税法その他 実戦篇

登録免許税の過去問アーカイブス 平成10年・問26

住宅用家屋の所有権保存登記の税率軽減措置


住宅用家屋の所有権の保存登記に係る登録免許税の税率の軽減措置の適用に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成10年・問26)

1.「この税率の軽減措置は,従業員の社宅として新築した住宅用家屋について法人が受ける登記には適用されない。」

2.「この税率の軽減措置は,既にこの税率の軽減措置の適用を受けたことのある者が受ける登記には適用されない。」

3.「この税率の軽減措置は,鉄筋コンクリート造の住宅用家屋の登記にのみ適用があり,木造の住宅用家屋の登記には適用されない。」

4.「この税率の軽減措置は,その登記を受ける年分の合計所得金額が3,000万円超である個人が受ける登記には適用されない。」

【正解】

× × ×

 住宅用家屋の軽減税率の出題歴 (50問時代)
 所有権保存  平成10年,昭和59年,昭和57年,昭和56年,
 所有権移転
 〔売買または競落〕
 平成15年,平成元年,昭和59年,昭和57年,昭和56年,

 (昭和55年),

 抵当権設定  昭和59年,昭和57年,昭和56年,

 登記  課税標準  本則  軽減税率
 所有権保存  価額  4/1000  1.5/1000
 所有権移転
 〔売買・競落〕
 価額

 20/1000

 土地の売買のみ
 10/1000

 3/1000
 抵当権設定  債権金額  4/1000  1/1000

・相続・法人の合併による移転登記は 4/1000

・軽減税率の特例の適用は住宅用家屋だけで,「住宅用家屋以外の建物」や「土地」には適用されない。〔平成27年3月31日まで〕(租税特別措置法72条の2〜75条)⇒個人のみ

1.「この税率の軽減措置は,従業員の社宅として新築した住宅用家屋について法人が受ける登記には適用されない。」

【正解:平成10年,15年

◆法人には適用されない

 住宅用家屋の登録免許税の税率の軽減措置は,所有権保存登記・所有権移転登記・抵当権設定登記のいずれも,個人のみに適用され法人には適用されません(租税特別措置法72条の2〜74条)

租税特別措置法,第5章 登録免許税法の特例 (第72条〜第84条の5)

住宅用家屋の所有権の保存登記の税率の軽減
第72条の2 個人が、昭和59年4月1日から平成27年3月31日までの間に住宅用の家屋で政令で定めるもの(以下第74条までにおいて「住宅用家屋」という。)を新築し、又は建築後使用されたことのない住宅用家屋を取得し、当該個人の居住の用に供した場合には、当該住宅用家屋の所有権の保存の登記に係る登録免許税の税率は、財務省令で定めるところにより当該住宅用家屋の新築又は取得後1年以内に登記を受けるものに限り、登録免許税法第9条の規定にかかわらず、〔価額の〕1000分の1.5とする。

⇒住宅用家屋の軽減税率についての租税特別措置法の施行令は,こちらをご覧ください。

2.「この税率の軽減措置は,既にこの税率の軽減措置の適用を受けたことのある者が受ける登記には適用されない。」

【正解:×平成10年,15年

◆既にこの軽減税率を受けていても適用される

 住宅用家屋の税率の軽減措置は,既にこの税率の軽減措置の適用を受けたことのある者が受ける登記にも適用されます。

3.「この税率の軽減措置は,鉄筋コンクリート造の住宅用家屋の登記にのみ適用があり,木造の住宅用家屋の登記には適用されない。」

【正解:×参考・平成15年問27肢1

◆木造の住宅用家屋にも適用される

 木造の住宅用家屋を除くという要件はないので,×

4.「この税率の軽減措置は,その登記を受ける年分の合計所得金額が3,000万円超である個人が受ける登記には適用されない。」

【正解:×平成元年,10年

◆所得要件はない

 住宅用家屋の所有権保存登記の税率の軽減措置の要件としては,概略として以下のものであり,軽減措置を受けようとする者の所得制限はありません。

・個人が新築または建築後使用されたことがないものを取得したものであること。
 〔住宅を新築または未使用住宅を取得〕

・自己の居住用であること。

・家屋の床面積が50平方メートル以上であること。

・原則として,新築後1年以内または未使用住宅の取得後1年以内であること。


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