法令上の制限 実戦篇

建築基準法の過去問アーカイブス 昭和55年・問22・日影規制


建築基準法における,日影による中高層の建築物の高さの制限について,次の記述のうち正しいものはどれか。(昭和55年・問22)

1.「地方公共団体が条例で定める対象区域内にあっては,高さが7mを超える建築物は,すべて制限の適用をうける。」

2.「敷地が公園に接している場合には,制限の適用の緩和措置が認められている。」

3.「同一の敷地内に二以上の建築物がある場合には,これらの建築物を一の建築物とみなして制限を適用する。」

4.「対象区域外にある建築物で,対象区域内の土地に日影を生じさせるものは,すべて制限の適用を受ける。」

【正解】

× × ×

●日影規制の出題歴
昭和55年・問20・肢1昭和55年・問22昭和56年・問24昭和57年・問24・肢1昭和59年・問24昭和60年・問21・肢3昭和62年・問24・肢3昭和63年・問24・肢2平成2年・問24・肢43年・問24・肢44年・問23・肢35年・問23・肢47年・問24

http://www.ads-network.co.jp/houritu/ho-01/ho-02.htm

1.「地方公共団体が条例で定める対象区域内にあっては,高さが7mを超える建築物は,すべて制限の適用をうける。」

【正解:×

◆日影規制の対象区域→地方公共団体の条例で指定する区域 
 規制内容=建築物の形状〔主に高さに係るもの〕が制限される。

日影規制の適用を受ける建築物は,区域によって,『地上階数3以上又は軒高7m超』,または『高さ10m超』のどちらかになる。したがって,<対象区域内で,高さが7mを超える建築物は,すべて制限の適用をうける>のではない。

 日影規制の対象区域は,その区域の存する地方の気候及び風土,土地利用の状況等を勘案して地方公共団体が条例で指定します。(建築基準法では,どのように日影規制の区域を指定するかは,地方公共団体に任されています。)

 ⇒ 冬至日の午前8時から午後4時までの時間帯において,(その建築物によって)日影が生じる時間を一定範囲内に制限することによって建築物の形状が決まる。〔一定時間以上日影を生じさせないようにすること(敷地境界線からの水平距離によって日影時間の制限は異なる)で近隣の土地の日照時間を確保し,その土地に一日中,日が当たらないということがないようにする。〕

都市計画区域 低層住居専用地域,中高層住居専用地域,住居地域,
準住居地域,近隣商業地域,準工業地域,
用途地域の指定のない区域のうちで,
地方公共団体が条例で日影規制の対象区域を指定する。

(商業地域・工業地域・工業専用地域を除く。)

準都市計画区域
知事指定区域

(都市計画区域及び
準都市計画区域外)

都道府県知事が関係市町村の意見を聴いて指定する区域内で,
地方公共団体が条例で日影規制の対象区域を指定する。
(法68条の9第1項,施行令136条の2の9)

 日影規制が適用される建築物は以下のものです。

日影規制が適用される建築物
低層住居専用地域  軒の高さ7mを超えるか,又は,
 地階を除き階数3以上の建築物・・・(1)
低層住居専用地域以外の適用区域

(低層住居専用地域以外の5つの住居系

+近隣商業+準工業)

 高さが10 m超・・・(2)
用途地域の指定のない区域  ・・・(1),(2)のどちらか
 地方公共団体が条例で決めます

軒高:地盤面から小屋組又は横架材を支持する壁,敷げた,柱の上端までの高さ(一番上の梁までの高さ)

両区域外の知事指定区域での日影規制の制限は,『用途地域の指定のない区域内の制限より厳しいものでないこと。』という規定がある。(施行令136条の2の8第1項6号)

日影規制の対象区域内にある建築物でも,特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合は日影規制の適用を受けません。(56条の2第1項但書)

2.「敷地が公園に接している場合には,制限の適用の緩和措置が認められている。」

【正解:×昭和55年・問22,平成7年・問24,

◆日影規制の緩和措置

 建築物の敷地が道路,水面,線路敷等に接する場合には,緩和措置がありますが,敷地が公園に接している場合には緩和措置はありません。(56条の2第3項,施行令135条の12第1項1号)

 建築物の敷地が道路,線路敷,川又は海その他これらに類するものに接する場合,建築物の敷地とこれに接する隣地との高低差が著しい場合その他これらに類する特別の事情がある場合には日影規制の適用の緩和措置があります。(56条の2第3項)

 もともと,日影規制は,中高層建築物によって,その建築物の周囲の土地に日影を一定時間以上生じさせないようにするための規定です。つまり,その建築物のある敷地の近隣が海や川だったり,隣地と極端な段差がある場合は,日影時間を厳格に制限しなくてもいいだろうということです。

●日影規制の緩和措置がある場合(施行令135条の12第1項)
・建築物の敷地が道路,水面,線路敷等に接する場合
・敷地の平均地盤面が日影の生じる隣地の地盤面よりも1m以上低い場合
・地形が特殊で日影規制を適用するには著しく不適当な場合
●日影規制の適用を受けない場合−建築審査会の同意を得て特定行政庁が許可
 日影規制の対象区域内にある建築物でも,特定行政庁が土地の状況等により周囲の居住環境を害するおそれがないと認めて建築審査会の同意を得て許可した場合は日影規制の適用を受けません。(56条の2第1項但書)

3.「同一の敷地内に二以上の建築物がある場合には,これらの建築物を一の建築物とみなして制限を適用する。」

【正解:昭和55年・問22,59年・問24,平成7年・問24,

◆同一の敷地に2以上の建築物

 同一の敷地内に2以上の建築物がある場合には,これらの建築物を一の建築物とみなして日影規制を適用します。(56条の2第2項)

4.「対象区域外にある建築物で,対象区域内の土地に日影を生じさせるものは,すべて制限の適用を受ける。」

【正解:×昭和55年・問22,60年・問21・肢3,62年・問21・肢3,

◆対象区域外にある建築物

 対象区域外にある建築物で日影規制の適用を受けるのは,その建築物の高さが10m超で,対象区域内の土地に冬至日に日影を生じさせるものに限られている(56条の2第4項)ので,すべて制限の適用を受けるのではありません。

※冬至日:『太陽が1年中で最も低い位置を動く』


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