宅建過去問 宅建業法 

媒介契約の規制の過去問アーカイブス 平成21年・問32 


 宅地建物取引業者Aが、B所有の甲宅地の売却の媒介を依頼され、Bと専任媒介契約を締結した場合に関する次の記述のうち、宅地建物取引業法の規定によれば、正しいものはどれか。(平成21年・問32)

1 は、甲宅地の所在、規模、形質、売買すべき価額のほかに、甲宅地の上に存する登記された権利の種類及び内容を指定流通機構に登録しなければならない。

2 に対して、甲宅地に関する所定の事項を指定流通機構に登録したことを証する書面を引き渡さなかったときは、はそのことを理由として指示処分を受けることがある。

3 に対して、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を14日 (ただし、の休業日は含まない。) に1回報告するという特約は有効である。

4 は、指定流通機構に登録した甲宅地について売買契約が成立し、かつ、甲宅地の引渡しが完了したときは、遅滞なく、その旨を当該指定流通機構に通知しなければならない。

<コメント>  
 肢2,肢4は20年に続いて2年連続の出題。前年の指定流通機構の問題 (平成20年・問35)の正答率が低かったため,出題したと思われます。
●出題論点●
 肢1 指定流通機構の登録事項の中に 「登記された権利の種類及び内容」 はない。

 肢2 指定流通機構に,専任媒介契約の目的物について登録した宅建業者は,登録を証する書面 (指定流通機構が発行) を遅滞なく依頼者に引き渡さなければならない。

 肢3 専任媒介契約を締結した宅建業者は,依頼者に対して,業務の処理状況を2週間 (休業日を含む) に1回以上(専属専任媒介契約では,1週間に1回以上)報告しなければならない。

 肢4 宅建業者は,登録に係る宅地・建物の売買または交換の契約が成立したときは,遅滞なく,その旨を当該登録に係る指定流通機構に通知しなければならない。

【正解】

× × ×

 正答率  53.6%

1 は、甲宅地の所在、規模、形質、売買すべき価額のほかに、甲宅地の上に存する登記された権利の種類及び内容を指定流通機構に登録しなければならない。

【正解:×平成10年・問35(売買すべき価額)平成12年・問37・肢3

◆指定流通機構の登録事項

 宅建業者が専任媒介契約を締結したときは,契約の相手方を探索するため,専任媒介契約の締結の日から7日(専属専任媒介契約では5日。休業日数は算入しない。)以内に,媒介契約の目的物である宅地・建物の所在,規模,形質,売買すべき価額その他国土交通省令で定める事項を,指定流通機構に登録しなければなりません(宅建業法34条の2第5項,施行規則15条の9)

 指定流通機構の登録事項の中に 「登記された権利の種類及び内容」 はないので,本肢は誤りです。

●指定流通機構への登録事項 (宅建業法34条の2第5項)
・当該専任媒介契約の目的物である宅地又は建物の所在、規模、形質、売買すべき価額

・国土交通省令で定める事項 (施行規則15条の9)

1) 当該宅地又は建物に係る都市計画法 その他の法令に基づく制限で主要なもの

2) 当該専任媒介契約が宅地又は建物の交換の契約に係るものである場合にあつては、当該宅地又は建物の評価額

3) 当該専任媒介契約が専属専任媒介契約である場合は、その旨

2 に対して、甲宅地に関する所定の事項を指定流通機構に登録したことを証する書面を引き渡さなかったときは、はそのことを理由として指示処分を受けることがある。

【正解:平成11年・問39・肢3平成20年・問35・イ

◆登録したことを証する書面の引渡し義務

 指定流通機構に,専任媒介契約の目的物について登録した宅建業者は,登録を証する書面 (指定流通機構が発行) を遅滞なく依頼者に引き渡さなければなりません(宅建業法34条の2第6項,50条の6)

 宅建業者が宅建業法の規定に違反した場合,そのことを理由として指示処分を受けることがあるので,本肢は正しい記述です(宅建業法65条1項)

指定流通機構への登録に係る指示処分の出題

 【指定流通機構に成約の通知をしなかった】平成16年・問45・肢1

3 に対して、当該専任媒介契約に係る業務の処理状況を14日 (ただし、の休業日は含まない。) に1回報告するという特約は有効である。

【正解:×昭和58年・問41・肢4昭和61年・問47・肢4平成元年・問46・肢1平成3年・問44・肢3平成12年・問37・肢4平成14年・問34・肢4平成16年・問39・肢4

◆業務処理状況の報告 (一般の専任媒介契約)

 専任媒介契約を締結した宅建業者は,依頼者に対して,業務の処理状況を2週間 (休業日を含む) に1回以上(専属専任媒介契約では,1週間に1回以上)報告しなければならず(宅建業法34条の2第8項),この規定に反する特約は無効です(宅建業法34条の2第9項)

 本肢では,業務の処理状況を14日以内 (休業日を含まない) としていますが,休業日を含まないで14日以内とすると,業務処理状況の報告が2週間を超えてしまうこともあるので,本肢は誤りです。

 ( )内について正誤を問うのは受験者の見落としを狙ったものですが(平成15年・問43・肢3で出題歴があります),出題者は受験者が条文をきちんと見ているかどうかをチェックしたと見ることができます。

専任媒介契約での期間制限

業務の処理状況の報告 2週間 (休業日を含む) に1回以上
指定流通機構への登録 媒介契約締結日から7日(休業日を除く。 ) 以内
●類似問題
 宅地建物取引業者は契約の相手方を探索するため,当該宅地に関する所定の事項を媒介契約締結日から7日(休業日を含む。 ) 以内に指定流通機構に登録する必要がある。(平成15年・問43・肢3)
【正解:×

 専任媒介契約では,媒介契約締結日から7日(休業日を除く。 ) 以内に指定流通機構に登録しなければなりません(宅建業法34条の2第5項,施行規則15条の8)

 本肢では,「休業日を含む。」としているので,誤りです。

4 は、指定流通機構に登録した甲宅地について売買契約が成立し、かつ、甲宅地の引渡しが完了したときは、遅滞なく、その旨を当該指定流通機構に通知しなければならない。

【正解:×平成10年・問45・肢3平成15年・問43・肢1平成16年・問45・肢1平成20年・問35・ウ

◆登録に係る物件の契約の成立−指定流通機構への通知

 宅建業者は,登録に係る宅地・建物の売買または交換の契約が成立したときは,遅滞なく,その旨 (登録番号・取引価格・契約の成立した年月日) を当該登録に係る指定流通機構に通知しなければなりません(宅建業法34条の2第7項,施行規則15条の11)

 指定流通機構に通知するのは「契約成立」+「引渡し完了」 後ではなく,単に<契約が成立した後遅滞なく> なので,本肢は誤りです。


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