税法その他 実戦篇

固定資産税の過去問アーカイブス 平成15年・問28


固定資産税に関する次の記述のうち,正しいものはどれか。 (平成15年・問28)

1.「年度の途中において土地の売買があった場合の当該年度の固定資産税は,売主と買主がそれぞれその所有していた日数に応じて納付しなければならない。 」

2.「固定資産税における土地の価格は,地目の変換がない限り,必ず基準年度の価格を3年間据え置くこととされている。」

3.「固定資産税の納税義務者は,常に固定資産課税台帳に記載されている当該納税義務者の固定資産に係る事項の証明を求めることができる。 」

4.「固定資産税の徴収方法は,申告納付によるので,納税義務者は,固定資産を登記した際に,その事実を市町村長に申告又は報告しなければならない。 」

【正解】

× × ×

1.「年度の途中において土地の売買があった場合の当該年度の固定資産税は,売主と買主がそれぞれその所有していた日数に応じて納付しなければならない。 」

【正解:×平成11年,15年

◆納税義務者 

 1月2日以降に所有者が変わったとしても,賦課期日(1月1日)に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者)が,その年の4月1日からの年度分の税額全部の,納税義務者になります。

 売買での実務上は,月割りで売主・買主どちらが支払うか,という当事者間での特約は認められています。勿論,その年度の固定資産税を市町村に実際に納めるのは売主ですが,買主は月割りで決められた分を売主に渡すことになります。この特約と税法上の条文を混同してはいけません。 

●類題
1.「年の中途で所有者として登記又は登録されている者が移動した場合の土地又は家屋に対する固定資産税は,月数按分により移動前又は移動後の所有者にそれぞれ課税される。」(宅建・昭和48年)
【正解:×】固定資産税の納税義務者は,原則として,賦課期日(1月1日)に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者)です。
2.「土地,家屋に対する固定資産税の納税義務者は,その土地,家屋の真実の所有者であって,1月1日において固定資産税課税台帳に所有者として登録されている者とは限らない。」(宅建・昭和58年)
【正解:×問題文の前半が明らかに×。固定資産税の納税義務者は,原則として,賦課期日(1月1日)に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者)です。下の問題のように例外はありますが,原則で考えるべきです。
3.「賦課期日に土地の所有者として登記又は登録されている個人が既に死亡している場合の固定資産税の納税義務者は,相続人ではなく,賦課期日において現にその土地を所有している者である。」(宅建・昭和50年)
【正解:例外的な問題です。

 固定資産税の納税義務者は,原則として,賦課期日(1月1日)に固定資産課税台帳に所有者として登録されている者)ですが,賦課期日前に,登記又は登録されている個人が既に死亡している場合や,登記又は登録されている法人が消滅している場合は,例外的に,賦課期日において現に当該家屋又は土地を所有している者が固定資産税の納税義務者になります。(地方税法343条2項)

2.「固定資産税における土地の価格は,地目の変換がない限り,必ず基準年度の価格を3年間据え置くこととされている。」

【正解:×平成元年,15年

◆基準年度の価格は変更可能

 固定資産税の課税標準は,原則として基準年度の課税標準の基礎となった価格(固定資産税評価額)を3年間据え置きますが,以下の事情があって基準年度の価格によることが不適当又は著しく均衡を失すると市町村長が認める場合は,変更することができます。(349条2項以下)

・地目の変換,家屋の改築又は損壊その他のこれらに類する事情
・市町村の廃置分合又は境界変更

3.「固定資産税の納税義務者は,常に固定資産課税台帳に記載されている当該納税義務者の固定資産に係る事項の証明を求めることができる。 」

【正解:

◆固定資産課税台帳の記載事項の証明

 市町村長は,納税義務者その他の政令で定める者から請求があったときは,固定資産課税台帳に記載されている事項のうち政令で定めるものについて証明書を交付しなければいけません。(382条の3)

4.「固定資産税の徴収方法は,申告納付によるので,納税義務者は,固定資産を登記した際に,その事実を市町村長に申告又は報告しなければならない。 」

【正解:×平成3年,15年

◆普通徴収

 固定資産税の徴収は,普通徴収の方法(納税義務者に納税通知書を交付して徴収)によって行われます。(364条1項)

 ×・・・申告納付

 <登記した際に,その事実を市町村長に申告又は報告しなければならない>というのはデタラメでブラフ。

〔参考〕登記所からの通知

  登記所は、土地又は建物の表示に関する登記をしたときは、10日以内に、その旨を当該土地又は家屋の所在地の市町村長に通知しなければならない(法382条1項)。

 市町村長は、登記所からの通知を受けた場合においては、遅滞なく、当該土地又は家屋についての異動を土地課税台帳又は家屋課税台帳に記載をし、又はこれに記載をされた事項を訂正しなければならない(法382条3項)。

●類題
「登記所は,土地又は建物の表示に関する登記をしたときは,30日以内にその旨を市町村長に通知しなければならない。」(鑑定士・平成12年)
【正解:×(382条1項)×・・・30日以内,・・・10日以内に

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