税法その他 実戦篇

宅地建物の統計の過去問アーカイブス 平成7年・問34  改題

本問題は,平成24年受験用にデータをアップデートしています。


宅地建物の統計等に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。(平成7年・問34)

1.平成24年3月に公表された地価公示(国土交通省)によれば,平成23年1年間の地価の概況は,三大都市圏,地方圏ともに,住宅地はわずかに下落,商業地は横ばいになっている。

2.住宅・土地統計調査(総務省,平成20年実施)によれば,居住世帯のある住宅数に占める持家数の割合は,ほぼ7割前後で推移しており,近年はゆるやかな上昇傾向にある。

3.住宅着工統計(国土交通省)によれば,分譲住宅の着工戸数については,分譲マンションの戸数が一戸建ての戸数を昭和56年以降平成20年まで一貫して上回っていたが,平成21年〜平成23年は,一戸建ての戸数が分譲マンションの戸数を上回った。

4.平成23年度において指定流通機構(国土交通省が指定する流通機構)に新規登録された物件情報の総数は,約489万件であり,そのうち売り物件は約7割を占めている。

【正解】

× × ×

1.平成24年3月に公表された地価公示(国土交通省)によれば,平成23年1年間の地価の概況は,三大都市圏,地方圏ともに,住宅地はわずかに下落,商業地は横ばいになっている。

【正解:×

◆圏域別の公示地価の変動率−三大都市圏と全国・地方圏の違い

 住宅地・商業地の地価は,三大都市圏,地方圏とも,下落しているので,誤り。

圏域別の最近の動向 

    住宅地  商業地  全用途平均
 全国  下落率縮小 ▼2.3%   下落率縮小▼3.1%  下落率縮小 ▼2.6%
 三大都市圏   下落率縮小▼1.3%   下落率縮小▼1.6%  下落率縮小 ▼1.5%
 地方圏  下落率縮小▼3.3%
 下落率縮小▼4.3%   下落率縮小▼3.6%

2.住宅・土地統計調査(総務省,平成20年実施)によれば,居住世帯のある住宅数に占める持家数の割合は,ほぼ7割前後で推移しており,近年はゆるやかな上昇傾向にある。
(関連・昭和63年,平成11年,平成13年)

【正解:×

◆持家住宅率−住宅・土地統計調査

 後半の「ゆるやかな上昇傾向にある」は正しいのですが,前半の持家住宅率〔居住世帯のある住宅数に占める持家数の割合〕は誤りです。

 「ほぼ7割前後」ではなく『ほぼ6割前後』です。(数値が正しいか問う問題は珍しい。)

1 住宅を所有の関係別にみると、持ち家3,032万戸で、(居住世帯のある)住宅全体に占める割合(持ち家住宅率)は61.1%、借家は1,777万戸、35.8%。持ち家住宅率は減少。

2 持ち家住宅率は、以下のように推移しています。

持ち家住宅率の推移

   昭和48年 昭和53年 昭和58年 昭和63年 平成5年
 持家住宅率  59.2%  60.4%  62.4%  61.3%  59.8%

   平成10年 平成15年 平成20年
 持家住宅率  60.3%  61.2%  61.1%

●参考● 平成20年調査での住宅の所有の関係別割合

    持家 民営借家
公営借家 再生機構・公社
の借家
給与住宅
 割合  61.1%  26.9%  4.2%  1.9%  2.8%

3.住宅着工統計(国土交通省)によれば,分譲住宅の着工戸数については,分譲マンションの戸数が一戸建ての戸数を昭和56年以降平成20年まで一貫して上回っていたが,平成21年〜平成23年は,一戸建ての戸数が分譲マンションの戸数を上回った。

【正解:

◆一戸建ての戸数<分譲マンションの戸数

 この平成7年は消去法で本肢を選ぶしかなかったと思われます。(本肢が正解肢)

 この問題は,『統計の問題』というよりは『歴史の問題』。『昭和56年度以降』というのは原題にあった表現です。昭和56年度以降,分譲住宅の中の分類区分では,確かに,分譲マンションの戸数が一戸建ての戸数を上回っていましたが,平成21年から平成23年は逆転して一戸建の戸数が多かったので注意してください

  平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年
分譲マンション 238,614 168,918 182,572 76,678 90,597 116,755
分譲戸建住宅 138,261 124,238 115,794 91,255 110,358 116,798

 本肢とまったく同じ問題はさすがに出題されないでしょう。

4.平成23年度において指定流通機構(国土交通省が指定する流通機構)に新規登録された物件情報の総数は,約489万件であり,そのうち売り物件は約7割を占めている。

【正解:×

◆新規登録件数は賃貸物件のほうが多い。

   平成21年度の新規登録件数は約489万件ですが,売り物件の割合が誤りです。
 売り物件約137万(約28%),賃貸物件は約352万(約72%)賃貸物件の件数が多い。
 (平成11年度に逆転。それまでは売買物件の新規登録が多かった。) 

 新規登録件数の賃貸物件は,現在では約7割超になっています。

新規登録件数の推移(データは全て年度)

  平成19年度 平成20年度 平成21年度 平成22年度 平成23年度
総数 3,596,205 4,136,641 4,426,442 4,585,870

(3.6%)

4,892,313

(6.7%)

売り
物件
1,112,158

 (30.9%)

1,237,061

 (29.9%)

1,144,924

(25.9%)

1,213,804

(6.0%)

1,370,163

(12.9%))

賃貸
物件
2,484,047

 (69.1%)

2,899,580

 (70.1%)

3,281,518

(74.1%)

3,372,066

(2.8%)

3,522,150

(4.5%)

原題では,出典は『建設白書(平成6年度)』でしたが,国土交通白書・平成23年度版では掲載していないため,問題文を修正しました。

公益財団法人 不動産流通近代化センターでは,指定流通機構の活用実績を公表しています。


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