法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 平成2年・問24 

容積率・高さ制限・建ぺい率・日影規制


第一種低層住居専用地域内の建築物に関する次の記述のうち,建築基準法の規定によれば,正しいものはどれか。(平成2年・問24)

1.「第一種低層住居専用地域内においては,建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合 (容積率) として都市計画で定められている値は,10/10以下である。」

2.「第一種低層住居専用地域内においては,建築物の高さは,すべて10mを超えてはならない。

3.「第一種低層住居専用地域内の建築物については,建築物の建築面積の敷地面積に対する割合 (建ぺい率) に係る制限は適用されない。」

4.「第一種低層住居専用地域内の建築物のうち,地階を除く階数が2以下で,かつ,軒の高さが7m以下のものは,日影による中高層の建築物の高さの制限を受けない。」

【正解】

× × ×

1.「第一種低層住居専用地域内においては,建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合 (容積率) として都市計画で定められている値は,10/10以下である。」

【正解:×平成2年・問24・肢1,平成5年・問22・肢2,

◆容積率

 第一種住居地域内に関する都市計画で,容積率の限度として定めることができる最高値は,20/10なので誤りです。(建築基準法・52条1項1号)

 用途地域  容積率の限度
低層住居専用地域
 5/10,6/10,8/10,10/10,15/10,20/10

 のうち,都市計画で定められたもの

2.「第一種低層住居専用地域内においては,建築物の高さは,すべて10mを超えてはならない。

【正解:×昭和62年・問24・肢4,平成2年・問24・肢2,平成5年・問22・肢1,平成6年・問21・肢1,平成13年・問21・肢2,

◆低層住居専用地域内における建築物の高さの限度−10m又は12m

 第一種・第二種低層住居専用地域内では,原則として,
建築物の高さは10m以下,又は,12m以下にしなければならない。

 第一種・第二種低層住居専用地域内では,10m又は12m〔どちらかが都市計画で建築物の高さの限度として定められています〕を超える建築物を建築できません。(建築基準法・55条1項)→註

 ただし,以下の場合,この高さの限度は適用されないので,本肢は誤りです。

・『その敷地の周囲に広い公園,広場,道路その他の空地を有する建築物で,特定行政庁が,低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認め,建築審査会の同意を得て,許可した場合』,(建築基準法・55条3項1号)

・『学校その他の建築物で,特定行政庁が,その用途によってやむを得ないと認め,建築審査会の同意を得て許可した場合(建築基準法・55条3項2号)

 註 高さの限度が10mの地域での例外

 建築物の高さの限度が10mと定められている地域内であっても,その敷地内に政令で定める空地を有し,かつ,その敷地面積が政令で定める規模以上〔原則として1,500平方メートル以上〕である建築物で,特定行政庁が低層住宅に係る良好な住居の環境を害するおそれがないと認めるものの場合は,高さの限度を12mとすることができます。(建築基準法・55条2項)
 

3.「第一種低層住居専用地域内の建築物については,建築物の建築面積の敷地面積に対する割合 (建ぺい率) に係る制限は適用されない。」

【正解:×

◆建ぺい率

 第一種低層住居専用地域では,3/10,4/10,5/10,6/10,のうち当該地域に関する都市計画で定められた建ぺい率の最高限度を超えて建築することはできません。(建築基準法・53条1項1号)

 本肢では,<建ぺい率に係る制限は適用されない>とあるので誤りです。

  原則 角地 防火+耐火 角地防火+耐火
低層住居専用地域

中高層住居専用地域

工業専用地域

(低・中・工専)

3/10

6/10

+1/10 +1/10 +2/10

4.「第一種低層住居専用地域内の建築物のうち,地階を除く階数が2以下で,かつ,軒の高さが7m以下のものは,日影による中高層の建築物の高さの制限を受けない。」

【正解:昭和56年・問24・肢1,昭和59年・問24・肢3,平成2年・問24・肢4,

◆日影規制

 日影規制は,建築基準法で定められた適用可能区域のうち,地方公共団体が条例で定める区域内の一定の規模の建築物に適用されます。日影規制のある第一種低層住居専用地域内では,軒の高さが7m超,または,地上階数3以上の建築物に適用されるので,地階を除く階数が2以下で,かつ,軒の高さが7m以下のものであれば,日影規制の適用は受けません。

日影規制が適用される建築物
低層住居専用地域  軒の高さ7mを超えるか,又は,
 地階を除き階数3以上の建築物・・・(1)
低層住居専用地域以外の適用区域

(低層住居専用地域以外の5つの住居系

+近隣商業+準工業)

 高さが10 m超・・・(2)
用途地域の指定のない区域  ・・・(1),(2)のどちらか
 地方公共団体が条例で決めます

●日影規制と用途地域の出題歴

低層住居専用地域 昭和56年,昭和59年,平成2年,

中高層住居専用地域 昭和56年,昭和59年,♯昭和63年,平成3年,平成7年

住居地域 昭和56年,昭和57年,昭和59年,平成4年

近隣商業 昭和55年,昭和56年,昭和59年,平成4年

商業地域 昭和59年,昭和60年,平成5年,

●日影規制の出題歴
昭和55年・問20・肢1昭和55年・問22昭和56年・問24昭和57年・問24・肢1昭和59年・問24昭和60年・問21・肢3昭和62年・問24・肢3昭和63年・問24・肢2平成2年・問24・肢43年・問24・肢44年・問23・肢35年・問23・肢47年・問24

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