法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成19年・問22 第二種低層住居専用地域

用途制限,外壁の後退距離,高さの限度,隣地斜線制限は適用されない


第二種低層住居専用地域に指定されている区域内の土地(以下この問において「区域内の土地」という。)に関する次の記述のうち、建築基準法の規定によれば、正しいものはどれか。ただし、特定行政庁の許可については考慮しないものとする。  (平成19年・問22)

1 区域内の土地においては、美容院の用途に供する部分の床面積の合計が100平方メートルである2階建ての美容院を建築することができない。

2 区城内の土地においては、都市計画において建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離の限度を2m又は1.5mとして定めることができる。

3 区域内の土地においては、高さが9mを超える建築物を建築することはできない。

4 区域内の土地においては、建築物を建築しようとする際、当該建築物に対する建築基準法第56条第1項第2号のいわゆる隣地斜線制限の適用はない

<コメント>  
 正解肢そのものは易しいのですが,肢1の美容院で驚いた方がいたかもしれません。ただ,肢2,肢3が比較的よく知られていることから,あまり迷った方はいなかったと思われます。

 この問題は,ほぼ,平成2年・問24平成5年・問22平成6年・問21・肢3,と同一の出題方法です。

●出題論点●
 (肢1) 用途規制−美容院
 (肢2) 外壁後退の距離の限度
 (肢3) 低層住居専用地域の高さ制限

 (肢4) 低層住居専用地域では,隣地斜線制限はない

【正解】

× × ×

 正答率  69.7%

1 区域内の土地においては、美容院の用途に供する部分の床面積の合計が100平方メートルである2階建ての美容院を建築することができない。

【正解:×初出題

◆用途制限 美容院

 第二種低層住居専用地域内では,美容院の用途に供する部分が,床面積の合計150平方メートル以下で,かつ,3階以上にあるのでなければ〔2階以下ということ〕,特定行政庁の許可がなくても建築することができます(建築基準法48条2項,別表第二(ろ)2号,施行令130条の5の2第2号)

 <100平方メートルで,2階建て>の美容院ならば建築できるので,本肢は誤りです。

●別表第二 (ろ)2号
 第二種低層住居専用地域内に建築することができる建築物

 店舗、飲食店その他これらに類する用途に供するもののうち政令で定めるものでその用途に供する部分の床面積の合計が150平方メートル以内のもの(3階以上の部分をその用途に供するものを除く。)

(第二種低層住居専用地域内に建築することができる店舗、飲食店等の建築物)

第130条の5の2  法別表第二(ろ)項第2号の規定により政令で定める建築物は、次に掲げるものとする。

一  日用品の販売を主たる目的とする店舗又は食堂若しくは喫茶店

二  理髪店、美容院、クリーニング取次店、質屋、貸衣装屋、貸本屋その他これらに類するサービス業を営む店舗

三  洋服店、畳屋、建具屋、自転車店、家庭電気器具店その他これらに類するサービス業を営む店舗で作業場の床面積の合計が50平方メートル以内のもの(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が0.75キロワット以下のものに限る。)

四  自家販売のために食品製造業を営むパン屋、米屋、豆腐屋、菓子屋その他これらに類するもので作業場の床面積の合計が50平方メートル以内のもの(原動機を使用する場合にあつては、その出力の合計が0.75キロワット以下のものに限る。)

五  学習塾、華道教室、囲碁教室その他これらに類する施設

 ⇒ これについては,平成15年・問21・肢4での解説で掲げてありました。ご覧になっていた方は誤りだと喝破できたと思います。

2 区城内の土地においては、都市計画において建築物の外壁又はこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離の限度を2m又は1.5mとして定めることができる。

【正解:×昭和55年・問20・肢2昭和61年・問22・肢2平成6年・問21・肢4

◆外壁の後退距離の限度

 第一種低層住居専用地域または第二種低層住居専用地域内では,建築物の外壁またはこれに代わる柱の面から敷地境界線までの距離 (外壁の後退距離)の限度を,都市計画で,1.5mまたは1mに定めることができます(建築基準法54条)

 本肢は,<2m又は1.5m>としているので,誤りです。

3 区域内の土地においては、高さが9mを超える建築物を建築することはできない。

【正解:×平成2年・問24・肢2平成5年・問22・肢1平成6年・問21・肢1平成13年・問21・肢2

◆高さの限度

 第一種低層住居専用地域または第二種低層住居専用地域内での建築物の高さは,10mまたは12mのうち,都市計画で定められた建築物の高さの限度を超えることはできません(建築基準法55条1項)

 本肢は,<高さが9mを超える建築物を建築することはできない>としているので,誤りです。

4 区域内の土地においては、建築物を建築しようとする際、当該建築物に対する建築基準法第56条第1項第2号のいわゆる隣地斜線制限の適用はない。

【正解:平成5年・問23・肢2平成6年・問21・肢3平成18年・問22・肢2

◆隣地斜線制限は適用されない

 第一種低層住居専用地域及び第二種低層住居専用地域内では,隣地斜線制限は適用されません(建築基準法56条1項2号)

 肢3の高さ制限のほうが厳しいので,隣地斜線制限の規定を設けても意味がないからです。


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