税法その他 実戦篇

固定資産税の過去問アーカイブス 昭和61年・問32


固定資産税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (昭和61年・問32)

1.「土地に係る固定資産税においては,土地の所有権を有していない者でも納税義務者となる場合がある。 」

2.「区分所有に係る家屋の敷地の用に供されている土地に係る固定資産税額は,常に当該家屋と同様に,当該家屋の各区分所有者にあん分する必要がある。」

3.「平成19年度分の固定資産税の課税標準額は,用途変更その他の事情変更がない限り,前年度の課税標準額を超えることはない。 」

4.「地上階数3以上の中高層耐火建築物については,新たに固定資産税が課税される年度から3年度間に限り,その家屋の120平方メートルまでの部分の固定資産税が1/2に軽減される。 」

【正解】

× × ×

1.「土地に係る固定資産税においては,土地の所有権を有していない者でも納税義務者となる場合がある。 」

【正解:昭和61年,62年,平成17年

◆納税義務者

 固定資産税の納税義務者は固定資産の所有者ですが,質権又は100年より長い存続期間の定めのある地上権の目的である土地についてはその質権者又は地上権者が納税義務者となります。(343条1項)

 このほかにも所有者ではなく,例外的に土地・建物の使用者が納税義務者になる場合があります。

 したがって,土地の所有権を有していない者でも納税義務者となる場合があります。

 土地  土地登記簿もしくは土地補充課税台帳に
 所有者として登記又は登録されている者
 家屋  建物登記簿もしくは家屋補充課税台帳に
 所有者として登記又は登録されている者
 償却資産  償却資産課税台帳に所有者として登録されている者
●関連問題
「借地権の目的となっている宅地に対する固定資産税の課税標準額は,借地権に相当する価格を控除したものである。」(宅建・昭和50年)
【正解:×】土地登記簿もしくは土地補充課税台帳に登録された価格とは,借地権の目的になっていても,更地で評価した価格です。

2.「区分所有に係る家屋の敷地の用に供されている土地に係る固定資産税額は,常に当該家屋と同様に,当該家屋の各区分所有者にあん分する必要がある。」

【正解:×昭和61年,62年

◆区分所有建物の敷地になっている土地

 区分所有に係る家屋の敷地の用に供されている土地(共用土地)とは,分譲マンションや区分所有のビルの敷地になっている土地のことを言いますが,その敷地利用権としては「所有権」,「地上権」,「賃借権」,「使用借権」があります。

 当該土地が区分所有者全員の共有の場合〔敷地利用権が所有権〕の共用土地に対する固定資産税は,各区分所有者(共用土地納税義務者)の持分割合によってあん分した額となります。(352条の2)

 しかし,敷地利用権が賃借権,100年以下の地上権,使用者借権の場合,固定資産税の納税義務者はその土地の所有者です。

 本肢で言っているのは敷地利用権が所有権の場合の規定であり,ほかの敷地利用権ではこれとは異なるので,『常に』当該家屋の各区分所有者にあん分するということにはなりません。

区分所有に係る家屋の固定資産税についても,同じように各区分所有者の共用部分の持分割合〔専有部分の床面積割合や利用価値などによる〕によって按分した額になります。(352条)

3.「平成19年度分の固定資産税の課税標準額は,用途変更その他の事情変更がない限り,前年度の課税標準額を超えることはない。 」

【正解:×

◆負担調整措置

 評価額は,総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づき,土地については地目別に定められた評価方法により,家屋については再建築価格を基準に評価します。→固定資産税の仕組み 

 しかし,固定資産税では,同じ評価額の土地でも地域や土地によって課税標準額が異なることがあります。これは,税負担の公平を図るためにこの格差を解消していく「負担調整措置」という制度があるからです。(前年度の課税標準額に負担調整措置をする。)(地方税法附則18条1項)

  この制度では負担水準の区分に応じてそれぞれ異なる「負担調整率」が適用された上で課税標準額が決まります。この結果,土地の評価額が下がっているにもかかわらず課税標準額や固定資産税が上がる場合があります。

 したがって,<用途変更その他の事情変更がない限り,前年度の課税標準額を超えることはない。>という本肢は×です。

 http://www.tabisland.ne.jp/explain/koteisis/kote_103.htm

 http://www.city.handa.aichi.jp/zeimu/faq/sisan/index.shtml

 http://www.city.tokushima.tokushima.jp/sisan_zei/gaiyo14.html

●地価が下落した場合の修正価格

 修正価格 

 固定資産税の評価額(固定資産課税台帳の登録価格)は,地目の変換、土地の分合筆、家屋の増改築等があった場合を除き,原則として,基準年度の価格を3年間据え置くこととされています。(平成18年度が基準年度)

 しかし,基準年度の翌年,翌々年に,地価が下落して,市町村長が,基準年度の評価額を課税標準とすることが,固定資産税の課税上著しく均衡を失すると認める場合,<総務大臣が定める修正基準によつて修正した価格 (修正価格)で土地課税台帳等に登録されたものとする。>とされています(地方税法附則17条の2)

4.「地上階数3以上の中高層耐火建築物については,新たに固定資産税が課税される年度から3年度間に限り,その家屋の120平方メートルまでの部分の固定資産税が1/2に軽減される。 」

【正解:×昭和60年,61年,平成5年,11年

◆新築住宅に係る固定資産税の減額−中高層耐火建築物は5年度分

 ×・・・新たに固定資産税が課税される年度から3年度間に限り

 ・・・新たに固定資産税が課税される年度から5年度間に限り

 以下の要件を共に満たす新築住宅は,その家屋の120平方メートルまでの住居部分の固定資産税の税額が1/2に減額されます。(附則16条1項2項)

床面積要件 床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下

(戸建以外の貸家住宅は40平方メートル以上280平方メートル以下)

居住割合

(併用住宅)

居住部分の床面積割合がその家屋の1/2以上

 減額される期間は下記のとおり。

 地上階数3以上の準耐火構造及び耐火構造住宅  新築後5年度分
 一般の住宅(上記以外)  新築後3年度分

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