税法その他 実戦篇

固定資産税の過去問アーカイブス 平成11年・問27


固定資産税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成11年・問27)

1.「家屋に係る固定資産税は,建物登記簿に登記されている所有者に対して課税されるので,家屋を建築したとしても,登記をするまでの間は課税されない。」

2.「固定資産税の納税通知書は,遅くとも,納期限前10日までに納税者に交付しなければならない。」

3.「新築住宅に対しては,その課税標準を,中高層耐火住宅にあっては5年間,その他の住宅にあっては3年間その価格の1/3の額とする特例が講じられている。 」

4.「年の途中において,土地の売買があった場合には,当該土地に対して課税される固定資産税は,売主と買主でその所有の月数に応じて月割りで納付しなければならない。 」

【正解】

× × ×

1.「家屋に係る固定資産税は,建物登記簿に登記されている所有者に対して課税されるので,家屋を建築したとしても,登記をするまでの間は課税されない。」

【正解:×

◆家屋補充課税台帳

 建物登記簿に登記されていなくても,課税されます。

 登記されていない家屋は,固定資産課税台帳の「家屋補充課税台帳」に登録して課税する事になっています。つまり,建物登記簿に登記されていなくても固定資産課税台帳に登録されていれば課税されます。(341条13号)

<番外知識>

 地方税法では,以下のものを「固定資産課税台帳」として総称しています。(341条9号)

 土地課税台帳,土地補充課税台帳,家屋課税台帳,家屋補充課税台帳
償却資産課税台帳

●類題
「固定資産課税台帳とは,土地課税台帳,家屋課税台帳,及び償却資産課税台帳を総称したものである。」(鑑定士・平成11年)
【正解:×】『土地補充課税台帳』と『家屋補充課税台帳』が抜けています。

2.「固定資産税の納税通知書は,遅くとも,納期限前10日までに納税者に交付しなければならない。」

【正解:

◆納税通知書

 固定資産税の納税通知書は,遅くとも,納期限前10日までに納税者に交付しなければならない。(364条7項)

●類題
「固定資産税の納税通知書は,遅くとも,納期限前10日までに納税者に交付しなければならない。」(鑑定士・平成9年)
【正解:

3.「新築住宅に対しては,その課税標準を,中高層耐火住宅にあっては5年間,その他の住宅にあっては3年間その価格の1/3の額とする特例が講じられている。 」

【正解:×昭和60年,61年,平成5年,11年

◆新築住宅に係る固定資産税の減額

 課税標準が軽減されるのではなく,税額が軽減されます。

 以下の要件を共に満たす新築住宅は,その家屋の120平方メートルまでの住居部分の固定資産税の税額が1/2に減額されます。(附則16条1項2項)

床面積要件 床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下

(戸建以外の貸家住宅は40平方メートル以上280平方メートル以下)

居住割合

(併用住宅)

居住部分の床面積割合がその家屋の1/2以上

 減額される期間は下記のとおり。

 地上階数3以上の準耐火構造及び耐火構造住宅  新築後5年度分
 一般の住宅(上記以外)  新築後3年度分

4.「年の途中において,土地の売買があった場合には,当該土地に対して課税される固定資産税は,売主と買主でその所有の月数に応じて月割りで納付しなければならない。 」

【正解:×平成15年

◆納税義務者

 1月2日以降に所有者が変わったとしても,賦課期日(1月1日に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者)が,その年の4月1日からの年度分の税額全部の,納税義務者になります。このため,本設問は不適切と言う事になります。

 売買での実務上は,月割りで売主・買主どちらが支払うか,という当事者間での特約は認められています。勿論,その年度の固定資産税を市町村に実際に納めるのは売主ですが,買主は月割りで決められた分を売主に渡すことになります。この特約と税法上の条文を混同してはいけません。 


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