税法その他 実戦篇

印紙税の過去問アーカイブス 平成13年・問27


印紙税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成13年・問27)

1.「地方公共団体である市を売主,株式会社である社を買主とする土地の譲渡契約書2通に双万が署名押印のうえ,1通ずつ保存することとした場合,社が保存する契約書には印紙税が課されない。

2.「『平成21年5月1日作成の土地譲渡契約書の契約金額を1億円から9,000万円に変更する』旨を記載した変更契約書は,契約金額を減額するものであるから,印紙税は課されない。

3.「土地の賃貸借契約書で『賃借料は月額10万円,契約期間は10年間とし,権利金の額は100万円とする』旨が記載された契約書は,記載金額1,200万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。

4.「給与所得者である個人が生活の用に供している土地建物を株式会社である社に譲渡し,代金1億円を受け取った際に作成する領収書は,金銭の受取書として印紙税が課される。

【正解】

× × ×

1.「地方公共団体である市を売主,株式会社である社を買主とする土地の譲渡契約書2通に双万が署名押印のうえ,1通ずつ保存することとした場合,社が保存する契約書には印紙税が課されない。

【正解:国と株式会社・昭和61年,平成9年,地方公共団体と株式会社・平成13年

◆国・地方公共団体等以外が保存する文書は非課税

 国,地方公共団体,特殊法人など(「国等」)と国等以外の者とが共同して作成した文書の場合,国等又は公証人が保存するもの国等以外の者が作成したものとみなし,国等以外の者(公証人を除く。)が保存するもの国等が作成したものとみなすので(印紙税法4条5項・6項),国等以外の者(公証人を除く。)が保存する文書には印紙税は課税されません。

国等又は公証人が保存する  課税

 国等以外の者が作成したものとみなす。

国等以外の者(公証人を除く。)が保存  非課税

 国等が作成したものとみなす

「国等」

 国,地方公共団体,又は印紙税法別表第二に掲げる者,別表第三の作成者の欄に掲げられた者が作成した文書には印紙税が課税されません。(印紙税法・5条)

印紙税法別表第二に掲げる者〔国民生活金融公庫・地方住宅供給公社・土地開発公社・土地区画整理組合・市街地再開発組合・防災街区整備事業組合・財務大臣が指定した独立行政法人等〕

●非課税文書
第5条  別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、次に掲げるものには、印紙税を課さない。

一  別表第一の非課税物件の欄に掲げる文書

二  国、地方公共団体又は別表第二に掲げる者が作成した文書

三  別表第三の上欄に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成したもの

第4条  

5  次条第2号に規定する者(以下この条において「国等」という。)と国等以外の者とが共同して作成した文書については、国等又は公証人法(明治41年法律第53号)に規定する公証人が保存するものは国等以外の者が作成したものとみなし、国等以外の者(公証人を除く。)が保存するものは国等が作成したものとみなす。

6  前項の規定は、次条第3号に規定する者とその他の者(国等を除く。)とが共同して作成した文書で同号に規定するものについて準用する。

2.「『平成21年5月1日作成の土地譲渡契約書の契約金額を1億円から9,000万円に変更する』旨を記載した変更契約書は,契約金額を減額するものであるから,印紙税は課されない。

【正解:×減額・昭和61年,平成2年,9年,11年,13年,増額・平成12年

◆減額→記載金額のないものとして扱い,印紙税額は200円

 変更前の契約金額を証明した契約書が作成されているときは,増額変更の場合は増加した金額を記載金額とし,減額変更の場合は契約金額の記載のないものとして扱います。(別表第一・課税物件表の適用に関する通則4の二)

 本肢では,1,000万円の減額のため『記載金額のないもの』として200円が課税されるので×です。(平成9年と同一問題です。)

 増額変更  増加した金額を記載金額として印紙税が課税される。
 減額変更  契約金額の記載のないものとして印紙税200円が課税される。

ただし,変更前のもともとの契約書が作成されていない場合は,変更後の契約金額が記載金額として印紙税が課税されます。

●印紙税法・別表第一 課税物件表・課税物件表の適用に関する通則4
ニ 契約金額等の変更の事実を証すべき文書について、当該文書に係る契約についての変更前の契約金額等の記載のある文書が作成されていることが明らかであり、かつ、変更の事実を証すべき文書により変更金額(変更前の契約金額等と変更後の契約金額等の差額に相当する金額をいう。以下同じ。)が記載されている場合(変更前の契約金額等と変更後の契約金額等が記載されていることにより変更金額を明らかにすることができる場合を含む。)には、当該変更金額が変更前の契約金額等を増加させるものであるときは、当該変更金額を当該文書の記載金額とし、当該変更金額が変更前の契約金額等を減少させるものであるときは、当該文書の記載金額の記載はないものとする。

3.「土地の賃貸借契約書で『賃借料は月額10万円,契約期間は10年間とし,権利金の額は100万円とする』旨が記載された契約書は,記載金額1,200万円の土地の賃借権の設定に関する契約書として印紙税が課される。

【正解:×平成2年,4年,13年

◆土地の賃貸借契約書−1号文書− 基本通達23条(2)

 土地の賃貸借契約書で記載金額とされるのは,権利金・礼金・更新料などの『後日返還されることが予定されていない金額』です。⇒別表第一・1号の2「地上権又は賃借権の設定又は譲渡に関する契約書」

 敷金や保証金などの『後日返還されることが予定されているもの』や『賃料』は記載金額には該当しません。

 したがって,本肢の場合での記載金額は権利金の100万円のみなので×になります。

地上権設定の契約書や土地の賃貸借契約書で,権利金・礼金・更新料などの『後日返還されることが予定されていない金額』が記載されていない場合は,「記載金額のないもの」として印紙税が課税されます。

4.「給与所得者である個人が生活の用に供している土地建物を株式会社である社に譲渡し,代金1億円を受け取った際に作成する領収書は,金銭の受取書として印紙税が課される。

【正解:×平成11年,13年,

◆営業に関しない受取書

 領収書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)として課税される17号の1文書とは,資産を譲渡し若しくは使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む。)又は役務を提供することによる対価として受け取る金銭又は有価証券の受取書です。(別表第一・17号の1)

 しかし,営業に関しない受取書や3万円未満の受取書は非課税とされています。

 本肢では,<生活の用に供していた土地建物を給与所得者が譲渡している>ので,この場合の領収書は『営業に関しない受取書』と考えられるため,印紙税は課税されません。


●印紙税の宅建過去問Up-To-Date 50問時代の全問収録 〜検索用〜 
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