税法その他 実戦篇

印紙税の過去問アーカイブス 平成11年・問28


印紙税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成11年・問28)

1.「個人が生活の用に供している自宅の土地建物を譲渡し,代金1億円を受け取った際に作成する領収証には,印紙税は課税されない。」

2.「『平成16年4月1日付けの土地譲渡契約書の契約金額2億円を1億8,000万円に減額する』 旨を記載した変更契約書は,記載金額1億8,000万円の不動産の譲渡に関する契約書として印紙税が課税される。」

3.「土地売買の仲介を行った社が 『社は,売主社の代理人として土地代金1億円を受領した』 という旨を記載のうえ,買主に交付した領収証に課税される印紙税の納税義務者は,社である。」

4.「土地譲渡契約書に課税される印紙税を納付するには,契約書に印紙をはり付け,消印をしなければならないが,契約当事者の代理人又は従業者の印章又は署名で消印しても,消印をしたことにはならない。」

【正解】

× × ×

1.「個人が生活の用に供している自宅の土地建物を譲渡し,代金1億円を受け取った際に作成する領収証には,印紙税は課税されない。」

【正解:平成11年,13年,

◆営業に関しない受取書

 領収書(売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書)として課税される17号の1文書とは,資産を譲渡し若しくは使用させること(当該資産に係る権利を設定することを含む。)又は役務を提供することによる対価として受け取る金銭又は有価証券の受取書です。(別表第一・17号の1)

 しかし,営業に関しない受取書や3万円未満の受取書は非課税とされています。

 本肢では,<生活の用に供していた土地建物を個人が譲渡している>ので,この場合の領収書は『営業に関しない受取書』です。代金が1億円であっても印紙税は課税されません。

2.「『平成16年4月1日付けの土地譲渡契約書の契約金額2億円を1億8,000万円に減額する』 旨を記載した変更契約書は,記載金額1億8,000万円の不動産の譲渡に関する契約書として印紙税が課税される。」

【正解:×減額・昭和61年,平成2年,9年,11年,13年,増額・平成12年

◆減額→記載金額のないものとして扱い,印紙税額は200円

 変更前の契約金額を証明した契約書が作成されているときは,増額変更の場合は増加した金額を記載金額とし,減額変更の場合は契約金額の記載のないものとして扱います。

 本肢では,2,000万円の減額のため『記載金額のないもの』として200円が課税されるので×です。

 増額変更  増加した金額を記載金額として印紙税が課税される。
 減額変更  契約金額の記載のないものとして印紙税200円が課税される。

ただし,変更前のもともとの契約書が作成されていない場合は,変更後の契約金額が記載金額として印紙税が課税されます。

3.「土地売買の仲介を行った社が 『社は,売主社の代理人として土地代金1億円を受領した』 という旨を記載のうえ,買主に交付した領収証に課税される印紙税の納税義務者は,社である。」

【正解:×

◆委任に基づく代理人が代理人名義で作成する課税文書の作成者は代理人

 売主社・・・〔仲介〕社・・・買主

 委任に基づく代理人が代理人名義で作成する課税文書の作成者はその代理人です。(基本通達43条)

 本肢での土地売買の仲介を行った社は 『社は,売主社の代理人として土地代金1億円を受領した』 という旨を記載して,買主に領収証を交付しているので,納税義務者は代理人である社です。委任者である社ではありません。

●基本通達
(代理人が作成する課税文書の作成者)
第43条
 委任に基づく代理人が,当該委任事務の処理に当たり代理人名義で作成する課税文書については,当該文書に委任者の名義が表示されているものであっても,当該代理人を作成者とする

2  代理人が作成する課税文書であっても,委任者名のみを表示する文書については,当該委任者を作成者とする。

●宅建業者−課税文書に該当しないもの
 次の文書は課税文書に該当しません。

・仲介手数料契約書

・専任媒介契約書

・媒介業務報告書

・重要事項説明書

4.「土地譲渡契約書に課税される印紙税を納付するには,契約書に印紙をはり付け,消印をしなければならないが,契約当事者の代理人又は従業者の印章又は署名で消印しても,消印をしたことにはならない。」

【正解:×平成4年,11年

◆印紙の消し方−印章または署名する

 課税文書の作成者は,原則として作成の時までに,当該課税文書に印紙をはりつける方法で印紙税を納付します。(印紙税法・8条1項)

 印紙を課税文書にはりつける場合には,自己又はその代理人(法人の代表者を含む),使用人その他の従業者印章又は署名をすることにより,当該課税文書と印紙の彩紋とにかけて判明に印紙を消さなければいけません。(印紙税法・8条2項,施行令5条)

 本肢では,「代理人又は従業者の印章又は署名で消印しても,消印をしたことにはならない。」としているので×です。

●印紙税法
8条2項  課税文書の作成者は、前項の規定により当該課税文書に印紙をはり付ける場合には、政令で定めるところにより、当該課税文書と印紙の彩紋とにかけ、判明に印紙を消さなければならない。
●印紙税法・施行令
(印紙を消す方法)
第5条  課税文書の作成者は、法第八条第二項 の規定により印紙を消す場合には、自己又はその代理人(法人の代表者を含む。)、使用人その他の従業者の印章又は署名で消さなければならない。


●印紙税の宅建過去問Up-To-Date 50問時代の全問収録 〜検索用〜 
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