税法その他 実戦篇

印紙税の過去問アーカイブス 平成5年・問30


印紙税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成5年・問30)

1.「印紙により印紙税を納付すべき文書について印紙税を納付しなかった課税文書の作成者が,自主的に所轄税務署長に対し,印紙税を納付していない旨の申出をした場合,過怠税は,納付しなかった印紙税額の3倍の金額である。」

2.「『時価1億円の土地を贈与する』旨を記載した契約書は,記載金額のない不動産の譲渡に関する契約として,印紙税が課せられる。」

3.「『評価額1億円の土地と評価額1億5,000万円の土地を交換し,差額5,000万円を現金で支払う』旨を記載した土地交換契約書は,記載金額5,000万円の不動産の譲渡に関する契約書として,印紙税が課せられる。」

4.「不動産の売買当事者と仲介業者との間で,仲介業者に対する手数料の金額及び支払方法等を定める旨を記載した契約書を作成する場合,この契約書は,記載金額のない不動産の譲渡に関する契約書として,印紙税が課せられる。」

【正解】

× × ×

1.「印紙により印紙税を納付すべき文書について印紙税を納付しなかった課税文書の作成者が,自主的に所轄税務署長に対し,印紙税を納付していない旨の申出をした場合,過怠税は,納付しなかった印紙税額の3倍の金額である。」

【正解:×

◆自主的に申告したときの過怠税は1.1倍

 印紙税を納付すべき文書について印紙税を納付しなかった課税文書の作成者が,自主的に所轄税務署長に対し,印紙税を納付していない旨の申出をし,かつ,印紙税についての調査があったことにより過怠税の決定があるべきことを予知してされたものでないときは,過怠税は,納付しなかった印紙税額の1.1倍の相当額〔不足額と不足額の10%の合計額〕です。(印紙税法20条2項)

自主申告しなかったとき,当該印紙税の納税地の所轄税務署長は,当該納付しなかった印紙税の額とその2倍に該当する金額との合計額〔実質3倍〕に相当する過怠税を徴収します。(印紙税法20条1項)

2.「『時価1億円の土地を贈与する』旨を記載した契約書は,記載金額のない不動産の譲渡に関する契約として,印紙税が課せられる。」

【正解:

◆贈与契約書は記載金額のないものとして取り扱う

 無償契約である贈与契約では,譲渡の対価たる金額はないので,『記載金額のない不動産の譲渡に関する契約書』として取り扱われ,印紙税200円が課税されます。〔基本通達23条(1)ホ〕

●参考・基本通達
(無償等と記載されたものの取扱い)
第35条 契約書等に「無償」又は「0円」と記載されている場合の当該「無償」又は「0円」は、当該契約書等の記載金額に該当しないものとする。

 ⇒ 「記載金額のないもの」として扱われる。

3.「『評価額1億円の土地と評価額1億5,000万円の土地を交換し,差額5,000万円を現金で支払う』旨を記載した土地交換契約書は,記載金額5,000万円の不動産の譲渡に関する契約書として,印紙税が課せられる。」

【正解:×

◆交換契約書

 土地の交換契約であっても所有権を移転させるものなので,土地の交換契約書は『不動産の譲渡に関する契約書』に該当します。

 交換契約書の記載金額は,交換対象物の双方の価額が記載されているときはいずれか高い方(等価交換のときは、いずれか一方)の金額となります。〔基本通達23条(1)ロ〕

 本肢の場合は,記載金額1億5,000万円の不動産の譲渡に関する契約書として印紙税が課せられます。

差額が記載金額になるのは,交換対象物の双方の価額が記載されていないときです。

●印紙税法・基本通達・23条(1)
ロ  交換  交換金額

 なお、交換契約書に交換対象物の双方の価額が記載されているときはいずれか高い方(等価交換のときは、いずれか一方)の金額を、交換差金のみが記載されているときは当該交換差金をそれぞれ交換金額とする。

(例) 土地交換契約書において

1   甲の所有する土地(価額100万円)と乙の所有する土地(価額110万円)とを交換し、甲は乙に10万円支払うと記載したもの ( 第1号文書)110万円

2  甲の所有する土地と乙の所有する土地とを交換し、甲は乙に10万円支払うと記載したもの (第1号文書)10万円

4.「不動産の売買当事者と仲介業者との間で,仲介業者に対する手数料の金額及び支払方法等を定める旨を記載した契約書を作成する場合,この契約書は,記載金額のない不動産の譲渡に関する契約書として,印紙税が課せられる。」

【正解:×

◆仲介手数料の契約書

 不動産の売買当事者と仲介業者との間で,仲介業者に対する手数料の金額及び支払方法等を定める旨を記載した契約書は,不動産の譲渡に関する契約書には該当しないので誤りです。

●宅建業者−課税文書に該当しないもの
 次の文書は課税文書に該当しません。

・専任媒介契約書

・媒介業務報告書

・重要事項説明書


●印紙税の宅建過去問Up-To-Date 50問時代の全問収録 〜検索用〜 
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