7施行 |
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第二条 民法(明治29年法律第89号)の一部を次のように改正する。 第383条第1項第2号中「登記簿ノ謄本」を「登記事項証明書」に改める。(第三取得者が抵当権消滅請求をするときに各債権者に送達する書面)
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●税法の改正 |
平成16年12月16日に,与党の税制調査会は「平成17年度税制改正大綱」を決定。
●既存住宅の適用範囲が拡大された特例 ・ローン控除,特定の居住用財産の買換え・交換,相続時精算課税制度,登録免許税の税率の軽減措置,不動産取得税の課税標準の特例 宅建試験関連では,特例などで適用される『既存住宅(中古住宅)の範囲」に, 地震に対する安全上必要な構造方法に関する技術的基準又はこれに準じるものに適合する既存住宅〔耐震設計基準に適合しているもの〕 が追加されました。 ●不動産取得税の特例適用住宅の拡大 平成17年3月31日までは,別荘や事務所などに使用していた家屋を自己居住用に取得しても,最大1,200万円を課税標準から控除する特例は受けられなかったのですが,平成17年4月1日以降に取得したものについては,この特例が適用されることになりました。 ●特例の期間延長 ・印紙税〔不動産譲渡・建築工事請負などの契約〕 平成19年3月31日まで2年間延長 ・住宅用家屋に係る登録免許税の特例 平成19年3月31日まで2年間延長 |
●地価公示法の改正 2005.4.1施行 | |||||
従来は都市計画区域内のみが地価公示の対象区域だったが,改正により,『都市計画区域その他の土地取引が相当程度見込まれるものとして国土交通省令で定める区域』〔国土利用計画法の規制区域を除く。公示区域という。〕内の標準地について地価公示することになった。〔改正により都市計画区域外についても公示することが可能になった。〕(地価公示法・2条1項)
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●民法の現代語化・保証の見直し等の改正 〜2005.4.1 施行 | ||
■民法の一部を改正する法律(平成16年法律第147号) 成立・平成16年11月25日 公布・平成16年12月1日 →法案・理由・新旧対照条文 平成17年3月9日政令第36号により,平成17年4月1日施行。 保証契約が書面でなされることが必要になったことや個人の包括根保証の廃止などを除き,大幅な改正ではありません。 用語の変化で重要なものとしては, 能力者(旧・19条1項)→行為能力者(20条1項), (このほか撤回の意味を表す取消しを撤回に統一するなどの変更がありました。407条・521条・524条・540条・550条・1022条〜1027条等)
●保証契約は書面によらなければ契約が成立しないこととされました。
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●景観法,都市計画法,建築基準法−公布から1年以内の施行予定 |
平成16年6月から1年以内に施行予定となっているものがあります。平成17年4月1日までに施行されれば,試験範囲になります。 ⇒ 4月1日には施行されませんでした。
特例容積率適用地区〔現行の商業地域のみに定められる特例容積率適用区域が適用地域を拡大〕(都市計画法・建築基準法),景観地区〔現行の美観地区が移行〕(景観法・都市計画法・建築基準法), ▼特例容積率適用地区・・・建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための建築基準法等の一部を改正する法律(平成16年6月2日法律第67号) |
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