税法その他 実戦篇

宅地建物の統計の過去問アーカイブス 平成元年・問34  改題

本問題は,平成24年受験用にデータをアップデートしています。


不動産及び不動産業についての統計に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。(平成元年・問34)

1.住宅着工統計(国土交通省)によれば,着工新設住宅の平均床面積は,平成23年は前年より増加した。

2.平成22年度法人企業統計(財務省)によれば,不動産業は,他産業と比較して,自己資本率が高い,中小零細性が高い,売上高経常利益率が低い等の特性を有している。

3.住宅着工統計によれば,新設住宅着工戸数は,平成21年は2年ぶりに減少したが,平成22年から平成23年は2年連続して増加している。

4.平成24年3月に公表された地価公示(国土交通省)によれば,平成23年1月1日からの1年間に,東京圏では住宅地・商業地が2年連続で下落幅が縮小し,全国的にも,住宅地,商業地の下落率は縮小した。

【正解】

×

1.住宅着工統計(国土交通省)によれば,着工新設住宅の平均床面積は,平成23年は前年より増加した。

【正解:

◆着工新設住宅一戸あたりの平均床面積の推移

 新設住宅全体の一戸あたりの平均床面積は増加しており 問題文の記述のとおりです。

着工新設住宅の1戸あたり全国の平均床面積の推移 (単位 : 平方メートル)(年間集計)

 ― 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年
新設住宅

全体

91.0 89.7 88.8 86.2 84.3 85.5 83.0 86.7 83.0 90.3
持家 136.2 135.0 134.4 133.9 133.3 132.0 130.5 127.8 126.2 125.6
分譲住宅 96.8 95.1 95.4 94.8 93.5 95.6 92.0 94.3 92.0 92.9
貸家 50.4 48.8 47.9 46.8 46.0 45.9 45.1 47.5 49.8 51.1
給与住宅 70.2 70.8 66.5 66.2 67.0 66.5 64.0 56.6 63.1 69.2

 数値は四捨五入しているため実測値と異なる場合があります。

以前は,建設白書で,着工新設住宅の一戸あたり平均床面積の推移(年度集計)を掲載していました。本設問の原題では,年度集計を用いていましたが,建設白書の後身の国土交通白書ではこのデータは掲載していないため,土地白書に基づき,本設問では年間集計を用いました。

2.平成22年度法人企業統計(財務省)によれば,不動産業は,他産業と比較して,自己資本率が高い,中小零細性が高い,売上高経常利益率が低い等の特性を有している。

【正解:×

◆不動産業の特性  

 本肢では,『自己資本率が高い』,『売上高経常利益率が低い』,この2つが×です。

不動産業を他の産業と比較すると以下の特性を有している。

1 自己資本比率が低い (25.4%, 全産業平均35.6%)。
2 中小零細性が著しい。(従業員5人未満の事務所が86%。全産業平均は59%)
3 参入退出率が高い
4 従業員1人あたりの付加価値額が極めて高い(2,033万円)

*2 平成21年総務省統計局「事業所・企業統計調査」
*4 平成23年財務省「法人企業統計」

自己資本比率が低い・・・自己資本率が低いのは,業務の性格上,素地取得等に多額の資金を要し,かつ,事業期間が長期間に及ぶため借入金依存度が他の産業と比較して高いことに加え,特に近年は地価の下落の長期化など不動産業を取り巻く諸情勢が厳しいことなどの理由によると考えられる。(建設白書2000 p.498)

自己資本率の推移

 全産業平均と比べると、不動産業の自己資本率は低い。

 ― 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
全産業平均 29.8% 30.1% 32.8% 33.5% 33.9% 34.5% 35.6%
不動産業 20.7% 17.5% 32.1% 27.0% 24.6% 13.0% 25.4%

借入金比率の推移 −借入金負担率の高水準−

不動産業は他の産業に比べて、借入金依存度が高く、借入金負担率が高い。

 ― 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
全産業平均 31.7% 29.1% 27.6% 26.3% 31.5% 34.7% 32.7%
不動産業 197.8% 192.7% 161.0% 158.2% 198.0% 236.2% 221.4%

売上高経常利益率が高い・・・平成3年度から平成9年度までは7年間連続して赤字。 しかし,平成10年度以降は急速な回復をしています。

売上高経常利益率の推移

 全産業平均と比べると、不動産業の売上高経常利益率は高い。

 ― 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
全産業平均  3.1%  3.4%  3.5%  3.4%  2.4%  2.3% 3.2%
不動産業  6.5%  6.8%  10.2%  9.2%  7.6%  7.5% 9.1%

年次別法人企業統計は,最近では9月〜10月に公表。以前は,建設白書(現在は,運輸白書と合体して国土交通白書)に,国民経済計算年報のデータと共に一部掲載していました。

●国土交通白書・平成23年度版での『不動産業を取り巻く状況』 
  不動産業は,全産業の売上高の2.6%,法人数の10.9%(平成22年度),国内総生産の11.8%(平成22年,57兆円)を占める重要な産業の一つである。

3.住宅着工統計によれば,新設住宅着工戸数は,平成21年は2年ぶりに減少したが,平成22年から平成23年は2年連続して増加している。

【正解:

◆新設住宅着工戸数の最近の推移

 出題の狙いとしては,単に平成23年のデータを知っているだけではダメで,最近の推移状況も押さえてほしいというものです。推移については,本設問の記述のとおりです。

新設住宅着工戸数の年間集計と年度集計の推移 (単位 : 万戸)

  平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年
年間 123.6 129.0 106.1 109.3 78.8 81.3 83.4
年度 124.9  128.6 103.6 103.9 77.5 81.9 84.1

本設問の原題では,年度集計を用いていましたが,土地白書で毎年掲載している年間集計を本設問では用いました。〔国土交通白書(建設白書)には年度集計が掲載され,土地白書には年間集計が掲載。〕

4.平成24年3月に公表された地価公示(国土交通省)によれば,平成23年1月1日からの1年間に,東京圏では住宅地・商業地が2年連続で下落幅が縮小し,全国的にも,住宅地,商業地の下落率は縮小した。

【正解:

◆東京圏,全国の地価(全用途平均,住宅地,商業地)=下落率は縮小

 本肢の記述の通りです。

●東京圏の平均地価の最近の動向 (青字は下落幅縮小)

地価公示→ 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年 平成24年  年別変動率
全用途平均 ▲0.7  +4.6  +6.7 ▲4.7 ▲5.4 ▲1.9 ▲1.7 2年連続で

落率縮小

住宅地 ▲0.9  +3.6  +5.5 ▲4.4 ▲4.9 ▲1.7 ▲1.6 2年連続で

落率縮小

商業地  1.0  +9.4 +12.2 ▲6.1 ▲7.3 ▲2.5 ▲1.9 2年連続で

落率縮小

全国の平均地価の最近の動向 

 全用途平均,住宅地,商業地とも,地価は4年連続して下落しているが,下落率は2年連続して縮小している。

地価公示→ 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年
全用途平均 4.9 4.9 5.9 6.4 6.2 5.0 2.8 +0.4 +1.7 3.5 4.6 3.0 2.6
住宅地 4.1 4.2 5.2 5.8 5.7 4.6 2.7 +0.1 +1.3 3.2 4.2 2.7 2.3
商業地 8.0 7.5 8.3 8.0 7.4 5.6 2.7 +2.3 +3.8 4.7 6.1 3.8 3.1

●統計の過去問Up-to-date
昭和63年・問28,平成元年・問34,平成3年・問33平成5年・問34平成6年・問33
平成7年・問34平成8年・問34平成9年・問46平成10年・問46平成11年・問46
平成12年・問46平成13年・問48平成14年・問48平成15年・問48平成16年・問48
平成17年・問48平成18年・問48平成19年・問48平成20年・問48平成21年・問48
平成22年・問48平成23年・問48

過去問アーカイブス・税法その他に戻る 統計の過去問トップに戻る

統計問題対策に戻る