税法その他 実戦篇

登録免許税の過去問アーカイブス 平成8年・問29


(個人)は,自己を権利者とする地上権の設定の登記がされている土地をその土地の所有者であるから売買により取得した。この場合におけるからへの当該土地の所有権の移転の登記に係る登録免許税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成8年・問29)

1.「納税義務を負うのは,のみである。」

2.「課税標準である土地の価額は,その土地について地上権が設定されていないものとした場合の土地の価額から地上権の価額を控除した額による。」

3.「税率は,登録免許税法別表第1において不動産の所有権の移転の登記に係る税率として定められている割合に50/100を乗じて計算した割合である。」

4.「当該登記を受ける場合の納税地は,又はのいずれかの住所を選択することができる。」

【正解】

× × ×

1.「納税義務を負うのは,のみである。」

【正解:×昭和63年問30肢1,平成8年,14年

◆納税義務者

 登録免許税は,登録免許税法の別表第一に掲げられている登記・登録・特許・免許・許可・認可・指定及び技能証明〔これらを「登記等」という。〕について課するもので(登録免許税法2条),登記等を受ける者は登録免許税を納める義務があります。

共同申請の場合

 当該登記等を受ける者が2人以上あるときは,連帯して納付する義務を負います。(登録免許税法3条)

 売買による所有権移転登記の場合の納税義務者は,登記義務者〔売主〕と登記権利者〔買主〕であり,連帯して納税する義務を負います。したがって,〔買主〕だけではなく〔売主〕も,登録免許税法上では納税義務を負います。

 抵当権設定の登記の場合の納税義務者は,登記義務者〔抵当権設定者〕と登記権利者〔抵当権者〕であり,連帯して納税する義務を負います。

単独申請の場合

 所有権保存の登記のように単独申請による場合はその申請人が納付義務を負います。

実際は,当事者間の合意で,買主が登録免許税を負担することになっていますが,この特約と登録免許税法の規定と混同しないようにしてください。。

2.「課税標準である土地の価額は,その土地について地上権が設定されていないものとした場合の土地の価額から地上権の価額を控除した額による。」

【正解:×

◆課税標準の価額

 登録免許税の課税標準の価額は,当該登記の時における不動産の価額により,当該不動産の上に所有権以外の権利その他処分の制限が存するときは,当該権利その他の処分の制限がないものとした場合の価額によります。(登録免許税法10条1項)

 したがって,地上権の価額を控除した額によるのではありません。

3.「税率は,登録免許税法別表第1において不動産の所有権の移転の登記に係る税率として定められている割合に50/100を乗じて計算した割合である。」

【正解:

◆地上権が設定されている土地を地上権者が所有権移転登記するとき

 地上権・永小作権・賃借権・採石権の設定登記がされている土地を,地上権等の登記名義人がその土地の所有者から取得するのに伴って移転登記する場合の税率は,登録免許税法別表第1第1号(二)において不動産の所有権の移転の登記に係る税率として定められている割合に50/100を乗じて計算した割合です。(登録免許税法・17条4項)

4.「当該登記を受ける場合の納税地は,又はのいずれかの住所を選択することができる。」

【正解:×昭和63年問30肢2,平成8年

◆納税地

 登録免許税の納税地は,納税義務者が受ける登記等の事務をつかさどる登記官署の所在地です。(登録免許税法8条1項)

 したがって,本肢の場合の納税地は,移転登記を受けようとする土地の登記事務をつかさどる登記所の所在地です。

 又はのいずれかの住所を選択するということはできません。

電子情報処理組織による登記等の申請等で登録免許税を納付する場合の納税地は,<政令で定める場所>です。


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