宅建過去問 宅建業法 

宅建業者の届出の過去問アーカイブス 平成21年・問28 


 次の記述のうち、宅地建物取引業法 (以下この問において「法」という。) の規定によれば、正しいものはどれか。(平成21年・問28)

1 法人である宅地建物取引業者(甲県知事免許) は、役員の住所について変更があった場合、その日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。

2 法人である宅地建物取引業者 (乙県知事免許) が合併により消滅した場合、を代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を乙県知事に届け出なければならない。

3 宅地建物取引業者 (国土交通大臣免許) は、法第50条第2項の規定により法第15条第1項で定める場所について届出をする場合、国土交通大臣及び当該場所の所在地を管轄する都道府県知事に、それぞれ直接届出書を提出しなければならない。

4 宅地建物取引業者 (丙県知事免許) は、建設業の許可を受けて新たに建設業を営むこととなった場合、は当該許可を受けた日から30日以内に、その旨を丙県知事に届け出なければならない。

<コメント>  
 頻出論点からの出題です。
●出題論点●
 肢1  法人の役員・政令で定める使用人住所や本籍地に変更があっても,その旨の届出をすることは義務付けられていない。

 肢2 法人である宅建業者が合併により消滅した場合,合併によって消滅した法人を代表する役員であった者は,その日から30日以内に,その旨を免許権者に届け出なければならない。

 肢3 国土交通大臣免許業者が50条2項の届出をする場合,国土交通大臣への届出は,当該場所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して行う。

 肢4 免許を受けた後に,新規に宅建業以外の事業をすることになっても,免許権者に対して,その旨の届出は義務付けられてはいない。

【正解】

× × ×

 正答率  86.1%

1 法人である宅地建物取引業者(甲県知事免許) は、役員の住所について変更があった場合、その日から30日以内に、その旨を甲県知事に届け出なければならない。

【正解:×〔役員の本籍地の変更〕昭和55年・問33・肢2

◆変更の届出

 法人の役員・政令で定める使用人氏名〔宅建業者名簿の登載事項〕が変更になったときは,30日以内に,その旨を免許権者に届け出なければなりません(宅建業法9条,8条2項3号)

 しかし,法人の役員・政令で定める使用人住所や本籍地に変更があっても,その旨の届出をすることは義務付けられていないので,本肢は誤りです。

2 法人である宅地建物取引業者 (乙県知事免許) が合併により消滅した場合、を代表する役員であった者は、その日から30日以内に、その旨を乙県知事に届け出なければならない。

【正解:昭和63年・問36・肢3平成元年・問36・肢4平成2年・問43・肢2平成7年・問35・肢4平成10年・問33・肢4平成18年・問31・肢3

◆合併により消滅した旨の届出〔廃業等の届出〕

 法人である宅建業者が合併により消滅した場合,合併によって消滅した法人を代表する役員であった者×合併後の法人の役員〕は,その日から30日以内に,その旨を免許権者に届け出なければなりません(宅建業法11条1項2号)。 

廃業等の届出

          ―  誰が届け出るか
 宅建業者であった個人が死亡したとき  その相続人
 合併により法人が消滅したとき  その法人を代表する役員であった者
 宅建業者が破産したとき  その破産管財人
 法人が合併・破産以外で解散したとき  その清算人
 宅建業を廃止したとき  宅建業者であった個人 または
 宅建業者であった法人を代表する役員

3 宅地建物取引業者 (国土交通大臣免許) は、法第50条第2項の規定により法第15条第1項で定める場所について届出をする場合、国土交通大臣及び当該場所の所在地を管轄する都道府県知事に、それぞれ直接届出書を提出しなければならない。

【正解:×平成元年・問36・肢3平成14年・問44・肢3平成16年・問43・肢4

◆50条2項の届出

 国土交通大臣免許を受けた宅建業者が50条2項の届出〔契約行為等を行う案内所等設置の届出〕をする場合,国土交通大臣への届出は,当該場所の所在地を管轄する都道府県知事を経由して行います(宅建業法50条2項,78条の3第2号)

 本肢は,50条2項の届出を,「国土交通大臣及び当該場所の所在地を管轄する都道府県知事に、それぞれ直接提出しなければならない」 としているので,誤りです。

国土交通大臣免許業者の申請・届出

 変更の届出,
 廃業等の届出
 主たる事務所の所在地を管轄する都道府県知事を経由
 免許の申請,
 免許換えの申請
 主たる事務所を置くことになる地域を管轄する
 都道府県知事を経由
 50条2項の届出  当該案内所等の所在地を管轄する都道府県知事を経由
 営業保証金関係の届出

 免許の書換え交付申請

 直接,国土交通大臣に届出・申請

4 宅地建物取引業者 (丙県知事免許) は、建設業の許可を受けて新たに建設業を営むこととなった場合、は当該許可を受けた日から30日以内に、その旨を丙県知事に届け出なければならない。

【正解:×平成2年・問41・肢3平成3年・問38・肢2

◆宅建業以外の事業を行っているときの事業の種類

 宅建業以外の事業を行っているときの事業の種類は,宅建業者名簿の登載事項(免許申請書に記載する事項でもある)ではありますが(宅建業法8条2項8号,施行規則5条2号),変更の届出等をしなければならないものではありません(宅建業法9条)

 免許を受けた後に,1) 新規に他の事業を立ち上げたり,2) それまで行っていた事業を廃止しても,免許権者に対して,何の届出も義務付けられてはいないのです。

 したがって,「新たに建設業を営む旨の届出」をしなければならないとする本肢は誤りです。


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