税法その他 実戦篇

印紙税の過去問アーカイブス 昭和61年・問29


印紙税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (昭和61年・問29)

1.「既に印紙税を納付した建物の譲渡契約書の譲渡金額を減額する変更契約書には,印紙税は課税されない。」

2.「1平方メートル当たりの譲渡単価〔20万円〕と面積〔100平方メートル〕が記載されている土地の譲渡契約書は,記載金額20万円の契約書として400円の印紙税が課税される。」

3.「後日,本契約書を作成することが記載されている建物賃貸借の予約契約書には,印紙税が課税される。」

4.「国と株式会社との間で作成する不動産の譲渡契約書で株式会社が保存する契約書には,印紙税は課税されない。」

【正解】

× × ×

1.「既に印紙税を納付した建物の譲渡契約書の譲渡金額を減額する変更契約書には,印紙税は課税されない。」

【正解:×減額・昭和61年,平成2年,9年,11年,13年,増額・平成12年

◆減額→記載金額のないものとして扱い,印紙税額は200円

 変更前の契約金額を証明した契約書が作成されているときは,増額変更の場合は増加した金額を記載金額とし,減額変更の場合は契約金額の記載のないものとして扱います。

 増額変更  増加した金額を記載金額として印紙税が課税される。
 減額変更  契約金額の記載のないものとして印紙税200円が課税される。

ただし,変更前のもともとの契約書が作成されていない場合は,変更後の契約金額が記載金額として印紙税が課税されます。

2.「1平方メートル当たりの譲渡単価〔20万円〕と面積〔100平方メートル〕が記載されている土地の譲渡契約書は,記載金額20万円の契約書として400円の印紙税が課税される。」

【正解:×

◆契約金額が記載されず単価と数量が記載→計算によって求められた金額

 契約金額が記載されていなくても,単価と数量が記載されており,金額の計算ができる場合は,計算によって求められた金額が記載金額になり,印紙税が課税されます。(印紙税法・別表第一・課税物件表の適用に関する通則4のホ)

 本肢では,『1平方メートル当たりの譲渡単価〔20万円〕,面積〔100平方メートル〕』なので,記載金額は,20万円×100=2,000万円となります。

 したがって,本肢では,「記載金額20万円」としているので×です。

◇本肢は珍しく税額を尋ねています。下記は参考程度にしてください。

 「不動産の譲渡に関する契約書」、「建設工事の請負契約書」で記載された金額が1千万円を超え,かつ平成9年4月1日から平成21年3月31日までの間に作成されるものには印紙税が軽減されており,1千万円を超え5千万円以下のものは,1万五千円です。(本則2万円)

単価又は数量の一方しか記載がないため計算ができない場合は,記載金額がないものとして印紙税が課税されます。

3.「後日,本契約書を作成することが記載されている建物賃貸借の予約契約書には,印紙税が課税される。」

【正解:×

◆予約契約書

 印紙税の課税される「契約書」とは契約の成立,更改,契約の内容の変更または補充の事実を証すべき文書をいい,この契約には予約も含むものとされています。

 予約契約書は本契約の内容にしたがって別表第一課税物件表印紙税一覧表ともいう〕の中の所属が決められます。

 しかし,建物の賃貸借の契約書には印紙税が課税されないため,その予約契約書にも印紙税は課税されません。

4.「国と株式会社との間で作成する不動産の譲渡契約書で株式会社が保存する契約書には,印紙税は課税されない。」

【正解:国と株式会社・昭和61年,平成9年,地方公共団体と株式会社・平成13年

◆国・地方公共団体等以外が保存する文書は非課税

 国,地方公共団体,特殊法人など(「国等」)と国等以外の者とが共同して作成した文書の場合,国等又は公証人が保存するもの国等以外の者が作成したものとみなし,国等以外の者(公証人を除く。)が保存するもの国等が作成したものとみなすので(印紙税法4条5項・6項),国等以外の者(公証人を除く。)が保存する文書には印紙税は課税されません。

国等又は公証人が保存する  課税

 国等以外の者が作成したものとみなす。

国等以外の者(公証人を除く。)が保存  非課税

 国等が作成したものとみなす

「国等」

 国,地方公共団体,又は印紙税法別表第二に掲げる者,別表第三の作成者の欄に掲げられた者が作成した文書には印紙税が課税されません。(印紙税法・5条)

印紙税法別表第二に掲げる者〔国民生活金融公庫・地方住宅供給公社・土地開発公社・土地区画整理組合・市街地再開発組合・防災街区整備事業組合・財務大臣が指定した独立行政法人等〕

●非課税文書
第5条  別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、次に掲げるものには、印紙税を課さない。

一  別表第一の非課税物件の欄に掲げる文書

二  国、地方公共団体又は別表第二に掲げる者が作成した文書

三  別表第三の上欄に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成したもの

第4条  

5  次条第2号に規定する者(以下この条において「国等」という。)と国等以外の者とが共同して作成した文書については、国等又は公証人法(明治41年法律第53号)に規定する公証人が保存するものは国等以外の者が作成したものとみなし、国等以外の者(公証人を除く。)が保存するものは国等が作成したものとみなす。

6  前項の規定は、次条第3号に規定する者とその他の者(国等を除く。)とが共同して作成した文書で同号に規定するものについて準用する。


●印紙税の宅建過去問Up-To-Date 50問時代の全問収録 〜検索用〜 
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