統計問題出題予想データ2012
法人企業統計年報
●出題傾向
 平成15年以降は,国土交通白書か法人企業統計のどちらかが1肢,出題されています。

 ただし,平成21年は,この例外で,国土交通白書(宅建業者の数),法人企業統計(不動産業の経常利益)とも,出題されています。

●法人企業統計年報の出題の推移

                      出題歴
 出題年 63 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
 法人企業統計の出題
 不動産業の特性
 不動産業の売上高
 不動産業の売上高の比率
 不動産業の経常利益
 不動産業の経常利益率
 不動産業の借入金負担率

●法人企業統計の過去問Archives
【不動産業の特色】
(自己資本比率が低い・中小零細性・売上高経常利益率が高い) 平成元年・問34・肢2

【売上高】平成16年・問48・肢2平成17年・問48・肢2平成19年・問48・肢4

【経常利益】平成15年・問48・肢3平成20年・問48・肢4平成21年・問48・肢2

平成22年・問48・肢1平成23年・問48・肢4

【売上高経常利益率】平成5年・問34・肢3,,

【借入金負担率】平成5年・問34・肢3

●法人企業統計(平成22年度)から出題が予想されるもの
・不動産業は,全産業の売上高の2.6%,法人数の10.9%(平成22年度),国内総生産の11.8%(平成22年,57兆円)を占める重要な産業の一つである。

・不動産業の売上高は2年度ぶりに減少したが,経常利益は2年度連続で増加した(2年度連続の増益)。★★★

・不動産業の売上高36兆6,315億円 (対前年度比 10.6%の減少),全産業の 2.6%★★★
 ⇒出題 16年,17年,19年

・不動産業の経常利益 3兆3,244億円(約3兆円),対前年度比 7.5%増★★★
 ⇒出題 15年,20年,21年,22年,23年

・不動産業の売上高経常利益率 9.1%(全産業の平均は3.2%) ⇒ 出題 5年

平成元年の出題では、

 法人企業統計(旧・大蔵省)の不動産業と他産業との違いが出題されましたが、平成元年の建設白書に掲載された部分からの出題でした。

●コメント  
 出題頻度が高いのは,不動産業の経常利益,不動産業の売上高の二つ。

  不動産業の経常利益は4年連続で出題しています。不動産業の売上高は19年以来,出題がないので,そろそろかもしれません。

 このすべてが法人企業統計および関連資料でどうなっていたかを調べていきましょう。

▼このページの各セクション一覧

1 不動産業のポジション

2 不動産業の経営指標

1 不動産業のポジション

●不動産業を取り巻く状況−国土交通白書・平成23年度版p.197
 不動産業は,全産業の売上高の2.6%法人数の10.9%(平成22年度),国内総生産の11.8%(平成22年,57兆円)を占める重要な産業の一つである。

 ●不動産市場の現状 −国土交通白書・平成23年度版p.198★☆☆
 国民経済計算をもとに,建物・構築物・土地の資産額を合計すると,我が国における不動産の資産額は平成22年末現在で、2,500兆円となっている。

2 不動産業の経営指標 (法人企業統計年報)

 ●法人企業統計−産業全体に占める不動産業の地位 ★★☆

   →財務省・法人企業統計調査(毎年9月〜10月に年次調査を発表) 

 平成22年度の売上高は減少したが、経常利益は2年連続の増益であった。

売上高の推移 

 平成22年度の不動産業の売上高は約36兆6,315億円(全産業の売上高の約2.6%)で、

対前年度比では10.6%の減少。

年度 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度
売上高(兆円) 33.1 32.4 29.9 31.9 33.5

年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
売上高(兆円) 33.6 33.3 34.5 33.9 37.1 38.7

年度 21年度 22年度
売上高(兆円) 41.0 36.6

 平成16年・問48・肢2に売上高の推移が出題。

 平成17年・問48・肢2に売上高が全産業の売上高で占める割合(全産業比)が出題。

 平成19年・問48・肢4に売上高が全産業の売上高で占める割合(全産業比)が出題。

 ― 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
不動産業  32兆3,705億円  299,054億円   31兆8,582億円  33兆4,761億円  33兆6,283億円
前年比  △2.2%  △7.6%  +6.5%  +5.1%  +0.5%

 ― 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
不動産業  33兆2,507億円  34兆4,997億円 33兆8,586億円 37兆946億円 38兆6,671億円
前年比  △1.1%  +3.8%  △1.9%  +9.6%  +4.2%

 ― 21年度 22年度
不動産業 40兆9,764億円 36兆6,315億円
前年比  +6.0%  △10.6%

経常利益の推移 → 平成15年、20年、21年、22年、23年に経常利益と推移が出題。

 ― 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
不動産業  1兆990億円  15,730億円   1兆9,391億円  2兆3,880億円  1兆7,584億円
前年比  +153.6%  +43.1%  +23.3%  +23.1%  -26.4%

 ― 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
不動産業  2兆1,673億円  2兆3,324億円 3兆4,648億円 3兆4,265億円 2兆9,236億円
前年比  +23.3%  +7.6%  +48.5%  −1.1%  −14.7%

 ― 21年度 22年度
不動産業 3兆926億円 3兆3,244億円
前年比  +5.8%  +7.5%

売上高経常利益率の推移  →平成元年,5年に出題。

 ― 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
全産業平均  1.9%  2.5%  2.1%  2.3%  2.7%
不動産業  3.4%  5.3%  6.1%  7.1%  5.2%

 

 ― 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
全産業平均  3.1%  3.4%  3.5%  3.4%  2.4%
不動産業  6.5%  6.8%  10.2%  9.2%  7.6%

 ― 21年度 22年度
全産業平均  2.3%  3.2%
不動産業  7.5%  9.1%

自己資本比率の推移 →  平成元年に自己資本率が低いことが出題。

 ― 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
全産業平均 22.3% 25.7% 25.2% 27.4% 28.3%
不動産業  5.7% 14.6%  7.2% 14.3% 11.0%

 

 ― 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
全産業平均 29.8% 30.1% 32.8% 33.5% 33.9%
不動産業 20.7% 17.5% 32.1% 27.0% 24.6%

 

 ― 21年度 22年度
全産業平均 34.5% 35.6%
不動産業 13.0% 25.4%

借入金比率の推移 →  平成5年に推移状況が出題。

 不動産業は他の産業に比べて、借入金依存度が高く、借入金負担率が高い。

 ― 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
全産業平均 38.7% 35.0% 36.4% 35.4% 33.2%
不動産業 282.1% 257.1% 258.5% 223.2% 219.4%

 

 ― 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
全産業平均 31.7% 29.1% 27.6% 26.3% 31.5%
不動産業 197.8% 192.7% 161.0% 158.2% 198.0%

 ― 21年度 22年度
全産業平均 34.7% 32.7%
不動産業 236.2% 221.4%

【平成5年出題】
  
法人企業統計によれば、平成4年度の不動産業は、売上高経常利益率で引き続きマイナスになるとともに、借入金負担率でも引き続き高水準となった。

【正解 :
  本設問は、正しいものはどれかという問題での肢でした。   

 本設問はバブル崩壊後の平成4年のものなので、当然、現在の統計推移とは異なりますが、このような形で出題されるという例としてお考えください。


 ●不動産業の特性・平成22年度 ★★★

 1自己資本比率が低い (25.4%, 全産業平均35.6%)←H元年出題
  (平成22年度,財務省 「法人企業統計」)

 2中小零細性が著しい(従業員5人未満の事務所が86%) ←H元年、3年出題

 事業所数(21年)    375,478 全産業比  6.2パーセント

 従業員数(21年)    1,240,533人 全産業比  2パーセント 

  (平成21年,総務省統計局,「事業所・企業統計調査」(5年毎に公表))

 3参入退出率が高い

 4従業員1人あたりの付加価値額が極めて高い(2,033万円)
  (平成22年度,財務省 「法人企業統計」)

従業員1人あたりの付加価値額の推移 (単位・万円)
  (平成22年度,財務省 「法人企業統計」)

 ― 10年度 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
全産業平均  712  694  702  695              
不動産業 1,482 1,695 1,884 1,848 1,816 1,767 1,845 1,449 1,994 1,907 1,614

 ― 21年度 22年度
全産業平均    
不動産業 1,812 2,033

【平成元年出題】
昭和62年度法人企業統計(大蔵省)によれば、不動産業は、他産業と比較して、自己資本率が高い、中小零細性が高い、売上高経常利益率が低い等の特性を有している。

【正解 : ×
       
「中小零細性が高い」のは事実ですが、そのほかの点が誤りです。

×自己資本率が高い → 自己資本率が低い

×売上高経常利益率が低い → 売上高経常利益率が高い

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