税法その他 実戦篇

登録免許税の過去問アーカイブス 昭和63年・問30


登録免許税に関する次の記述のうち,誤っているものはどれか。 (昭和63年・問30)

1.「登録免許税の納税義務者は,登記等を受ける者であり,当該登記等を受ける者が2人以上あるときは,これらの者は連帯して納付する義務がある。」

2.「土地の所有権の移転登記を受ける場合の登録免許税の納税地は,納税義務者の住所地である」

3.「土地の所有権の移転登記に係る登録免許税の最低税額は,1,000円である。」

4.「土地の所有権の移転登記に係る登録免許税の納期限は,登記を受ける時である。」

【正解】

×

1.「登録免許税の納税義務者は,登記等を受ける者であり,当該登記等を受ける者が2人以上あるときは,これらの者は連帯して納付する義務がある。」

【正解:昭和63年,平成8年,平成14年

◆納税義務者

 登録免許税は,登録免許税法の別表第一に掲げられている登記・登録・特許・免許・許可・認可・指定及び技能証明〔これらを「登記等」という。〕について課するもので(登録免許税法2条),登記等を受ける者は登録免許税を納める義務があります。

共同申請の場合

 当該登記等を受ける者が2人以上あるときは,連帯して納付する義務を負います。(登録免許税法3条)

 売買による所有権移転登記の場合の納税義務者は,登記義務者〔売主〕と登記権利者〔買主〕であり,連帯して納税する義務を負います。→平成8年出題

 抵当権設定の登記の場合の納税義務者は,登記義務者〔抵当権設定者〕と登記権利者〔抵当権者〕であり,連帯して納税する義務を負います。

単独申請の場合

 所有権保存の登記のように単独申請による場合はその申請人が納付義務を負います。

別表第一には,登記などのほかに,宅地建物取引業の免許〔一件につき9万円〕や不動産特定共同事業の許可も掲げられています。

2.「土地の所有権の移転登記を受ける場合の登録免許税の納税地は,納税義務者の住所地である」

【正解:×昭和63年,平成8年

◆納税地

 登録免許税の納税地は,納税義務者が受ける登記等の事務をつかさどる登記官署の所在地です。(登録免許税法8条1項)

 したがって,本肢の場合の納税地は,移転登記を受けようとする土地の登記事務をつかさどる登記所の所在地です。

 納税義務者の住所地ではありません。

3.「土地の所有権の移転登記に係る登録免許税の最低税額は,1,000円である。」

【正解:関連→平成3年出題

◆定率課税の最低税額

 別表第一に掲げる登記又は登録について税率を適用して計算した金額が1,000円に満たないときは,当該登記又は登録に係る登録免許税の額は1,000円です。(登録免許税法19条)

 〔定率課税で算出した税額に100円未満の端数が生じるときは,その端数は切り捨てます(国税通則法119条)

登記又は登録に係る課税標準の金額を計算する場合においても,その金額が1,000円に満たない場合は,1,000円とするものとされています。(登録免許税法15条)→平成3年出題

 〔課税標準の金額を計算する場合において,その金額に1,000円未満の端数があるときは,その端数金額は切り捨てます。(国税通則法118条)

●国税通則法
(国税の課税標準の端数計算等)

第118条 国税(印紙税及び附帯税を除く。)の課税標準(その税率の適用上課税標準から控除する金額があるときは、これを控除した金額。以下この条において同じ。)を計算する場合において、その額に千円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

2 政令で定める国税の課税標準については、前項の規定にかかわらず、その課税標準に1円未満の端数があるとき、又はその全額が1円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

3 附帯税の額を計算する場合において、その計算の基礎となる税額に1万円未満の端数があるとき、又はその税額の全額が1万円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

(国税の確定金額の端数計算等)

第119条 国税(自動車重量税、印紙税及び附帯税を除く。)の確定金額に100円未満の端数があるとき、又はその全額が100円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

2 政令で定める国税の確定金額については、前項の規定にかかわらず、その確定金額に1円未満の端数があるとき、又はその全額が1円未満であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

3 国税の確定金額を、2以上の納付の期限を定め、一定の金額に分割して納付することとされている場合において、その納付の期限ごとの分割金額に千円未満(前項に規定する国税に係るものについては、1円未満)の端数があるときは、その端数金額は、すべて最初の納付の期限に係る分割金額に合算するものとする。

4 附帯税の確定金額に100円未満の端数があるとき、又はその全額が千円未満(加算税に係るものについては、5千円未満)であるときは、その端数金額又はその全額を切り捨てる。

4.「土地の所有権の移転登記に係る登録免許税の納期限は,登記を受ける時である。」

【正解:昭和63年,平成14年

◆納期限

 登録免許税を納付すべき期限は,登記の場合は,当該登録免許税の納付の基因となるその不動産の登記を受けるときです。(登録免許税法27条1号)


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