宅建過去問
 土地の過去問アーカイブス
 地すべり・土石流・がけ崩れ  

●地すべり・土石流・がけ崩れの過去問Archives
【地すべり】平成4年・問1・肢2,〔地すべり地と等高線〕平成11年・問49・肢2平成12年・問49・肢1平成13年・問49・肢1,〔地すべりの予測−擁壁・側溝・道路にひび割れ〕平成14年・問49・肢2,〔断層と地すべり〕平成15年・問49・肢2

【土石流】〔土石流堆〕昭和60年・問1・肢1, (扇状地と土石流)平成12年・問49・肢3平成13年・問49・肢2

【がけ崩れ】平成15年・問49・肢3

●土砂災害の定義
(定義)
第2条  この法律において、「土砂災害」とは、急傾斜地の崩壊(傾斜度が30度以上である土地が崩壊する自然現象をいう。)土石流(山腹が崩壊して生じた土石等又は渓流の土石等が水と一体となって流下する自然現象をいう。)又は地滑り(土地の一部が地下水等に起因して滑る自然現象又はこれに伴って移動する自然現象をいう。)(以下「急傾斜地の崩壊等」と総称する。)を発生原因として国民の生命又は身体に生ずる被害をいう。

 −土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律

【地すべり】

地すべり

 一般的には,土地の一部が斜面に沿って下方へゆるやかにすべり落ちる現象のことをいい,傾斜の緩やかな斜面(10度前後)に発生することが多いといわれます。地すべりの移動速度は一日数cm〜数10cmで,地表の割れ目や陥没が生じて初めて地すべりが起きていたことがわかることもありますが,移動が目に見える速さで発生することもあります。

●地すべりについてのリンク
地すべりとは(PDF,国土交通省)日本の地すべり日本の地すべり・災害事例写真集地すべり学入門(鹿児島大学)

●地すべり防止区域  (地すべり等防止法)

 地すべり等防止法での地すべりは,<土地の一部が地下水などが原因ですべる現象又はこれにともなって移動する現象>をいい(地すべり等防止法・2条1項)地すべり区域(地すべりしている区域又は地すべりするおそれのきわめて大きい地域)これに隣接している地域のうちで,地すべり地域であって,公共の利害に密接な関連を有するものを地すべり防止区域として主務大臣(国土交通大臣または農林水産大臣)が指定しています(地すべり等防止法・3条1項)

 この区域内で,地下水に影響を与える行為,のり切・切土・掘削・盛土などの土地の形質の変更,土砂の採取・集積等などの一定行為を行うときは,都道府県知事の許可を受けなければなりません(地すべり等防止法・18条1項,施行令5条)

平成4年・問1・肢2

2.「地すべり地は,安定していても,盛土をすると,バランスをくずし,再びすべることがある。」

【正解:

◆地すべり地+盛土

 地すべり地は,表面的に安定しているように見えても,徐々に継続・進行していることがあり,すべり面付近の岩質が粘土化して滑りやすくなっていることがあります。

 地すべり地に盛土をすると重量のバランスが崩れ,地すべりを起こしやすくなるので,工法には注意が必要です。 ⇒ 地すべり対策工事

〔地すべり地と等高線〕平成11年・問49・肢2

2.「地すべり地については,上部は急斜面,中部は緩やかな斜面,下部には末端部に相当する急斜面があり,等高線は乱れて表れることが多い。」

【正解:

◆地すべり地

 地すべり地は周囲よりも緩やかな斜面になっていることが多いので,地すべり地は,地形図では,等高線の間隔がその周囲よりやや広がり,不自然に膨らんでいるように見えます。

 問題文は,このことを「地すべり地では等高線は乱れて表れることが多い」と表現しています。⇒ 地すべり地形(中国地質業協会)

平成15年・問49・肢1

1.「地形図の上では斜面の等高線の間隔が不ぞろいで大きく乱れているような場所では,過去に崩壊が発生した可能性があることから,注意が必要である。」

【正解:等高線の出題 : 平成元年,11年,15年

◆等高線の間隔が不ぞろい

 斜面の等高線の間隔が不ぞろいで大きく乱れている場所では,過去に地すべりや崩壊が発生し,再び発生する可能性があります。

平成12年・問49・肢1

1.「地すべり地の多くは,過去に地すべり活動を起こした経歴があって,地すべり地形と呼ばれる独特の地形を呈し,棚田等の水田として利用されることがある。」

【正解:

◆地すべり地−棚田として利用されることがある

 地すべり地では水を含むと粘土化するような土質からなることが多いため,地すべり地の上部まで棚田などの水田(良質の米を算出し,生産力が高い。)に利用されることがあります。

 ⇒ 棚田 (NPO法人・棚田ネットワーク)

平成13年・問49・肢1

1.「地すべりは,特定の地質や地質構造を有する地域に集中して分布する傾向が強く,地すべり地形と呼ばれる特有の地形を形成することが多い。」

【正解:

◆地すべり地形

 地すべりは,地すべり地形(地すべりによって生じた地形,または生じつつある地形)と呼ばれる特有の馬蹄形の地形を形成します。模式図については下記を参照してください。

 ⇒ 地すべり地形とは? (独立行政法人 科学技術振興機構)

〔地すべりの予測−擁壁・側溝・道路にひび割れ〕平成14年・問49・肢2

2.「宅地予定地周辺の擁壁や側溝,道路等にひび割れが見られる場合,地すべりが活動している可能性が高い。」

【正解:

◆地すべりの予測

 地すべりの発生は,地形図等からも予測できますが,周辺の擁壁や側溝,道路等にひび割れが見られることによっても予測できます。 ⇒ 地すべりの予測 (社団法人 斜面防災対策技術協会)

〔断層と地すべり〕平成15年・問49・肢2

2.「断層は,ある面を境にして地層が上下又は水平方向にくい違っているものであるが,その周辺では地盤の強度が安定しているため,断層に沿った崩壊,地すべりが発生する危険性は低い。」

【正解:×

◆断層と地すべり

 断層地形の周辺は地盤の強度が安定していないので,断層に沿った崩壊,地すべりが発生する危険性が高いので,誤りです。

 ⇒ 断層を見る (猫三さんの地学教室)断層地形と地形図

【土石流】

●土石流についてのリンク
⇒ 土石流の写真 :
鹿児島県出水市の土石流鹿児島県出水市の土石流

⇒ 土石流とは(PDF,国土交通省)

〔土石流堆〕昭和60年・問1・肢1

1.「土石流の堆積したなだらかな地形で,谷の出口に当たる部分」

【正解:不適当

◆土石流堆

 土石流堆とは,土石流によって流下した土石等が山麓に堆積されてできた地形です。土石流堆があるところは再び土石流によって災害が生じる可能性があるので,危険な地形であり,宅地には不適当です。

平成13年・問49・肢2

2.「土石流は,急勾配の渓流に多量の不安定な砂礫の堆積がある所や,流域内で豪雨に伴う斜面崩壊の危険性の大きい場合に起こりやすい。」

【正解:

◆土石流

 土石流とは,渓流や山腹の土・砂礫・岩が梅雨・集中豪雨などにより,水と一体となって津波のように一気に下流に押し流される現象です。(このほか,地震や地すべりで崩れた土砂雪どけ水を含んだ土砂による土石流や,火山灰に雨が降って起きる土石流もあります。また,土石流は,地方によっては,山津波,鉄砲水と呼ばれることがあります。) ⇒ 土石流の速さは,時速20km〜40km(規模や斜面の傾斜によって異なる)。

 このため,渓流が急勾配で多量に不安定な砂礫の堆積がある所や,流域内で豪雨に伴う斜面崩壊の危険性の大きい場合に起こりやすいことはわかりますね。

(扇状地と土石流)平成12年・問49・肢3

3.「谷出口に広がる扇状地は,土砂・礫が堆積してできたものであるため,地盤は堅固でないが,士石流災害に対しては安全であることが多い。」

【正解:×

谷の出口の扇状地

 扇状地は,山麓にゆるく傾斜した扇状の地形(谷の出口を頂点として平地に向かって開いている。)で,河川の氾濫によって主に砂礫層から成り立っています。

 扇状地の末端付近は,一般的には,水はけもよく,湧水の利便もよいので宅地にも利用されていますが,同じ扇状地でも谷の出口に当たる扇の要にあたる部分から中央部では河川の水のかなりの部分が地下を流れる伏流水となっていて地下水位が深く(末端部では湧水として現れる。),土石流などの危険性が高いといわれています。

 したがって本肢は誤りです。

扇状地の頂点を扇頂,末端を扇端,中央部を扇央ということがあります。

【がけ崩れ】平成15年・問49・肢3

3.「がけ崩れは,梅雨の時期や台風時の豪雨によって発生することが多く,がけに近接する住宅では日頃から降雨に対する注意が必要である。」

【正解:

◆がけ崩れ

 がけ崩れとは斜面が突然崩落する現象をいい,梅雨や集中豪雨で地中にしみ込んだ水分や地下水が土の抵抗力を弱めるために起きます。(雨が降らなくても地震や強風が原因で起きることがあります。)

 がけに近接する地域では日頃から降雨に対する注意が必要です。

 ⇒ がけ崩れ(国土交通省)がけ崩れの対策(国土交通省)がけ崩れ(鹿児島大学)

国は,がけ崩れの危険な場所に対して急傾斜地崩壊危険区域の指定を行っています。当該区域内の土地の所有者・管理者・占有者は,その土地の維持管理については,急傾斜地の崩壊が生じないように努めなければなりません(急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律・9条1項)


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