税法その他 実戦篇

宅地建物の統計の過去問アーカイブス 平成18年・問48 改題

本問題は,平成24年受験用にデータをアップデートしています。


 ガイド   肢1〜肢2,肢4は数値+推移,肢3は推移
肢1・肢2とも『数値はデタラメ,推移の記述も誤り』という設定。肢3は,原題では三大都市圏との混同狙いの設問。
 肢4は,大半の受験者が覚えているはずがないとの確信犯的な出題。(消去法で肢4を選ばせる設定)

 平成18年の出題方法はイジワル出題だったため,正答率は例年よりも低かったようです。

宅地建物の統計に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。(平成18年・問48)

1.平成23年度国土交通白書 (平成24年7月公表) によれば、平成23年3月末現在の宅地建物取引業者数は約11万業者となっており、前年度に比べ増加した。

2.平成24年版土地白書 (平成24年6月公表) によれば、平成22年度の宅地供給量は、全国で約8,500ヘクタールとなっており、10年度ぶりに減少した。

3.平成24年地価公示 (平成24年3月公表) によれば、平成23年の1年間の地価は、全国平均で見ると引き続き下落しているが、商業地については上昇した。

4.建築着工統計 (国土交通省) によれば、平成22年度の新設住宅着工戸数は、約82万戸で、前年度比では約5.6%増となり、2年ぶりの増加となった。

【正解】

× × ×

1.平成23年度国土交通白書 (平成24年7月公表) によれば、平成23年3月末現在の宅地建物取引業者数は約11万業者となっており、前年度に比べ増加した。

【正解:×平成3年,平成6年,平成14年,平成18年,21年

◆宅建業者の数

 「11万業者」というのは全くのデタラメ。前半の数値,後半の推移とも誤りという設定の問題です。

 宅地建物取引業者は,近年微減の傾向にあり,平成23年度は5年度連続の減少でした。

 平成23年3月末日現在(平成22年度末)の宅地建物取引業者数は,125,832 (平成22年3月末は 126,582) であり,前年度に比べ減少しています。

(昭和57年度は105,561でしたが,平成3年度の144,064がピーク)

  16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
全体 130,819 131,251 130,647 129,991 127,702 126,582 125,832

2.平成24年版土地白書 (平成24年6月公表) によれば、平成22年度の宅地供給量は、全国で約8,500ヘクタールとなっており、10年度ぶりに減少した。

【正解:×平成11年,14年,18年,21年出題

◆宅地供給量

  「8,500ヘクタール」というのは全くのデタラメ。「10年度ぶりに減少」ではなく「10年度ぶりに増加」

●平成22年度の宅地供給量では,全国で4,600ha(前年度4,400ha)で10年度ぶりに増加
●公的供給は900ha(前年度900ha), 民間供給は3,700ha(前年度3,500ha)
  公的供給はほぼ同じ,民間供給は増加している。

(註)国土交通白書・平成23年度版でも,宅地供給量は平成22年度を掲載(資料4-5)。 

年度 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度 21年度 22年度
全体 6,200 ha 6,100ha 6,000ha 5,400ha 5,200ha 4,400ha 4,600ha
公的 1,400ha 1,400ha 1,300ha 1,100ha  900ha  900ha  900ha
民間 4,800ha 4,700ha 4,700ha 4,300ha 4,300ha 3,500ha 3,700ha

〔出題状況〕

 (平成11年の出題は建設白書<現在の国土交通白書>から、
  14年・18年・21年は土地白書から出題。)

3.平成24年地価公示 (平成24年3月公表) によれば、平成23年の1年間の地価は、全国平均で見ると引き続き下落しているが、商業地については上昇した。

【正解:×

◆地価公示

 平成24年の地価公示では,全国の全用途平均(2.6),商業地(3.1),住宅地(2.3)とも,2年連続で下落したので,誤りです。

単に「全国平均」といった場合は,全国の全用途平均のことをいいます。

全国の平均地価の最近の動向

地価公示→ 12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年 23年 24年
全用途平均 4.9 4.9 5.9 6.4 6.2 5.0 2.8 +0.4 +1.7 3.5 4.6 3.0 2.6
住宅地 4.1 4.2 5.2 5.8 5.7 4.6 2.7 +0.1 +1.3 3.2 4.2 2.7 2.3
商業地 8.0 7.5 8.3 8.0 7.4 5.6 2.7 +2.3 +3.8 4.7 6.1 3.8 3.1

<作問者の幻惑のテクニックを知る>

 平成18年出題年の地価公示では,三大都市圏の全用途平均は下落しましたが,三大都市圏の商業地の平均地価は上昇していました。(平成18年の地価公示では,全国の全用途平均,商業地とも下落。)

 これに目をつけた出題者は,全国と三大都市圏の混同を狙って,作問したものと思われます。とにかく芸が細かいです。

4.建築着工統計 (国土交通省) によれば、平成22年度の新設住宅着工戸数は、約82万戸で、前年度比では約5.6%増となり、2年ぶりの増加となった。

【正解:

◆年度集計の新設住宅着工戸数−2年度前の新設住宅着工戸数

 24年発行の国土交通白書2012(平成23年度版)では23年度集計が掲載されているので,24年試験で22年度の集計が出題されることはないと考えられます。

 平成18年公表の国土交通白書(17年度版)では,2年度前の16年度の新設住宅着工戸数が掲載されていたため,2年度前のデータが出題されました。

 平成22年度の新設住宅着工戸数は,819,020戸(前年度比では 5.6%増),2年度ぶりの増加でした。

⇒ 22年度の新設住宅着工戸数

 この肢4が正解肢であること(正しい)を消去法でわかればよい(ほかの3肢が誤りであることがわかればよい)ので,2年度も前のデータを覚える必要はないと思われます。

新設住宅着工戸数の年間集計と年度集計の推移 (単位 : 万戸)

  平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年 平成22年 平成23年
年間 123.6 129.0 106.1 109.3 78.8 81.3 83.4
年度 124.9  128.6 103.6 103.9 77.5 81.9 84.1

<作問者の幻惑のテクニックを知る>

 なぜ2年度も前のデータを出題したのかといえば,消去法で正解肢を選択させたかったためで,何も,受験者に2年度も前のデータを知っておいてほしいということでの出題ではなかったと思われます。

 ただ,出題者にも <言い訳>できる余地はあります。出題年(平成18年)に刊行された国土交通白書には,2年度前の新設住宅着工戸数が掲載されていたからです。


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