税法その他 実戦篇
印紙税の過去問アーカイブス 平成9年・問28
印紙税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成9年・問28) |
1.「建物の売買契約書 (記載金額2,000万円) を3通作成し,売主A,買主B及び仲介業者C社が各1通を保存する場合,契約当事者以外のC社が保存するものには,印紙税は課税されない。」 |
2.「国とD社とが共同で土地の売買契約書 (記載金額5,000万円) を2通作成し,双方で各1通保存する場合,D社が保存するものには,印紙税は課税されない。」 |
3.「マンションの賃貸借契約に係る手付金10万円を受領した旨を記載した領収書には,印紙税は課税されない。」 |
4.「印紙をはり付けた不動産売買契約書 (記載金額1億円) を取り交わした後,売買代金の変更があったために再度取り交わすこととした不動産売買契約書 (記載金額9,000万円) には,印紙税は課税されない。」 |
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
× | ○ | × | × |
1.「建物の売買契約書 (記載金額2,000万円) を3通作成し,売主A,買主B及び仲介業者C社が各1通を保存する場合,契約当事者以外のC社が保存するものには,印紙税は課税されない。」 |
【正解:×】平成9年,12年 ◆不動産仲介業者が保存する文書にも課税される 一の課税文書を二以上の者が共同して作成した場合には,当該二以上の者は,原則としてその作成した課税文書につき,連帯して印紙税を納める義務があります。(印紙税法・3条2項) 『契約当事者以外の者に提出又は交付する文書等』については原則として課税文書には該当しないとされていますが,不動産の売買契約における仲介人は「契約当事者以外の者」に含まれていないので,本肢での仲介業者C社が保存する契約書は課税文書であり,印紙税が課税されます。(基本通達20条)したがって本肢は×です。 |
●基本通達の原文 |
(契約当事者以外の者に提出する文書) 第20条 契約当事者以外の者(例えば,監督官庁,融資銀行等当該契約に直接関与しない者をいい,消費貸借契約における保証人,不動産売買契約における仲介人等当該契約に参加する者を含まない。)に提出又は交付する文書であって,当該文書に提出若しくは交付先が記載されているもの又は文書の記載文言からみて当該契約当事者以外の者に提出若しくは交付することが明らかなものについては,課税文書に該当しないものとする。 (注) 消費貸借契約における保証人,不動産売買契約における仲介人等は,課税事項の契約当事者ではないから,当該契約の成立等を証すべき文書の作成者とはならない。 |
2.「国とD社とが共同で土地の売買契約書 (記載金額5,000万円) を2通作成し,双方で各1通保存する場合,D社が保存するものには,印紙税は課税されない。」 |
【正解:○】国と株式会社・昭和61年,平成9年,地方公共団体と株式会社・平成13年 ◆国・地方公共団体等以外が保存する文書は非課税 国,地方公共団体,特殊法人など(「国等」)と国等以外の者とが共同して作成した文書の場合,国等又は公証人が保存するものは国等以外の者が作成したものとみなし,国等以外の者(公証人を除く。)が保存するものは国等が作成したものとみなすので(印紙税法4条5項・6項),国等以外の者(公証人を除く。)が保存する文書には印紙税は課税されません。
●「国等」 国,地方公共団体,又は印紙税法別表第二に掲げる者,別表第三の作成者の欄に掲げられた者が作成した文書には印紙税が課税されません。(印紙税法・5条) ▼印紙税法別表第二に掲げる者〔国民生活金融公庫・地方住宅供給公社・土地開発公社・土地区画整理組合・市街地再開発組合・防災街区整備事業組合・財務大臣が指定した独立行政法人等〕 |
●非課税文書 |
第5条 別表第一の課税物件の欄に掲げる文書のうち、次に掲げるものには、印紙税を課さない。 一 別表第一の非課税物件の欄に掲げる文書 二 国、地方公共団体又は別表第二に掲げる者が作成した文書 三 別表第三の上欄に掲げる文書で、同表の下欄に掲げる者が作成したもの 第4条 5 次条第2号に規定する者(以下この条において「国等」という。)と国等以外の者とが共同して作成した文書については、国等又は公証人法(明治41年法律第53号)に規定する公証人が保存するものは国等以外の者が作成したものとみなし、国等以外の者(公証人を除く。)が保存するものは国等が作成したものとみなす。 6 前項の規定は、次条第3号に規定する者とその他の者(国等を除く。)とが共同して作成した文書で同号に規定するものについて準用する。 |
3.「マンションの賃貸借契約に係る手付金10万円を受領した旨を記載した領収書には,印紙税は課税されない。」 |
【正解:×】昭和61年,平成2年,9年,平成12年 ◆建物の賃貸借契約に係る手付金 手付金10万円を受領した旨を記載した領収書 ⇒ 手付金の領収書も売上代金に係る金銭又は有価証券の受取書(17号文書)に含まれます。 建物の賃貸借契約書には印紙税は課税されませんが,賃貸借契約に係る3万円以上の手付金を受領した際の受取書には印紙税が課税されます。 |
4.「印紙をはり付けた不動産売買契約書 (記載金額1億円) を取り交わした後,売買代金の変更があったために再度取り交わすこととした不動産売買契約書 (記載金額9,000万円) には,印紙税は課税されない。」 |
【正解:×】減額・昭和61年,平成2年,9年,11年,13年,増額・平成12年 ◆減額→記載金額のないものとして扱い,印紙税額は200円 変更前の契約金額を証明した契約書が作成されているときは,増額変更の場合は増加した金額を記載金額とし,減額変更の場合は契約金額の記載のないものとして扱います。 本肢では,1億円の減額のため『記載金額のないもの』として200円が課税されるので×です。
▼ただし,変更前のもともとの契約書が作成されていない場合は,変更後の契約金額が記載金額として印紙税が課税されます。 |
●印紙税の宅建過去問Up-To-Date 50問時代の全問収録 〜検索用〜 |
昭和61年問29,平成2年問30,平成4年問29,平成5年問30,平成9年問28,平成11年問28,平成12年問27,平成13年問27,平成16年問28, |