税法その他 基礎編
所得税・贈与税―譲渡所得・贈与に関する税・住宅借入金の特別控除
●譲渡所得に関する税 1 軽減税率
正解・解説
【正解】
1 | 2 | 3 | 4 |
○ | × | × | × |
5 | 6 | 7 | 8 |
× | × | × | ○ |
<KEY WORDS> 1月1日現在での期間で所有(保有年数)を決める ●短期譲渡所得(5年以下の税率) 30パーセント ●長期譲渡所得(5年超の税率) 15パーセント 長期譲渡所得では、所有期間の思いマチガイが多いので、注意。≠10年超 |
次のそれぞれの記述は、所得税法、租税特別措置法の規定によれば○か、×か。 |
1.「所有期間が10年を超える居住用財産である建物とその敷地の譲渡による譲渡
所得については、他の所得と分離して、10パーセントと15パーセントの二段階の税
率で、所得税が課税される。」H1-29-3
【正解:○】
◆居住用財産の軽減税率−10年超える長期譲渡所得の軽減税率
|
2.「譲渡した年の1月1日において所有期間が5年を超える居住用財産を譲渡した
場合には、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を受けることが
できる。」H8-28-1
【正解:×】
◆所有期間10年超 居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例は所有期間10年超でなければ適用されません。5年超では、10年超という要件には該当しません。 |
3.「譲渡した年の1月1日における所有期間が7年である居住用財産を国に譲渡
した場合には、その譲渡について、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
の適用を受けることができる。」H6-29-3
【正解:×】
◆所有期間10年超 7年では、10年超という要件には該当しません。 |
4.「譲渡した年の1月1日における居住期間が11年である居住用財産を譲渡した
場合には、所有期間に関係なく、その譲渡について、居住用財産を譲渡した場合
の軽減税率の特例を適用を受けることができる。」H6-29-4
【正解:×】
◆所有期間10年超 居住期間が11年でも、所有期間が10年超とは限らず、また居住期間は要件ではありません。<所有期間10年超・居住期間30年以上>が必要なのは、相続などの居住用財産の買い換え特例※で、<所有期間10年超・居住期間10年以上>が必要なのは、特定の居住用財産の買い換え特例です。 所有期間に関係なく適用されるのは、居住用財産の3,000万円控除、収用などの5,000万円控除、収用事業対象に伴って代替資産を取得した場合の課税繰り延べの特例です。 ※相続などの居住用財産の買い換え特例は,平成19年3月31日までの譲渡を対象としていたが,19年改正によりこの制度が廃止されたため,平成19年4月1日以後の譲渡については適用されない。
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5.「個人が、平成13年中に、平成13年1月1日において所有期間が10年を超える
家屋を譲渡したが、その家屋以外に自己の居住の用に供している家屋(所有期間
10年超)を有しており、これらの家屋を同一年中に譲渡した場合には、いずれの
家屋の譲渡についても「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特
例」(軽減税率の特例)の適用を受けることができる。」H12-26-4 改
【正解:×】
◆居住用家屋が2つある場合は? 「自己の居住の用に供している家屋が2つ」というのは、?と思うかもしれませんが、世の中本宅と別宅を持っている方はお金持ちにはいますよね。 こういう場合にも、規定があります。租税特別措置法・施行令20条の3 <軽減税率の特例は、個人がその居住の用に供している家屋を2つ以上有している場合には、その者が主としてその居住の用に供していると認められる一の家屋に限られる。> 居住の用に供している家屋と、居住していない家屋を同一年に譲渡した場合は、「居住の用に供している家屋」の譲渡についてのみ、軽減税率の適用になるのは言うまでもありません。 |
6.「居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例(軽減税率の特例)は、
家屋が短期譲渡所得に該当しても、土地が長期譲渡所得に該当すれば家屋についても、
長期譲渡所得の軽減税率が適用される。」
【正解:×】
◆土地、家屋とも、所有期間10年超 (租税特別措置法 31条の3の2項3号) 所有期間が10年を超えている居住用家屋とその敷地である土地等をともに譲渡した ときに、適用されます。(通常は、3,000万円特別控除を受けているため、3,000万円 特別控除後の譲渡益に対して、この軽減税率が適用されます) 本設問のように、土地が10年超であったとしても、家屋が5年以下の短期譲渡所得なら ば、適用はされないことになります。 ただし、土地単独の譲渡については、「当該個人の家屋が災害により滅失し、災害に遭うことなく引き続き所有しているとしたならば、その年1月1日において所有期間が10年を超える当該家屋の敷地の用に供されていた土地」なら、適用されます。 (租税特別措置法 31条の3の2項4号)
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7.「その家屋を火災により滅失した場合を除き、その家屋を譲渡する直前まで
自己の居住の用に供していなければ、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡
所得の課税の特例(軽減税率の特例)の適用を受けることができない。」H12-26-1
【正解:×】
◆居住期間の最後の日 居住の用に供さなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡すれば、適用されます。これは、3,000万円特別控除、特定の居住用財産の買換え・交換の特例でも同じです。 |
8.「今年1月1日における所有期間が10年を超える居住用財産の譲渡について
は、前年に既に居住用財産を譲渡した場合の 3,000万円特別控除の適用を受け
ているときであっても、居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例の適用を
受けることができる。」H4-28-2
【正解:○】
◆前年の特例措置 前年に3,000万円特別控除の適用を受けているときでも、 10年を超える居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例 の適用は受けられます。 しかし前々年、前年にこの軽減税率を受けている時は、受けられません。 (類似の例 : 3,000万円の特別控除も、前々年、前年に3,000万円の特別控除の適用を受けていると受けられません。→ 3,000万円特別控除の設問4参照) ◆重畳適用と要件の補足
◆特例の適用が受けられない場合 1) 居住用財産を譲渡した年の前年または前々年にこの特例の適用を受けているとき 2) 居住用財産の買換え・交換の長期譲渡所得の特例(特定・相続)と併用できない 3) 配偶者や親族関係にある者に対して譲渡が行われたものであるとき |
<KEY WORDS> ●平成16年改正で長期譲渡所得の特別控除額100万円は廃止されました。 |
●法改正(平成16年度) |
●土地建物等の譲渡所得の損失とほかの所得との損益通算・繰越控除の禁止 所有期間5年を超える居住不動産で一定のものを除いて,土地建物等の短期譲渡所得又は長期譲渡所得の金額の計算上生じた損失金額について,土地建物等の譲渡による所得以外の所得との損益通算・翌年以降への繰越ともできなくなりました。 |
●宅建過去問Up-To-Date 居住用財産の譲渡の場合の軽減税率 〜検索用〜 |
*平成元年問29,*平成3年問29,*平成4年問28,*平成6年問29,*平成7年問29,□平成8年問28,*平成9年問27,*平成10年問27,□平成12年問26,*平成15年問26
(註) *のマークは,ワンポイントの出題,□は居住用財産の譲渡の軽減税率を主な出題テーマとするものです。 |
●最近の所得税・贈与税の出題
平成11年肢2は、譲渡損失の繰越控除と住宅借入金控除が重畳適用可能か問う問題。 |
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