宅建過去問 税法その他 

宅地建物の統計の過去問アーカイブス 平成22年・問48 改題

本問題は,平成24年受験用に,データをアップデートしています。


宅地建物の統計等に関する次の記述のうち、正しいものはどれか。 (平成22年・問48)

1 平成22年度法人企業統計年報(財務省、平成22年10月公表)によれば、平成22年度における不動産業の経常利益は約3兆3,200億円となっており、2年連続の減少となった。

2 住宅着工統計(国土交通省、平成24年1月公表)によれば、平成23年の分譲住宅の新設住宅着工戸数は、前年比16.2%増で、そのうち、マンション、一戸建住宅とも前年に比べて2年連続で増加した。

3 平成24年版土地白書(平成24年6月公表)によれば、平成23年中の全国の土地取引件数は、売買による所有権の移転登記の件数で見ると、113.6万件となっており、前年に比べ増加した。

4 平成24年地価公示(平成24年3月公表)によれば、平成23年の1年間の地価の下落率は、三大都市圏の方が地方圏よりも小さく、かつ、全圏域において商業地の方が住宅地よりも小さい。

<コメント>  
  21年は「誤っているのはどれか」という設定でした。今年は元の「正しいものは どれか」に戻っています。  税法その他の5問免除の問題〔問46から問50〕の難易度が前年に比べ全体として 下がっているので,おそらくは,統計問題も「易しく」したように見受けられます。
●出題論点●
 (肢1) 法人企業統計−不動産業の経常利益

 (肢2) 新設住宅着工統計−利用関係別戸数〔分譲住宅〕

 (肢3) 土地白書−所有権移転登記数

 (肢4) 地価公示−三大都市圏と地方圏,住宅地と商業地

【正解】

× × ×

 正答率  63.8%

1 平成22年度法人企業統計年報(財務省、平成22年10月公表)によれば、平成22年度における不動産業の経常利益は約3兆3,200億円となっており、2年連続の減少となった。

【正解:×】20年から3年連続の出題, 平成15年・問48・肢3平成20年・問48・肢3平成21年・問48・肢2

◆法人企業統計−不動産業の経常利益

 平成22年度の不動産業の経常利益は,3兆3,244億円,対前年度比7.5%増で,2年連続の増益でした(2年連続して,前年度の経常利益よりも多かった)。

 したがって,「2年連続の減少となった」という本肢の記述は誤りです。

経常利益の推移

 ― 11年度 12年度 13年度 14年度 15年度
不動産業  1兆990億円  15,730億円   1兆9,391億円  2兆3,880億円  1兆7,584億円
前年比  +153.6%  +43.1%  +23.3%  +23.1%  -26.4%

 ― 16年度 17年度 18年度 19年度 20年度
不動産業  2兆1,673億円  2兆3,324億円 3兆4,648億円 3兆4,265億円 2兆9,236億円
前年度比  +23.3%  +7.6%  +48.5%  −1.1%  −14.7%

 ― 21年度 22年度
不動産業  3兆926億円  3兆3,244億円
前年度比  +5.8%  +7.5%

2 住宅着工統計(国土交通省、平成24年1月公表)によれば、平成23年の分譲住宅の新設住宅着工戸数は、前年比16.2%増で、そのうち、マンション、一戸建住宅とも前年に比べて2年連続で増加した。

【正解:平成7年・問34・肢3

◆新設住宅着工統計−年間集計−利用関係別新設住宅着工戸数(分譲住宅)

 分譲住宅の新設住宅着工戸数は前年比16.2%増,そのうち,マンション(28.9%増),一戸建住宅(5.8%増)であり,ともに前年に比べて増加しました(2年連続の増加)。

総戸数  834,117 2.6%増,2年連続の増加
利用関係別戸数・持家  305,626 0.1%増,2年連続の増加
利用関係別戸数・分譲住宅  234,571 16.2%増,2年連続の増加
           分譲住宅中の戸建住宅  116,798 5.8%増,2年連続の増加
           分譲住宅中のマンション  116,755 28.9%増,2年連続の増加
利用関係別戸数・貸家  285,832  4.1%減,3年連続の減少
利用関係別戸数・給与住宅   8,088  1.1%増,2年ぶりの増加

3 平成24年版土地白書(平成24年6月公表)によれば、平成23年中の全国の土地取引件数は、売買による所有権の移転登記の件数で見ると、113.6万件となっており、前年に比べ増加した。

【正解:×平成8年・問34・肢3平成10年・問46・肢2平成12年・問46・肢2平成19年・問48・肢3平成20年・問48・肢3平成23年・問48・肢2

◆土地白書−売買による所有権の移転登記の件数

 平成23年中の売買による所有権の移転登記の件数は113.6万件で,対前年比マイナス1.6%と,8年連続で減少しました。

 「前年に比べ増加した」としている本肢は誤りです。

  平成15年 平成16年 平成17年 平成18年 平成19年 平成20年 平成21年
全国 1,608,007 1,600,801 1,580,450 1,546,591 1,414,970 1,294,121 1,179,483
対前年比 +0.5% △0.4% △1.3% △2.1% △8.5% △8.5% △8.9%

  平成22年 平成23年
全国 1,154,026 1,135,917
対前年比 △2.2% △1.6%

※法務省「登記統計」(2012.5.31公表)による。

平成21年の宅建試験では,宅地供給量が出題されているので,絞りやすかったと思います。

土地白書が出題年に公表されたものから出題されるのは3年連続で,定着したと考えていいと思います。当サイトで指摘してから指導機関や出版社でも,直前で受験者に告知するようになってきており,以前に比べ,受験者間の情報格差が幾分和らいだように思えます。

4 平成24年地価公示(平成24年3月公表)によれば、平成23年の1年間の地価の下落率は、三大都市圏の方が地方圏よりも小さく、かつ、全圏域において商業地の方が住宅地よりも小さい。

【正解:×

◆地価公示−年間変動率の下落率の比較

 年間平均変動率で見ると,各圏各用途で前回よりも下落率が小さくなり,下落率は,三大都市圏の方が地方圏よりも大きく,また全国・三大都市圏・地方圏とも,商業地の方が住宅地よりも大きかったので,本肢は誤りです。

●平成24年地価公示
 全国  住宅地商業地,全用途平均とも下落率縮小

 住宅地(2.3%)<全用途平均(2.6%)<商業地(3.1%)

 三大都市圏  住宅地商業地,全用途平均とも下落率縮小

 住宅地(1.3%)<全用途平均(1.5%)<商業地(1.6%)

 地方圏  住宅地商業地,全用途平均とも下落率縮小

 住宅地(3.3%)<全用途平均(3.6%)<商業地(4.3%)


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