税法その他 実戦篇

登録免許税の過去問アーカイブス 昭和57年・問29


登録免許税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (昭和57年・問29)

1.「土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準は,その土地の実際の取引価格であり,固定資産課税台帳に登録された価格ではない。」

2.「新築住宅に係る所有権保存登記の税率の軽減措置は,新築後いつでも受けられ,期間の制限はない。」

3.「いわゆる中古住宅に係る税率の軽減措置は,所有権移転登記についてばかりでなく,抵当権の設定登記についても講じられている。」

4.「いわゆる中古住宅に係る所有権移転登記の税率の軽減措置は,その住宅の築後年数及び床面積に関係なく適用がある。」

【正解】

× × ×

 住宅用家屋の軽減税率の出題歴 (50問時代)
 所有権保存  平成10年,昭和59年,昭和57年,昭和56年,
 所有権移転
 〔売買または競落〕
 平成15年,平成元年,昭和59年,昭和57年,昭和56年,

 (昭和55年),

 抵当権設定  昭和59年,昭和57年,昭和56年,

 登記  課税標準  本則  軽減税率
 所有権保存  価額  4/1000  1.5/1000
 所有権移転
 〔売買・競落〕
 価額

 20/1000

 土地の売買のみ
 10/1000

 3/1000
 抵当権設定  債権金額  4/1000  1/1000

・相続・法人の合併による移転登記は 4/1000

・軽減税率の特例の適用は住宅用家屋だけで,「住宅用家屋以外の建物」や「土地」には適用されない。〔平成27年3月31日まで〕(租税特別措置法72条の2〜75条)⇒個人のみ

1.「土地の所有権移転登記に係る登録免許税の課税標準は,その土地の実際の取引価格であり,固定資産課税台帳に登録された価格ではない。」

【正解:×昭和57年,平成14年

◆課税標準

 不動産の売買での登録免許税の課税標準は,当該登記の時の価額ですが,この価額は当分の間,固定資産課税台帳に登録された当該不動産の価格を基礎として政令で定める価額によることができるとされています。(登録免許税法・附則7条,施行令附則3条)

 したがって,<実際の取引価格>ではありません。

固定資産課税台帳に登録された価格のない不動産では,類似する不動産で課税台帳に登録価格のあるものの金額を基礎として当該登記に係る登記機関が認定した価額です。(施行令附則3条)

●課税標準たる不動産の価額
 固定資産課税台帳に価格が登録されているとき  その登録価格
 固定資産課税台帳に価格が登録されていないとき  登記機関が認定した価額

2.「新築住宅に係る所有権保存登記の税率の軽減措置は,新築後いつでも受けられ,期間の制限はない。」

【正解:×参考・取得後1年以内・昭和59年,平成元年

◆保存登記の軽減税率−新築後又は取得後1年以内

 政令で定める住宅用家屋〔新築住宅・未使用住宅〕に係る所有権保存登記の税率の軽減措置は,原則として,新築後1年以内又は未使用住宅の取得後1年以内に限られるので,いつでも受けられるのではありません。(租税特別措置法・72条の2,施行令41条)

3.「いわゆる中古住宅に係る税率の軽減措置は,所有権移転登記についてばかりでなく,抵当権の設定登記についても講じられている。」

【正解:昭和56年,57年,59年

◆住宅用家屋の抵当権設定登記の軽減税率

 住宅用家屋の新築をし,又は取得して,1年以内に抵当権の設定登記を受けるものに限り,債権金額の1000分の1とする軽減税率が適用されます。(租税特別措置法・75条,施行令42条2の2)

 これは政令で定める一定の既存住宅にも適用されます。

4.「いわゆる中古住宅に係る所有権移転登記の税率の軽減措置は,その住宅の築後年数及び床面積に関係なく適用がある。」

【正解:×昭和55年問26肢4,56年問31肢2,57年問29肢3,57年問29肢4平成15年問27肢1参考・平成10年問26肢3

◆政令に定める既存住宅−構造による築年数・床面積・区分建物では耐火・準耐火

 住宅用家屋について売買・競落を原因とする所有権移転登記についての軽減税率が適用されるには,構造による築年数・床面積とも要件を満たしていなければいけないので,本肢は×です。

 また,平成17年の施行令の改正により,<当該家屋が建築基準法施行令第3章及び第5章の4の規定又は国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するものであること。>が加わり,この場合には築年数は問わないことになりました。

既存住宅の登録免許税の軽減措置

 住宅用家屋の取得後1年以内に登記を受けるものに限り,

建築後使用されたことのある住宅用家屋のうち政令で定めるものの取得

 の場合,既存住宅でも,移転登記・抵当権設定登記については登録免許税の軽減措置が適用されます。(租税特別措置法・75条,施行令42条の2の2)

 この場合,所有権移転登記では〔価額の〕1000分の3とする軽減税率になります。

●政令で定める既存住宅 −所有権移転登記・抵当権設定登記−
 以下のものであることを,当該個人の申請に基づき,当該家屋の所在地の市町村長又は特別区の区長が証明したもの
 床面積  登記簿上の床面積50平方メートル以上
 築年数  原則  取得の日以前20年以内に建築されたもの
   取得の日以前25年以内に建築されたもの
 区分所有建物  区分所有建物の場合,耐火建築物又は準耐火建築物であり,
 鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造その他の
 財務省令で定めるものに限る

鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造その他の財務省令で定めるもの

平成17年の施行令の改正により,<当該家屋が建築基準法施行令第3章及び第5章の4の規定又は国土交通大臣が財務大臣と協議して定める地震に対する安全性に係る基準に適合するものであること。>が加わり,この場合には築年数は問わないことになった。

 床面積と築年数だけは覚えておきましょう。


●登録免許税の宅建過去問Up-To-Date 50問時代の全問 〜検索用〜 
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