法令上の制限 実戦篇
建築基準法の過去問アーカイブス 昭和60年・問21
道路・防火地域・日影規制・前面道路幅による容積率の制限
建築基準法に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(昭和60年・問21) |
1.「都市計画法による新設の事業計画のある道路は,その事業が執行される前であっても,建築基準法上の道路となることがある。」 |
2.「防火地域内においては,階数が3以上の建築物は,原則として,耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。」 |
3.「商業地域内にある建築物であっても,日影による中高層の建築物の高さの制限を受けることがある。」 |
4.「建築物の容積率 (建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合) は,当該建築物の敷地が接する道路の幅員により制限されることがある。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | ○ | ○ |
1.「都市計画法による新設の事業計画のある道路は,その事業が執行される前であっても,建築基準法上の道路となることがある。」 |
【正解:○】昭和60年・問21・肢1, ◆計画道路 都市計画法等の法律による新設又は変更の事業計画のある道路で,2年以内にその事業が執行される予定のものとして特定行政庁が指定したものを,本問題集では,計画道路(予定道路) と言っておきます。(建築基準法・42条1項4号) ⇒ 特定行政庁が指定したものでないと「道路」ではないことに注意。
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2.「防火地域内においては,階数が3以上の建築物は,原則として,耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。」 |
【正解:×】昭和57年・問24と同一問題 ◆防火地域内の建築物
防火地域内の建築物で階数が3以上のものは,耐火建築物にしなければなりません。『耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない』とする本肢は誤りです。(建築基準法・61条1号)
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3.「商業地域内にある建築物であっても,日影による中高層の建築物の高さの制限を受けることがある。」 |
【正解:○】昭和55年・問22,60年・問21・肢3,62年・問21・肢3, ◆対象区域外にある建築物 商業地域は原則として日影規制の適用対象区域外ですが,その建築物の高さが10m超で,対象区域内の土地に冬至日に日影を生じさせるものは日影規制の適用を受けるので(56条の2第4項),本肢は正しい記述です。 ※冬至日:『太陽が1年中で最も低い位置を動く』
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日影規制が適用される建築物 | |
低層住居専用地域 | 軒の高さが7mを超えるか,又は, 地階を除き階数3以上の建築物・・・(1) |
低層住居専用地域以外の適用区域
(低層住居専用地域以外の5つの住居系 +近隣商業+準工業)商・工・工専はない |
高さが10 m超・・・(2) |
用途地域の指定のない区域 | ・・・(1),(2)のどちらか 地方公共団体が条例で決めます |
●日影規制の出題歴 |
昭和55年・問20・肢1,昭和55年・問22,昭和56年・問24,昭和57年・問24・肢1,昭和59年・問24,昭和60年・問21・肢3,昭和62年・問21・肢3,昭和63年・問24・肢2,平成2年・問24・肢4,3年・問24・肢4,4年・問23・肢3,5年・問23・肢4,7年・問24, |
●日影規制と用途地域の出題歴 |
低層住居専用地域 昭和56年,昭和59年,平成2年, 中高層住居専用地域 昭和56年,昭和59年,♯昭和63年,平成3年,平成7年 住居地域 昭和56年,昭和57年,昭和59年,平成4年 近隣商業 昭和55年,昭和56年,昭和59年,平成4年 商業地域 昭和59年,昭和60年,平成5年, |
4.「建築物の容積率 (建築物の延べ面積の敷地面積に対する割合) は,当該建築物の敷地が接する道路の幅員により制限されることがある。」 |
【正解:○】 ◆前面道路の幅員による容積率の制限 ●前面道路の幅員が12メートル未満である建築物の容積率 前面道路(前面道路が2以上あるときは,その幅員の最大のもの。)の幅員が12メートル未満である建築物の容積率は,当該前面道路の幅員のメートルの数値に,次の区分に従って定める数値を乗じたもの以下でなければならない。(建築基準法・52条2項)
※高層住居誘導地区内の建築物であつて,その住宅の用途に供する部分の床面積の合計がその延べ面積の3分の2以上であるものを除く。 |